工繊大の塚本と申します.

In article <6ef4cac9-c06f-4868-8fcb-29a5e0babb0d@f19g2000yqh.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> Sierpinskiの三角形についてです。
> 各三角形除去作業で残った三角形の左下の頂点を選んで
> "三角形の頂点"と呼ぶ事にします。
> 
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/p335_005.jpg
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/p337_006.jpg
> Lemma2.6「Suppose B is a ball in the covering B~ that satisfies
> 2^-l≦diamB<2^{-l+1} for some l≦k.
> Then B contains at most c3^{k-l} vertices of the k-th generation.」
> で証明の手順がいまいち把握できずにいます。
> 
> 『この章で我々は値が重要でない一般定数をc,c',…と表記する
> 通例のやり方をとり続けるとしよう,
> そしてこのやり方を別のに変えるかもしれない。

 c や c' は, 使われている場所によって, 違う値の
ことを意味しているかも知れないよ, 言っているのです.

> 更に我々はAとBとの量が比較可能な時,
> 即ち,cB≦A≦c'Bなる定数c,c'∈Rがある時にA〜Bと表記する事にする。
> 補題2.6の証明
> B^*をBと中心が同じだが直径がBの直径の3倍の球とせよ。
> そして△_kをその頂点vがB内にあるk世代の三角形とする。
> もし,△_kを含むl世代の三角形を△'_lと表記すればdiamB≧2^-l』
> 
> diamB≧2^-lとなるのは
> Figure2より△'_lの一辺はl世代では2^-lになっているから
> 当然,≦diamBとなりますね。

いや, 2^{-l} ≦ diam B というのは Lemma 2.6 における B に
ついての仮定です.

> 『v∈△_k⊂△'_l⊂B^*はFigure2から示される。

 v ∈ B, v ∈ Δ'_l から, Δ'_l ⊂ B^* が
導かれるところは宜しいですか.

 Δ'_l が v を中心として半径 2^{-l} の球に含まれ,
それは B^* に含まれるというわけです.

> 次にB^*が高々c個のl世代の相異なる三角形を含む事ができる正定数cが存在する。』
> 
> これは1世代で△'_1は3個,2世代で△'_2は9個,3世代で△'_3は27個…なので
> l世代では△'_lの個数はc=3^lと書けますね。

いや, 全部でいくつあるか, ではなく, 最大含んでいくつ含み得るか,
が問題になっているのです. Lemma 2.6 の仮定で, B の直径は
 2^{-l+1} 未満ですから, B^* の直径はその3倍未満で, その面積は
 π(3*2^{-l})^2 未満です. その中に含まれうる l 世代の三角形の
個数を問題にしています.

> 『これはl世代の三角形らは内核は互いに素でc'4^-lに等しい面積を持つ。』
> これは1世代では△'_1=√3/4・4^-1、2世代では△'_2=√3/4・4^-2、
> 3世代では△'_3=√3/4・4^-3、… …①
> となるのでc'=√3/4なのですね。

はい.

> 『一方,B^*は高々c''4^-lの面積を持つ。』
> diamB^*=3diamBなのでB^*の面積はπ(3diamB)^2=9π(diamB)^2となり,
> lが入り込む余地はないと思うのですが…。
> 勘違いしてますでしょうか?

ですから, Lemma 2.6 の B についての仮定で

  2^{-l} ≦ diam B < 2^{-l+1}

としていることを見落としています.

> あと,c''の値は何になるのでしょうか?

 c'' = 9 π ですね.

> 『ついに各△'_lはk世代で3^{k-l}個の三角形を含んでいる,』
> これは①からl=2,k=3ならp334Figure1
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/p335_005.jpg
> から△'_2は△_3を3個含んでいる事が分かります。
> 3=3^{3-2}の関係になっているのでうまくいってます。
> 
> 『従って,Bはk世代で高々c3^{k-l}個の頂点を含む事ができる。』
> はFigure2から0世代で1個,1世代で1個,2世代で3個,
> 3世代となっている事が分かります。
> なのでl=1,k=3なら3個なので1/3・3^{3-1}と書けますからc=1/3と分かります。

違います. 高々 c''4^{-l} の面積の B^* の中には,
 c'4^{-l} の面積の Δ'_l でことなるものは c = [c''/c'] 個
しか入りません. 従って, Lemma 2.6 の B の中には k 世代の
 vertex は高々 c 3^{k-l} 個しか入っていません.

