Path: ccsf.homeunix.org!CALA-MUZIK!news.yamada.gr.jp!not-for-mail From: =?ISO-2022-JP?B?GyRCOjQhOUxaGyhCIBskQjFRTy8bKEI=?= Newsgroups: japan.anime.pretty,fj.rec.animation Subject: Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18) Date: Sun, 5 Jun 2005 18:15:18 +0900 Organization: Public NNTP Service, http://news.yamada.gr.jp/public.html Lines: 232 Sender: hidero@po.iijnet.or.jp Message-ID: References: NNTP-Posting-Host: u051106.ppp.dion.ne.jp Mime-Version: 1.0 Content-Type: text/plain; charset=ISO-2022-JP Content-Transfer-Encoding: 7bit X-Trace: zzr.yamada.gr.jp 1117962938 15277 218.222.51.106 (5 Jun 2005 09:15:38 GMT) X-Complaints-To: usenet@yamada.gr.jp NNTP-Posting-Date: Sun, 5 Jun 2005 09:15:38 +0000 (UTC) X-Newsreader: Sylpheed version 1.0.4 (GTK+ 1.2.10; i386-unknown-freebsd4.11) Xref: ccsf.homeunix.org japan.anime.pretty:2521 fj.rec.animation:4093 佐々木@横浜市在住です。 # 「神風怪盗ジャンヌ」のアニメ版第40話から着想を得て # 書き連ねられているヨタ話を妄想と呼んでいます。 # そういう2次創作物が嫌いじゃ無い方のみ、以下をどうぞ。 (その1)、 (その2)、 (その3)、 (その4)、 (その5)、 (その6)、 (その7)、 (その8)、 (その9)、 (その10)、 (その11)、 (その12)、 (その13)、 (その14)の続きです。 ★神風・愛の劇場 第173話『水妖』(その15) ●桃栗町町境近く 街を歩いていたら何かを探す様にキョロキョロしていた女の子を見かけ、声を 掛けてみたら知っている家を探しているところだった。しかし実は自分も道順を あまりよく憶えていない事に後から気付き取りあえずアンに聞いてみようと家に 行ってみたが留守だった。しかし丁度良くそこへ連絡が入り、アン達だけでなく まろん達も居ると聞いたので連れてきた。という大体の経緯を語るユキの話を ずっとチェリーを抱いたままで聞いていたまろん。“ついうっかり声を掛けたら” とユキが言った時にクスクス笑った以外は特に質問を差し挟まず黙って聞いて いました。話の最中の半分は上の空の中で。 「ちなみに電話したのは私です」 エリスが途中で注釈を入れたので、何時アンが電話したのだろうという疑問も 消えたためか、まろんは素直にその話を信じたのでした。もっともチェリーとの 再会を喜ぶ気持ちが、ここに至る経緯を詮索する気持ちを消し去っていたという 面もあったのですが。それでも彼女を連れてきてくれた事には丁寧に礼を言った まろん。むしろユキの方が妙に恐縮してしまっている様に見えました。 そんな様子をジト目で見ていた都の“まぁ子供だから大目に見るか”という呟きを 聞きつけたエリスは、この点に関しては放っておこうと思うのでした。 「二人の問題だしね」 「え?」 その呟きについ顔を向けた都に微笑むエリス。何故か見透かされた気がして都は 俯いてしまいます。一方のエリスはそんな事にはお構い無しで、どうやら言い訳が 終わったらしいユキの傍に行き彼女の手を引いて少しだけまろん達から距離を おきました。 「ユキ様」 「はい?」 「挙動不審ですよ」 「え、ええっ?そう?何か変かしら」 「何事も誤魔化すのが苦手なご様子」 「そうかしら…」 小首を傾げつつ納得いかないといった表情のユキ。エリスは即座に話題を変えた フリをします。 「水着、良くお似合いです」 「本当に?すごく迷ってから決めたのよ。お世辞でも嬉しいわ」 「ミカサ様が居なくて残念ですね」 「ええ…」 と言ってしまって慌てて両手で口を塞ぐユキ。顔を真っ赤にしながら、先ほどの エリスの指摘がその通りだった事を身をもって納得するのでした。そんな様子を 好ましく思う一方で“これがあのミスト様の妹君なのか”と疑問を感じもする エリス。もっとも次に口にしたのは全く別の事柄でしたが。 「で、あれは誰なんです」 「へっ?」 「あのチェリーって娘の事です。普通の人間じゃ無いにおいがします」 「ああ、それはね」 今度はエリスに本当の事を説明するユキ。耳元で囁く様な小声でしたが、念の為 に公用語で話しました。自然に、エリスの受け応えも魔界の言葉になっています。 『成る程、それが揉め事の正体ですか』 『揉め事って?』 『ノイン様が、揉め事の種がこっちに来るので宜しくと言ってたんですよ』 『それ、私の事は勘定に入って無いわよね?ね?』 揉め事の種という表現につい引っかかるユキ。エリスは否定も肯定もせずに曖昧 な笑顔で頷いて見せ、ユキを余計におろおろさせてしまいます。もちろんそれは ちょっとした意地悪なのですが。 ●桃栗町の外れ・ノインの館 リビングにてTV画面にじっと見入っているノインとミカサの二人。といっても ミカサの方は傍目には少々落ち着きが無い様子に見えました。真っ直ぐ見つめる のはどうにも気が引け、さりとて顔を背けているのはあまりにも白々しい行動に 思えたミカサ。しかたなく時折画面の四隅に視線を逸らせたりするのですが、 それがかえって画面の隅々まで凝視している様に見えてしまいます。 当然ながら、そんな美味しい様を見逃すノインではありません。 「堪能していただけている様でなによりです」 「は?」 「しかしそんなに食い入る様に見つめなくても、良いシーンは繰り返し再生 出来ますから何時でも言ってください」 「繰り返し…まさか録画までされていたのですか」 「いいえ。ですが魔道装置ですから多少過去に遡るくらいは問題無く」 「ノイン様」 「なんでしょうか」 「ユキの着替えの時まで遡ったりはなさいませんよね?」 「流石にそこまでは」 「ならば結構です」 本当は録画もしているのだと言わなくて良かったと、ノインは表には表さずに 安堵の溜息をついていたのです。 ●桃栗町町境近く 折角だから泳ごうと言ってまろんと都はチェリーを連れて競泳プール風呂に 行ってしまいました。表向きは用がある訳では無かったものの、立場上は 彼女達を監視しない訳にもいかないユキ。そこでプールサイドの四人掛けの テーブルに陣取ってくつろいでいる風を装いつつ、まろん達の事を遠目に見て いました。どうやらチェリーは泳ぎが得意では無いらしく、まろんが手を取り 都が何かアドバイスをしているらしい様子が見えました。少し離れていた為に 声までは聞こえませんでしたが、ユキはそんな三人を眺めながら泳ぎが不得手 なのは少女なのだろうかシンの方なのだろうかとぼんやりと考えていました。 そこへ両手に大盛りチョコレートパフェを持ったエリスとアンがやって来て、 同じテーブルの向かいに座ります。アンが片方のパフェをユキに差し出し、 もう一つをエリスの前に置きました。 「よかったら召し上がりませんか」 「ありがとう。でも…凄い量ね」 「顔を覚えられてしまって、何にも言わなかったのに大盛りが出てきたんです」 「どういう事?」 アンは苦笑いしながら理由を説明します。ユキは途中まで真面目な顔で聞き、 途中からクスクス笑いながらアンの話に耳をかたむけました。 「それじゃ、そのパフェ三つも全部エリスが食べるのね」 「なんだか気に入ってしまって。魔界に帰ったら食べられないでしょうから、 今のうちに食い溜めです」 「あなた料理得意でしょう。魔界の材料でも同じ様なもの、作れるんじゃない?」 「それはちょっと考えてます。で、味とか何で出来てるのか憶えておこうってのも 沢山食ってる理由のひとつなんですよ」 「まぁ、勉強家ね」 「嘘ですよ。単に食べたいだけ」 アンが呆れ顔で言い添えました。黙らせる為というつもりなのか、スプーンに 生クリームを山盛りに掬い取ってアンの顔の前に突き出すエリス。それをアンが ぱくりと口に入れるところを見て、確かに二人は姉妹なのだなと改めて納得する ユキ。そしてそんな姉妹の関係をとても羨ましくも思うのでした。 「そうだ。さっきはごめんなさい、邪魔しちゃったわよね」 エリスもアンも、ユキが何を言っているのか判らずキョトンとした顔で見つめ 返してきました。 「大事な勝負の最中だったのでしょ?でも一瞬、私達の方を向かせちゃったから」 「ああ…」 その事かとエリスは思い至り、そしてアンはエリスが試合中に注意を逸らせた 理由をやっと知ったのでした。 「別に構いませんよ。もう充分に満足してましたから」 「ほんとにあれでよかったの?」 まだ少し納得出来ていないアンが尋ねます。 「本当に満足したさ。アンと本気で遊んだの、久しぶりだから」 「そっか。うん、そうだったね」 エリスが再び差し出したスプーンを口にふくむアン。何だか姉妹以上の関係に 見えるかも、と想像してユキは一人で勝手にどぎまぎしていました。ユキからは 見えないテーブルの下では、手を繋いでいたりして等と想像を膨らませながら。 実際にはエリスもアンも両手をテーブルの上に載せていたのですが。 * まろんはチェリーの手をとって、先ずは浮くことからという伝統的な方法で 泳ぎを教えようとしていました。そして水に顔を着ける事には抵抗は無いらしい のに、何故かチェリーは顔を上げると何時も目を閉じている事に気付きます。 それは傍で見ていた都も同様でしたが、ぷくんと水中に潜って下からも見てみた 点がまろんとは違いました。そして水面から顔を出すとチェリーに話しかけます。 「ねぇ、目を開けた方がいいわよ。最初はしょぼしょぼして気になるかも 知れないけど」 「そうそう。それに水の中で目を開けると面白いんだよ」 頷きはするもののガンとして目をぎゅっと閉じているチェリー。まろんも都も、 よもやそれが目の前にぷかぷか浮かんでいるまろんの胸元やら水中で跳ねる様に 動く二人の足やらその付け根やらを見ない様にする為だなどとは想像もしません でしたが。そんなチェリー=シンの耳に音では無い声が聞こえてきます。 “うひゃっひゃっひゃっオトコのくせに人間の小娘どもの身体が見られない とはとんだ出来損ないめ” “ジロジロ見ないのはエチケットという物だ” “嘘を言うな。悪魔のくせに嘘の下手な奴だな。ここは偶然を装って抱きついたり 押し倒したりするのが礼儀だろうフヌケ。神の御子もきっと喜ぶぞ” “なにを破廉恥な…” “そしてオトコならモノ突っ込んで自分の種を蒔くのが究極の目的だろうが” “いい加減に” “ワハハっ、今、この身体にそんなモノは付いてないと思っただろ。見直したぞ、 ちゃんとオトコの部分もあるんだな” “う、うるさいっ!” “とはいえ無けりゃ無いで他にヤリ様があるだろ頭悪いな。とりあえず手を 振りほどいて目の前の布切れの中に突っ込めよ。指で神の御子が乙女かどうか 確かめようじゃないか” “なんだ判らないのかアタシの言ってる事の意味が。なんなら今のこの身体で まず場所だけ教えてやろうか” “なんだよ無視かよ” “じゃ見てな、アタシが手本って奴を見せてやるから” “ま、待ちたまえ、君は私と一緒に我等の部隊へ合流して” “寝言は寝てから言いな” 突然ガバッっと顔を上げて激しくむせたチェリーに驚き、まろんと都は慌てて 彼女を両側から抱きとめました。背中をさすってやりながら、きっと水中で 息をしてしまったのだろうと思う二人。その為、チェリーの口から飛び散った プールの水であるはずの物が微かに紫色を帯びていた事に気付く事はありません でした。 (第173話・つづく) # 全20編にまではならないはず ^^; では、また。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■ ■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■