Path: ccsf.homeunix.org!ccsf.homeunix.org!news1.wakwak.com!nf1.xephion.ne.jp!onion.ish.org!news.daionet.gr.jp!news.yamada.gr.jp!newsfeed.media.kyoto-u.ac.jp!cancer.nca5.ad.jp!133.16.26.50.MISMATCH!nns!chiaki From: chiaki@ipc.kit.ac.jp (Tsukamoto Chiaki) Newsgroups: fj.sci.math Subject: Re: 距離と位相 Date: Sun, 18 Jan 2004 14:07:05 +0900 Organization: Kyoto Institute of Technology Lines: 60 Message-ID: <040118140705.M0159398@ims.ipc.kit.ac.jp> References: <400837CB.4080100@d5.dion.ne.jp> NNTP-Posting-Host: ims.ipc.kit.ac.jp Mime-Version: 1.0 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp X-Trace: nns.kit.ac.jp 1074402425 26920 133.16.16.10 (18 Jan 2004 05:07:05 GMT) X-Complaints-To: nns NNTP-Posting-Date: Sun, 18 Jan 2004 05:07:05 +0000 (UTC) X-Newsreader: mnews [version 1.22PL5] 2001-02/07(Wed) Xref: ccsf.homeunix.org fj.sci.math:534 工繊大の塚本と申します. In article <400837CB.4080100@d5.dion.ne.jp> 柳楽盛男 writes: > 疑問I. 集合Xに2元間の距離d: X x X -> R が与えられていると > e-近傍 U(x,e) = {y| d(x,y) 任意のUの元xに対してd(x,e)⊂Uとなるe>0存在するXの部分集合U全体を > 開集合としてXに位相が入ります。写像d: X x X -> Rが距離といわれるための > 条件は > (i) d(x,y)>= 0,特にd(x,y) = 0とx = yとは同値。 > (ii) d(x,y) = d(y,x) > (iii) d(x,z) =< d(x,y)+d(y,z) > ですが位相が入るための必要条件は(i)だけよいと思いますが正しいでしょうか? 位相を各点 p での基本近傍系 N(p) を定めて与えるには, 集合の族 N(p) が (0) N(p) ∋ U ならば U ∋ p. (1) N(p) ∋ U, V ならば, ある W ∈ N(p) があって, W ⊂ U ∩ V. (2) N(p) ∋ U に対し, ある V ∈ N(p) があって, 任意の V の点 q に 対し, ある W ∈ N(q) があって, W ⊂ U. を満たす必要があります. (2) の条件は, p が N(p) の元 U の内点になって いることを保障するものです. # 集合 A の点 p が A の内点であるとは, ある V ∈ N(p) があって, 任意 # の V の点 q に対し, ある W ∈ N(q) があって, W ⊂ A となること. # (2) を使うと, この V の点が全て A の内点であることも分かります. 距離によって定義される基本近傍系の元 U(p, e) = { q | d(p, q) < e } は 三角不等式 (iii) を用いると, それ自体開集合であることが分かりますし, 基本近傍系が (2) を満足することも明らかですが, (i) しか満たさないよう な「距離」ではそうとは限りません. 例えば, F(x) = x ((sin x)^2 + exp(-x)) として d(x, y) = F(|x - y|) と いう「距離」を実数全体に入れると, U(0, e) は大体, |x| が小さいところと |x| の大きなところでの π の整数倍の近くの小さな区間の和で, しかも その区間の幅は |x| が大きくなればどんどん小さくなっています. p が 0 で ないなら, U(p, c) は U(0. e) に含まれることはありません. つまり, (i) だけでは位相を定義するには不足です. > 疑問II.GL(n,C)に位相をいれるには距離 > d(X,Y) = Σ_(ij) (X_ij-Y_ij){(X_ij-Y_ij)の複素共役} > を定義すればよいように思いますが正しいでしょうか? これ自体は距離ではありません. 三角不等式が満たされませんから. これの 平方根をとったもの, d(X,Y) = \sqrt{Σ_(ij) (X_ij-Y_ij){(X_ij-Y_ij)の複素共役}} は GL(n, C) を C^{n^2} と考えたときの自然なユークリッド距離です. 基本 近傍系は, 距離で考えても「距離」で考えても, この場合は同じですから, 位相を定義するにはどちらでも良いとも言えはします. > あるいは一般的な方法でしょうか? 距離と単調連続関数との合成で作った「距離」では余り面白くありません. -- 塚本千秋@応用数学.高分子学科.繊維学部.京都工芸繊維大学 Tsukamoto, C. : chiaki@ipc.kit.ac.jp