これで Lemma 2.6 は証明されました.

> 『Σ_{j=1}^N(diamB_j)^α≧c>0の証明を完結する為に
> Σ_{j=1}^N(diamB_j)^α≧Σ_{l=1}^∞(N_l 2^{-lα}),
> 但しN_lは2^-l≦diamB_j≦2^{-l+1}を満足するB~の個数をN_lと表記する
>  という事に気づけ。』
> α=ln3/ln2だと推測しますが
> どうしてΣ_{j=1}^N(diamB_j)^α≧Σ_{l=1}^∞(N_l 2^{-lα})
> が言えるのでしょうか?

 2^{-l} ≦ diam B_j < 2^{-l+1} なら
 (diam B_j)^α ≧ (2^{-1})^α = 2^{-lα} ですから,

  Σ_{j=1}^N (diam B_j)^α
  ≧ Σ_{j=1}^N (B_j の l についての 2^{-lα})
   = Σ_{l=1}^∞ (N_l 2^{-lα})

となります. 勿論, 被覆 { B_j } は十分 diam(B_j) が
小さなものを考えていますから, l が小さいところでは
 N_l = 0 でしょうし, 有限被覆ですから l が十分
大きいところでは N_l = 0 であり, 実は有限和である
わけです.

> 『補題2.6より,我々は族B~によって覆われるk世代の頂点の合計
> cΣ_{l=1}^∞(N_l 3^{k-l})以上にはならない事が分かる。』
> すいません。どうしてcΣ_{l=1}^∞(N_l 3^{k-l})以上にはならない事が
> 分かるのでしょうか?

 Lemma 2.6 は 2^{-l} ≦ diam B_j < 2^{-l+1} となる
 B_j 中の k 世代の頂点の個数が高々 c 3^{k-l} 個だ
といっているのですから, その条件を満たす N_l 個中には
 N_l * c 3^{k-l} 個で, l について集めれば, { B_j } により
 Σ_{l=1}^∞ (N_l * c 3^{k-l}) = c Σ_{l=1}^∞ (N_l 3^{k-l})
個しか覆われないことが分かります.

> 『k世代での全ての3^kの頂点がSに含まれるので』
> これはSの定義から当然ですね。
> 
> 『k世代の全頂点は覆われねばならない。』
> これはSに覆われねばならないと言っているのでしょうか?

 { B_j } は S の被覆だから, k 世代の vertex 3^k 個も
全て含んでいる, ということです.

> 『cΣ_{l=1}^∞(N_l 3^{k-l})≧3^kでなければならない。』
> これは「族B~によって覆われるk世代の頂点の合計
> cΣ_{l=1}^∞(N_l 3^{k-l})以上にはならない」と言っているので,
> 当然,cΣ_{l=1}^∞(N_l 3^{k-l})≧3^kが成り立ちますよね。
> 
> 『従って,Σ_{l=1}^∞(N_l 3^-l)≧c』
> cΣ_{l=1}^∞(N_l 3^{k-l})≧3^kからどうしてこの不等式が言えるのでしょうか?

 Σ_{l=1}^∞ (N_l 3^{-l}) ≧ 1/c ですが, 1/c を c と
書き直したのです. そうすることもある, と前以て注意が
ありました.

> 『今,2^{-lα}=3^{-l}を保証するαの定義を思い起こせば十分である。』
> αの定義はα=ln3/ln2でしたよね。
> よって2^{-lα}=2^{-lln3/ln2}=(2^{ln3/ln2})^-l={2^{log_2 }}^-l=3^{-l}
> となるのですね。
> 
> 『従って,Σ_{j=1}^N(diamB_j)^α≧cである。』

  Σ_{j=1}^N (diam B_j)^α
  ≧ Σ_{l=1}^∞ N_l 2^{-lα}
   = Σ_{l=1}^∞ N_l 3^{-l}
  ≧ c

となり, Theorem 2.5 の m_α(S) ≧ c > 0 の部分も証明が
終わりました.

> すいません。これからどうして
> Bがk世代の高々c3^{k-l}個の頂点を含むと分かるのでしょうか?

何を言っているのですか. Lemma 2.6 の話はとっくに終わってます.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp