工繊大の塚本と申します.

In article <da82dc7d-783a-4e3e-a50b-3b409144d86f@x25g2000prf.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> [Q.] Discuss the differentiability of each of the following functions,
> that is, find the points (if any) where the function is
> differentiable.
> If the function is differentiable, then state the derivative. (Here z=x
> +iy.)
> (a) f(z)=8\bar{z}+z^2+1
> (b) g(z)=x^2-y^2+2xyi
> (c) h(z)=x^3+3xy^2-3x+i(y^3+3x^2y-3y)
> (d) Among the functions given in parts (a)-(c), which one(s) is(are)
> entire?
> 
> という問題です。
> 
> (a)についてはlim_{⊿z→0}[f(z+⊿z)-f(z)]/⊿z
> =lim_{⊿z→0}[8\bar{⊿z}+2z⊿z+(⊿z)^2]/⊿zとなり,
> ここで⊿y=0として⊿x→0とすると
> lim_{⊿z→0}[8\bar{⊿z}+2z⊿z+(⊿z)^2]/⊿z
> =lim_{⊿x→0}[8⊿x+2(x+yi)⊿x+(⊿x)^2]/⊿x
> =lim_{⊿x→0}(8+2(x+yi)+⊿x)=8+2(x+2iy)
> 一方,⊿x=0として⊿y→0とした場合は,
> lim_{⊿z→0}[8\bar{⊿z}+2z⊿z+(⊿z)^2]/⊿z
> =lim_{⊿y→0}[-8⊿y+2(x+yi)⊿y+(⊿y)^2]/⊿y
> =lim_{⊿y→0}(-8+2(x+yi)+⊿y)=-8+2(x+2iy)
> となり,近づけ方によって極限値が異なるので,
> f(z)=8\bar{z}+z^2+1は至る所で微分不可能。

そうですね.

> (b)については
> g(z)=(x+iy)^2=z^2と書けるので,普通に任意のz∈Cに於いて微分できて
> その導関数はg'(z)=2z。

そうですね.

> (c)については
> zと\bar{z}のみで書き表せないかと思いましたがちょっと無理みたいです。

どうしても書きたければ, x = (z + \bar{z})/2, y = (z - \bar{z})/(2i)
を代入して整理すれば可能です.

> それでu(x,y):=x^3+3xy^2-3x, v(x,y):=y^3+3x^2y-3y と見立てると,
> u_x(x,y)=3x^2+3y^2-3,v_y(x,y)=3y^2+3x^2-3,u_y(x,y)=6xy,v_x(x,y)=6xy.
> これらがCauchy-Riemann方程式(u_x=v_y,u_y=-v_x)を満たせば
> 
> 命題『f(z)=u(x,y)+iv(x,y)が領域DでCauchy-Reimann方程式を満たす
> ⇔f(z)はD内で正則』より
> h(z)は正則と言える。そのような領域Dを求めると
> u_x(x,y)=v_y(x,y)は成立している。
> u_y(x,y)=-v_x(x,y)から6xy=-6xyでxy=0となる。従って,x=0かy=0. でも
> 
> 複素平面での領域の定義は
> 『開集合で連結(任意の2点を折れ線で結べる)の集合を領域という』で
> x=0かy=0という範囲は領域にはなりませんよね。

それはそうです.

> 従って,上記の命題より,Cauchy-Riemannの方程式を満たす領域は無いので
> h(z)は至る所で微分不可能。
> で正しいでしょうか?

上の命題は, 「領域 D で正則」との同値関係を述べているので,
「一点で微分可能」の話とは違います.

実部・虚部共に(全)微分可能な関数が, 複素関数として微分可能
である為には, その点で Cauchy-Riemann の関係式が満たされる
ことが必要十分ですから, x = 0, 又は, y = 0 となる点 z = x + iy
に於いて, h(z) は微分可能です. 他の点では微分不可能です.

> (d)については整級数になるのはどれかという意味だと思います。

 entire というのは整関数であるということです.

> 命題
> 『f(z)=u(x,y)+iv(x,y)に於いて,
> 領域Dに於いてvはuにharmonic conjugate(Cauchy-Riemannの方程式を満たす)
> ⇔
> f(z)はDに於いて解析的(f(z)は整級数に展開されうる)である』
> を使うと,

それは analytic かどうかの話です.

整関数とは複素平面全体で正則な関数のことです.

> よって,(b)と結論づいたのですがこれで正しいでしょうか?

結論はそうなります.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp