Re: (Ω,Σ,μ)を任意のσ有限測度空間。fがμ積分可能⇔f_+とf_-はμ積分可能
工繊大の塚本です.
In article <e8cfb2ee-4f13-4f35-b06f-8e98a511f650@b31g2000prf.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <081102175010.M0126996@cs2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > 「 f がμ積分可能」の定義は何でしょう.
>
> Def
> L^1(Ω,Σ,μ):=L^1(μ):=L^1(Ω):={Σ-measurable f;∫|f|dμ<∞}
> …the set of μ-integrable function.
>
> となっています。
> つまり,Σ可測関数で∫_E |f|dμ<∞ (但し,E∈Σ)という事でしょうか。
> つまり, |f|の定義関数列が存在する時,
> fはμ積分可能と言ったりするのかもしれません
|f| に測度収束する, L^1コーシー列となっている単関数列の
存在で定義するのですか. |f| でなく f にするのかも知れません.
> > 普通は, 非負関数のμ積分可能性の定義を置いた上で,
> > 非負関数 |f| がμ積分可能であることをその定義とする
> > のですが, <fcc1b369-157f-4edf-bd7f-3c9bf9f1e...@1g2000prd.googlegroups.com>
> > を見ると, 違う定義になっているようです.
>
> 正しい定義をご存知でしたら是非,お教え下さい。
いや, 定義の仕方は色々あります. どれが正しいということ
もありませんが, 解答するにはその定義に沿って議論しなけ
ればなりません.
> > r < 0 ならば, { x ∈ Ω ; f_+(x) > r }
> > = { x ∈ Ω ; f(x) ≧ 0 } = Ω_+ であるから可測集合.
これは勘違いでした. f_+(x) ≧ 0 だから,
{ x ∈ Ω ; f_+(x) > r } = Ω ですね.
だから可測集合.
> そうでしたね。rで場合わけしなければなりませんでした。
> r<0なら{x∈Ω;f_+(x)>r}={x∈Ω;f(x)・1_Ω^+(x)>r}={x∈Ω;f(x)・1_Ω^+(x)>r}
> ={x∈Ω;f(x)1_Ω^+(x)≧0}∪{x∈Ω;0>f(x)・1_Ω^+(x)>r}
> ={x∈Ω;f(x)1_Ω^+(x)≧0}∪φ
> (∵もし,0>f(x)なら1_Ω^+(x)=0で{x∈Ω;0>f(x)・1_Ω^+(x)>r}={x∈Ω;0>0>r}=φ)
{x∈Ω;f(x)1_Ω^+(x)≧0}∪φ = Ω です.
> > > (iii) 0<∀ε∈R,lim[n→∞]μ({x∈Ω;|f_n(x)-f_+(x)|>ε})=0なる
> > > f_+の定義関数列{f_n}が存在する事を示す。
> > > (iv) 0<∀ε∈R,lim[n→∞]μ({x∈Ω;|f_n(x)-f_-(x)|>ε})=0なる
> > > f_-の定義関数列{f_n}が存在する事を示す。
> > > (iii)と(iv)とは定義関数列をどのように取れますでしょうか?
> > f について取ったもの f_n の (f_n)_+, (f_n)_- で
これはあいまいでしたね.
> > 良さそうですが, それで良いことはきちんと示さないと
> > いけません.
>
> {f_n}をfの定義関数列とすると定義関数列の定義から
> 0<∀ε∈R,∃M∈N;M<m,n⇒∫_E |f_m(x)-f_n(x)|dμ<ε…①.
> lim[n→∞]μ({x∈E;|f_m(x)-f_n(x)|≧ε)=0 …②.
> と書ける。
E ではなく Ω で考える, f_n は f に測度収束するのですね.
f_n は単関数, ∫ |f_n| dμ < ∞,
∀ε > 0, ∃ M, M < m, n ⇒ ∫ |f_m(x) - f_n(x)| dμ < ε.
lim_{n→∞} μ({ x ∈ Ω ; |f_n(x) - f(x)| ≧ ε }) = 0.
> f^+の定義関数列としてf_n^+:=f_n・1_Ω^+と採ると①から
(f_n)_+ というのは不正確でした. そのように
f_n^+ = f_n・1_{Ω^+} とするのが良いですね.
f_n が単関数なら f_n^+ も単関数で, f_n が L^1
なら f_n^+ も L^1 で, 以下の E は Ω に読み替えて,
> 0<∀ε∈R,∃M∈N;M<m,n⇒ε>∫_E |f_m(x)-f_n(x)|dμ
> ≧1_Ω^+(x)・∫_E |f_m(x)-f_n(x)|dμ
これは ≧ ∫_{Ω^+} |f_m(x) - f_n(x)| dμ ですね.
> =∫_E |f_m(x)・1_Ω^+(x)-f_n(x)・1_Ω^+(x)|dμ
> =∫_E |f_m^+(x)-f_n^+(x)|dμ
> 即ち,0<∀ε∈R,∃M∈N;M<m,n⇒∫_E |f_m^+(x)-f_n^+(x)|dμ<ε
コーシー列であることも良いですね.
> 次に∀n∈Nに対しては
> μ({x∈E;|f_n(x)-f(x)|≧ε})≧μ({x∈E;1_Ω^+(x)|f_n(x)-f(x)|})
> (∵1_Ω^+の定義)
> =μ({x∈E;|f_n(x)・1_Ω^+(x)-f(x)・1_Ω^+(x)|})
> =μ({x∈E;|f_n^+(x)-f(x)^+|})
μ({ x ∈ Ω ; |f_n(x) - f(x)|≧ε})
≧ μ({ x ∈ Ω^+ ; |f_n(x) - f(x)|≧ε})
= μ({ x ∈ Ω ; 1_{Ω^+}・|f_n(x) - f(x)|≧ε})
= μ({ x ∈ Ω ; |f_n^+(x) - f^+(x)|≧ε})
が主張したいところだと思います.
> ≧0 (∵測度の定義)
> よって,はさみうちの原理と②より lim[n→∞]μ({x∈E;|f_n^+(x)-f(x)^+|})=0
>
> よって{f_n^+}はf^+の定義関数列になっているのでf^+はμ積分可能。
それで良さそうですね.
> f^-の定義関数列としてf_n^-:=-f_n・1_Ω^-と採ると①から
> 0<∀ε∈R,∃M∈N;M<m,n⇒ε>∫_E |f_m(x)-f_n(x)|dμ
> ≧-1_Ω^-(x)・∫_E |f_m(x)-f_n(x)|dμ
> =∫_E |-f_m(x)・1_Ω^-(x)-(-f_n(x)・1_Ω^-(x))|dμ
> =∫_E |f_m^-(x)-f_n^-(x)|dμ
> 即ち,0<∀ε∈R,∃M∈N;M<m,n⇒∫_E |f_m^-(x)-f_n^-(x)|dμ<ε
>
> 次に∀n∈Nに対しては
> μ({x∈E;|f_n(x)-f(x)|≧ε})≧μ({x∈E;-1_Ω^-(x)|f_n(x)-f(x)|})
> (∵-1_Ω^-の定義)
> =μ({x∈E;|-f_n(x)・1_Ω^-(x)-(-f(x)・1_Ω^-(x))|})
> =μ({x∈E;|f_n^-(x)-f(x)^-|})
> ≧0 (∵測度の定義)
> よって,はさみうちの原理と②より lim[n→∞]μ({x∈E;|f_n^-(x)-f(x)^-|})=0
>
> よって{f_n^-}はf^-の定義関数列になっているのでf^-はμ積分可能。
若干, 上述のように書き直さないといけませんが, 議論としては
これで良いと思います.
> > > 十分性については f=f_+-f_-と書け,明らかにこの時fはΣ可測。
> > > 0<∀ε∈R,lim[n→∞]μ({x∈Ω;|f_n(x)-f(x)|>ε})=0なる
> > > fの定義関数列{f_n}としてどんな定義関数列が取れますでしょうか?
> > こちらも f_+ について (f_+)_n が, f_- について (f_-)_n が
> > 取れるのですから, f_n = (f_+)_n - (f_-)_n とすれば
> > 良さそうですが, やはりきちんと示さないといけません.
