Path: news.ccsf.jp!tomockey.ddo.jp!news.tornevall.net!news.motzarella.org!motzarella.org!nntp.motzarella.org!not-for-mail From: chiaki@kit.ac.jp (Tsukamoto Chiaki) Newsgroups: fj.sci.math Subject: Re: f(x,y)をR×Rでルベーグ可測な非負関数とする。次の真偽を判定せよ Date: Tue, 20 Jan 2009 17:49:27 +0900 Organization: Kyoto Institute of Technology Lines: 84 Message-ID: <090120174927.M0203085@cs1.kit.ac.jp> References: <3e955bc5-39e3-4f35-9393-d15d1b9afcc2@z28g2000prd.googlegroups.com> Mime-Version: 1.0 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp X-Trace: news.eternal-september.org U2FsdGVkX1+mgmNiCbQeklCMyvr0MF+kA5K8R5Tm06xRPcmxQskCPYuvYcPCTlbygejElmolLsXY3QsOwAe/zGPhfNYL4tOsh1JpiJ/U5D9u/U+ffRde/55jy2C+QLnIQDcc1/219Wc= X-Complaints-To: Please send complaints to abuse@motzarella.org with full headers NNTP-Posting-Date: Tue, 20 Jan 2009 08:49:28 +0000 (UTC) X-Newsreader: mnews [version 1.22PL5] 2001-02/07(Wed) X-Auth-Sender: U2FsdGVkX1+AkrsxOyZeevw3SiPWwGkdofB7TH1QPrk= Cancel-Lock: sha1:EOJpi4fRsLoAYYLrNQDfzsHjcCI= Xref: news.ccsf.jp fj.sci.math:2396 工繊大の塚本と申します. In article <3e955bc5-39e3-4f35-9393-d15d1b9afcc2@z28g2000prd.googlegroups.com> kyokoyoshida123 writes: > f(x,y)をR×Rでルベーグ可測な非負関数とする。次の真偽を判定せよ。 > > (1) 各y∈Rに対し,x|→f(x,y)はRでルベーグ可測である。 > (2) y|→∫_Rf(x,y)dxはRでルベーグ可測である。 > (3) ∫_R(∫_Rf(x,y)dx)dy=∫_R^2 f. > (4) ∫_R^2 f < ∞. ルベーグ可測というのは完備化を考えているので少し微妙です. > [(1)の解] > 真? 真ではありません. 殆ど全ての y についてはルベーグ可測 ですが, 全ての y についてはそうならない例があります. > Σ:={E⊂R;inf{m^*(U\E);E⊂∃U∈T}=0} (但し,TはRの通常の位相)とすると > (つまり,Σはルベーグ集合体) > Σ×Σ:={A×B;A,B∈Σ}と書け,題意(f(x,y)はR×Rでルベーグ可測)より > ∀r∈R,{(x,y);f(x,y)>r}∈Σ×Σと言える。 R×R の可測集合の全体は Σ×Σ ではありません. Σ×Σ から生成される σ加法族を更に完備化したものです. > よってx|→f(x,y)をgとすると,{x∈R;(f(x,y)=)g(x)>r}∈Σ. > が言えればいいのですがどうれすば言えますでしょうか? Σ×Σ から生成される σ加法族の元の g での引戻しが 可測集合であるのは証明できますが, それでは不十分なのです. 例えば f を R の非可測集合 A と一点 {y} の積集合 A×{y} の特性関数とすれば, f 自身は零集合の特性関数ですから可測 ですが, { x ∈ R | g(x) > 0 } = A は非可測となります. > [(2)の解] > 真? ∫_R f(x, y) dx は測度零の集合以外の y についてしか 定義されませんが, 真です. > (1)と同様にy|→∫_Rf(x,y)dxをgとすると,{y∈R;(∫_Rf(x,y)dx=)g(y)>r}∈Σ. > が言えればいいのですがどうれすば言えますでしょうか? これはトネリ(Tonelli)の定理の一部ですので, その証明を 御覧下さい. 谷島賢二「ルベーグ積分と関数解析」朝倉書店 等でどうぞ. > [(3)の解] > 真? 真です. 証明については上と同様. > 題意より,fがΣ×Σ可測で非負関数なのでfがルベーグ積分可能なら > Fubiniの定理より。 f がルベーグ積分可能でないなら, どちらも無限大になります. > 従って(4)が真ならば(3)も真となる。 それはそうですが, > [(4)の解] > 真? 後の投稿にあるように, 無限大になる場合は当然あります. In article kyokoyoshida123 writes: > (4)は分かりました。偽です。 > f(x,y)≡1とすると,0≦f a.e.で∀r∈Rに対し,{(x,y)∈R^2;f(x,y)>r}=φかR^2 > (r≧1の時,φ,r<1の時,R^2) > なのでfはルベーグ可測で題意の条件を満たしている。 > しかし,∫_R^2 f(x,y)=∞ (∵リーマン積分より∫_R^2 f(x,y)=∞は明らか) こちらは良いですね. > したがって,(3)も偽(?)。 そんなことはありません. -- 塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学 Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp