久野です。

  増やしました(あと1つで30か…まあしばらく掛かるかな)。
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「ホームページ」さまざまな用例集
                                          ver. 2005.9.2 by Kuno

[解説1] 「ホームページ」という言葉は本来「ブラウザのスタートアッ
  プページ」(分類A)ないし「WWWプレゼンテーションの入口ページ(分
  類B)のいずれかを表すものです。しかしその後何でもかんでも「ホー
  ムページ」と呼んでしまう「誤用」(もっと穏やかに言えば「俗語」)
  が増えたため、話が通じなくて困ったりします。そういう場面に遭遇
  しているうちに「どれくらいどんな誤用/俗語があるんだろう?」と思っ
  て「ホームページ」の様々な意味での用例を集めるようになった成果
  がこの文書です。ここにない新しい意味を見付けた人はぜひお知らせ
  ください。

[解説2] この用例集は最初は「思い付いた/見つけた順」だったのです
  が、2000年3月版から、戸田@滋賀県立琵琶湖博物館さんの提案に基づ
  く分類を大幅に取り入れ、2002年6月版で分類を見直しました。

[解説3] 分類(J)は収集はしていますが新しい意味としては無理がある
  ので数に入れません。よってこの版では「ホームページ」には「29種
  類の互いに異なる意味がある」と主張します。

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(A) 本来の用法
 A1. Webブラウザのスタートアップページ
   用例: 「ブラウザのHomeボタンを押すとホームページに戻ります」
 A2. ブラウザのHomeボタンを押した時に行くページ
   用例: 「まずHomeボタンを押してホームページを表示させてよ。」
   注記: 明らかに多くのブラウザは「スタートアップページ」が「ない」
         (空白から始まる)ように設定できますから、この意味は1番の
         意味とは異なるものと考えられます。

(B) 「入口ページ」という意味を残しているという点で「本来の用法」
    に類すると考えて良いもの
 B1. ひとつのWebプレゼンテーションの入口ページ
   用例: 「○○さんのホームページに本人の写真があります」
   用例: 「○○のホームページから『検索』のリンクをたどった所」
 B2. Webサイトの入口ページ
   用例: 「Yahooのホームページは大分類のメニューになっている」

(C) 「入口」に群を代表する性格があることからその代表する群全体に
    語義が拡張されてしまったもの
 C1. Webサイト全体
   用例: (HP社製PC用ドライバの話題で)「hpのホームページで探しま
         したが見つかりません。」
 C2. ひとつのWebプレゼンテーション全体
   用例: 「ホームページ一式をまとめてダウンロードするには…」
 C3. 特定のサイトや管理単位に属するWebサービス
   用例: 「…の問題について、ホームページを停止して調査する…」
         (NHKニュースより)
   注記: 停止した状態で調査できるということはハードやシステム全
         体ではないから、Webサービスのみ止めていると考える
 C4. Webサイトの形で実現されているひとまとまりの事業
   用例: 「ホームページを担保とした日本で初めての融資」
   注記: この用例はポータルサイトの運営に関する種々の権利を組み
         合わせて事業化した全体を「1個の知的財産権」と見なした
         表現と考えられる。

(D) 「入口」という語義はおろか、そこから派生した「群」という語義
    まで無視してしまったもの、およびそれに別種の限定を施したもの
 D1. 任意のWebページないしWebコンテンツ
   用例: 「たどっていった下の方のホームページに書いてある」
 D2. WWW全体
   用例: 「インターネット利用ではホームページが圧倒的に多い」
 D3. Webページのうち、個人が公開しているもの
   起源: 「ホームページはプロバイダーを利用して個人が公開してい
    るような小規模なウェブページを指すことが多い」(NIKKEIプラス1
    2002.4.20号)
 D4. Webページのうち、個人が公開していてダサめ、ただし「HP」より
     はややダサさが軽いもの。
    起源: 2ちゃんねるスレ「ダサいホームページ作成マニュアル」派生
    サイト掲示板の書き込みから。
 D5. Webページのうち、ブログに対置される「旧来の手法」で作られたもの
    起源: 朝日新聞や技術評論社で「ホームページからブログに移行…」

(E) 分類(A)〜(D)に属するものを実現あるいは利用するための「手法」
    や「手段」など
 E1. HTMLファイル
   用例: 「ホームページを『メモ帳』で開いて修正します」
 E2. Webサービスを実現するソフトウェア
   用例: 「おたくのホームページはApacheですか?」
 E3. Webブラウザ、ないしネットワーク関係のアプリケーションソフト
   用例: 「…ネットワーク機器のメンテナンスに必要なアプリケーショ
         ンというと、telnet、tftp、ターミナルソフト、電子メール、
         ホームページ、などだろう。」
 E4. Webコンテンツの作成/編集/オーサリング
  用例: 「ワープロ感覚の日本語ホームページソフト」
  注記: 他のソフトでは「文書ソフト」ではなく「文書作成ソフト」、
        「図形ソフト」ではなく「図形作成ソフト」ですから、上の用
        例の「ホームページ」には「作成」等までが含まれているもの
        と解釈できます。

(F) 語感から類推した新たな造語
 F1. 個人の家庭や家屋に関する内容を持つWebページ
   用例: 「私のホームページです(と、家族紹介のページを見せる)」
   用例: 「マイホームページです(と、自宅の写真や間取りを紹介した
           ページを見せる)」

(G) 「Webページに関わる○○」を指し示す際に「○○」を省略して表
    現したとみなせるもの、および最初はそうだったのかも知れないが
    省略と関係なく独り歩きしてしまったもの。
 G1. URLないしURI
   用例: 「新聞広告の隅にホームページも載っていました」
   用例: 「ftp://....tar.gz というホームページから取れます」
 G2. ホスト名ないしIPアドレス
   用例: 「○○のホームページはwww.***.co.jpです」
   用例: 「(Webサーバと全然関係ない文脈で)『traceroute ホームペー
         ジ』を実行してください」
 G3. 電子メールアドレス
   用例: 「★★のホームページにメールして聞きましょう」
   用例: 「メール送信は1時間に30ホームページが限界です」
   注記: 用例1は当該Webプレゼンテーションが誘導しているアレスを
         指すと考えられるが、用例2はWebとは明らかに無関係
 G4. 計算機システム(ハード、ソフト)
   用例: 「おたくのホームページはPentium(Linux)ですか?」
   注記: Webサービス用に限定されないものを指すという点でE2と異なる
   注記: 「省略と関係ない独り歩き」の事例は確認されていない
 G5. 2次記憶装置
   用例: 「ホームページの容量50MBまで利用可能です」
   注記: 「省略と関係ない独り歩き」の事例は確認されていない
 G6. メーリングリスト
   用例: (メーリングリストへのメールで)「始めまして、最近このホー
        ムページを知りました。メンバーにいれていただきたく思い、…」
 G7. (Web-)BBS
   用例: 「ホームページのいじめもすごいよ」(ビートたけし談)
   注記: 「省略と関係ない独り歩き」の事例は確認されていない

(H) 分類(G)のさらに先として、Webページに関わる○○がポピュラー
   なことから、Webページではない○○を指してしまったもの。
 H1. 自分が外部に対して表現している何らかのもの
  用例: 「♪そうね 人生のホームページ 更新するわ 〜」(とある歌詞から)
 H2. 公開日記
  用例: 某週刊誌において、ゲストの1日の行動を羅列するコラムの題
        名が「ホームページ」となっている(Webの日記サイトからの類
        推でつけられたものと想像される)。
 H3. Q&AないしFAQ
  用例: 毎回テーマを決めて取り上げる某テレビ番組において、その回
        のテーマに関するQ&Aコーナーの名前が「ホームページ」となっ
        ている(Webで多く公開されているQ&AやFAQからの類推でつけら
        れたものと想像される)。

(I) 「代表例として本用例集のどれかのものが挙げられるもの」を指し
    示すのに「ホームページ」を使っている
 I1. インターネット
  用例: 「ホームページって言うのは、世界中の人とお話ししたりでき
        るの」(G6やG7の可能性もあるが、それらをともに包含したも
        のとするとインターネットということになる)

(J) 一般の単語でも同様な言い方をする場合があるため、新たな用例と
   するには無理がありそうなもの
 J1. (Webサイトを運用している)個人や組織
  用例: 「○○省のホームページが被害にあった」
 J2. 紙に印刷されたWebページ
  用例: 「○○の印刷機能が不具合でホームページの右側が切れます」
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