>
> {f_n^+}と{f_n^-}とをそれぞれf_+とf_-の定義関数列とし,f_n:=f_n^+-f_n^-と置くと
> 定義関数列の定義から
> 0<∀ε∈R,∃M',M''∈N;M'<m,n⇒∫_E |f_m^+(x)-f_n^+(x)|dμ<ε
> ;M''<m,n⇒∫_E |f_m^+(x)-f_n^+(x)|dμ<ε
> よって M:=max{M',M''}とすると
> M<m,n⇒∫_E |f_m^+(x)-f_n^+(x)|dμ<ε且つ∫_E |f_m^-(x)-f_n^-(x)|dμ<ε…①.
> lim[n→∞]μ({x∈E;|f_m^+(x)-f_n^+(x)|≧ε)=0
> lim[n→∞]μ({x∈E;|f_m^-(x)-f_n^-(x)|≧ε)=0 …②.
ここは
lim_{n→∞} μ({ x ∈ Ω ; |f_n^+(x) - f^+(x)|≧ε)=0
lim_{n→∞} μ({ x ∈ Ω ; |f_n^-(x) - f^-(x)|≧ε)=0 …②.
ですね.
> と書ける。
> fの定義関数列としてf_n:=f_n^+-f_n^-と採ると①から
> 0<∀ε∈R,ε/2に対して,∃M∈N;M<m,n⇒
> ε/2>∫_E |f_m^+(x)-f_n^+(x)|dμ且つ
> ε/2>∫_E |f_m^-(x)-f_n^-(x)|dμ
> よって
> ε=ε/2+ε/2>∫_E |f_m^+(x)-f_n^+(x)|dμ+∫_E |f_m^-(x)-f_n^-(x)|dμ
> >∫_E |f_m^+(x)-f_n^+(x)+f_m^-(x)-f_n^-(x)|dμ (∵三角不等式(?))
実数での三角不等式といっても間違いではありません.
しかし
≧ ∫ |(f_m^+(x) - f_n^+(x)) - (f_m^- - f_n^-)| dμ
でないと次に繋がりません.
> =∫_E |f_m^+(x)-f_m^-(x)-(f_n^+(x)-f_n^-(x))|dμ
> =∫_E |f_m(x)-f_n(x))|dμ
> 即ち,0<∀ε∈R,∫_E |f_m(x)-f_n(x))|dμ<ε.
>
> 次に0<∀ε∈R,ε/2,∀n∈Nに対しては
> 0≦μ({x∈E;|f_n(x)-f(x)|≧ε})=μ({x∈E;|(f_n^+(x)-f_n^-(x))-f(x)|≧ε})
> (∵測度の定義)
> ≦μ({x∈E;|f_n^+(x)-f(x)|≧ε/2}∪{x∈E;|f_n^-(x)-f(x)|≧ε/2})
> (∵{x∈E;|(f_n^+(x)-f_n^-(x))-f(x)|≧ε}
> ⊂{x∈E;|f_n^+(x)-f(x)|≧ε/2}∪{x∈E;|f_n^-(x)-f(x)|≧ε/2}
> より,測度の定義(単調性))
> =μ({x∈E;|f_n^+(x)-f(x)|≧ε/2}+μ({x∈E;|f_n^-(x)-f(x)|≧ε/2})
ここは
≦ μ({x∈Ω;|f_n^+(x)-f^+(x)|≧ε/2}+μ({x∈Ω;|f_n^-(x)-f^-(x)|≧ε/2})
ですね. |f_n^+(x) - f^+(x)| < ε/2 かつ |f_n^- - f^-(x)| < ε/2
であれば, |(f_n^+(x) - f_n^-(x)) - (f^+(x) - f^-(x))|
= |(f_n^+(x) - f_^+(x)) - (f_^-(x) - f^-(x))|
≦ |f_n^+(x) - f^+(x)| + |f_n^- - f^-(x)| < ε/2 + ε/2 = ε
ですから, 議論はそれでよいと思います.
> よって,はさみうちの原理と②より
> lim[n→∞]μ({x∈E;|f_n(x)-f(x)|≧ε})=0.
>
> よって{f_n}はfの定義関数列になっているのでfはμ積分可能。
>
> で大丈夫でしょうか?
大筋では結構だと思います.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735