Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)

石崎です。

佐々木 英朗さんの<20020222125427.65a1b455.hidero@po.iijnet.or.jp>から
>佐々木＠横浜市在住です。

こんにちわ。先週はお休みしてしまって申し訳ありません。

># 本スレッドは「神風怪盗ジャンヌ」のアニメ版第４０話から
># 着想を得て書き連ねられているヨタ話です。
># 所謂サイドストーリー的な物に拒絶反応が無い方のみ以下をどうぞ。

ということですので、宜しくお願いします。

>> >★神風・愛の劇場　第１６１話 『私の中』
>
># 塩辛いかもしれません。（爆）

　心の汗を沢山流すことになるのでしょうか？

>以前のメールでの相談の結果、脇役（笑）関連の担当でしたね、私が。（笑）

　…と言いつつ、今回弥白様の話に少し介入してみました。

＃一応、当初からの予定だったので。

　恐らくこの展開は予定外だとは思うのですが、弥白様の結末には影響は出ない
と思いますので、都合の良いように存分にお使い下さい。

＃…って誰をだ（笑）？

># 先に言ってしまいますが、今のままで行くと（佐々木担当回の勘定で）
># 数話以内に結構大きな人間関係の変動がある予定。
># 今の人間関係の枠内で書きたい事があるのでしたらお早めに。

　というお話ですので、これから２〜３回程私パートで話を進めさせて頂こうと
思います。

＃本当は１週間で書き切れなかっただけだったり（笑）。

　逆に、人間関係を大きく動かされる際に、佐々木さんパートで数話連続で書か
れても宜しいかと思います。元々そういう約束ではあったのですが、一応。

＃佐々木さんが誰と誰の人間関係を動かされようとしているのかは良くは判らな
＃いのですが、現状のままそれが起きても多分問題は無いと考えています。

>> ★神風・愛の劇場　第１６２話『記憶の彼方』
>
>まろんちゃんの家を覗きに行くのは当然として、もしも中にお邪魔したら
>面倒な事になりそうでした。稚空しか見えない（はず？）なので余計に。^^;

　都ちゃんだと彼らの存在に気付いてしまいそうな気も（笑）。

>怪我（疵）が無い事をスカートめくって見せる都ちゃんがとってもナァ〜いす。

># まろんちゃん共々、もっと入念に痣が無いか確認したかったなぁと思い。

　絵で見せることが出来ないのが本当に残念。

>傍目にはまろんちゃんの受け答えはちょっと都合が悪い話を強引に逸らした様
>な感じですので、都ちゃんがもっと落ち着いて考え直すと無茶怪しまれそうで
>す。

　都ちゃんの記憶が本当はどこまであるのかは今後の話で重要かと思われます。

>## 低い方から普通の展開まで様々に妄想が。（ぉぃぉぃ）

　一応低い方から普通の方まで用意していますが（笑）。

>滞在中の人外対策チームの皆さんですが、セルシアが寝てしまっているという
>事は
>一日中話し合いをしていたんでしょうか。長い会議は良くないです。（笑）

　いえ、セルシアは開始後すぐに寝てしまったのです（笑）。

># でも、きっと夕食が出てくると目覚めるんだろうな＞セルシア ^^;

　本当に目覚めてしまいました（笑）。

>★神風・愛の劇場　第１６３話 『眠り姫』

　あらら、佳奈子ちゃんもずっと眠り続けていたのですね。
　眼鏡を外すと美形と言うのはお約束ですが、起きていると睨んだような表情に
なってしまうと言うのはリアルではあります。

＃やはり、コンタクトにして貰わないと（笑）。

　夢の中（推定）で、弥白様に悪魔の囁きをかけているのは、やはり悪魔の影響
を受けているのであろう佳奈子ちゃんが、悪魔の囁きをしているのでしょうか。
　何をすれば良いのか知っていると言うのは、佳奈子ちゃんの行動パターンだと
邪魔者の抹殺ということなのでしょうが、一体それは誰なのか。
　常識的に考えるとその対象はまろんちゃんなのですが、それは一度ミストの囁
きにより弥白様自身が実行していますから、違う誰かなのかもしれません。

＃某黒幕、稚空そして都ちゃんが憎しみの対象としてはありえそうですが。

　では、本編。


★神風・愛の劇場　第１６４話『お役に立ちます』（その１）

●オルレアン・まろんの部屋

　稚空とまろんが再度喧嘩を始めたことで、今日の作戦会議はこれでお開きかと
アクセスは覚悟したのですが、意外にもあっさりとまろんは稚空を追求するのを
止め、夕食の準備を始めたので喧嘩は自然に終了という形となりました。
　夕食の匂いが部屋に漂って来る頃には、眠りこけていたセルシアも目覚め、夕
食の後濃いめに入れたコーヒーを飲みながら作戦会議を再開することとなりまし
た。

　リビングのテーブルの上に広げられた桃栗町の地図には、トキ達が天界から降
り立った時に確認した、悪魔達が潜伏していると思われる地点に丸印がつけられ
ていて、これから厳密にどの場所にあるのかを捜そうというところまで話は進ん
でいました。

「それで…私は何をすれば良いんですです？」

　次々と各人の担当が決まっていく中で、まだ名前を呼ばれていないセルシアが
しびれを切らしたのか話に割り込んできました。

「そうですね。セルシアは、この部屋で何かあるまで待機していて下さい」
「はいですですっ！」

　元気良く答えたセルシアでしたが、すぐに首を傾げます。

「一人だけ留守番なんて嫌ですですっ！」
「この部屋の真下にミストの隠れ家が最近まであったように、悪魔達がこの家を
狙うことがあるのかもしれないのですよ？　留守番とて立派な…」
「セルシアはやっぱり、邪魔なんですです？」

　実のところ、トキは本気でまろん達の家に悪魔が何かを仕掛けるのではと心配
していて、それをセルシアに理解して貰おうとしたのですが、彼女にその意図は
伝わらず、逆に自分だけがのけ者にされているのでは無いかとの疑惑を確信に変
えてしまったようでした。
　じわじわとセルシアの目には涙が溜まっていき、やがてそれは頬を伝って床へ
と流れ落ちて行きました。

「いや、あの、その…」
「あーあ、泣かしちゃった」

　流石のトキもどうしたら良いのか判らず、ただおろおろとするばかり。
　まろんはセルシアの頭を撫でて慰めつつ、トキのことを非難がましい目で見つ
めていました。

「セルシアに頼みたいことがある」

　腕組みして考えていた稚空が口を開きました。

「何ですですっ!?　名古屋さん」
「弥白の側についてやっていて欲しい」
「弥白さん…ですです？」

　弥白の名を聞いた瞬間、まろんは稚空を睨み付けていました。
　セルシアと言えば、誰だか判らないという表情をしています。

「いや、稚空の言うことももっともだぜ、まろん」

　アクセスが助け船を出しました。

「どういうことなの？」
「体育館のあの事件の時、弥白は悪魔に取り憑かれていた。今では悪魔から解放
されているとは思うが、暫くは彼女から目が離せない。それに…」

　それきり目を瞑り、黙ってしまったアクセス。
　続く言葉を暫くまろんは待ちましたが、アクセスの話はそこで終わりのようで
した。

「悪魔に狙われるかもということなら、桐嶋先輩やあの枇杷高校の子だって。そ
れに、都もツグミさんも、みんな悪魔に狙われるかもしれないんだよ？」
「それはそうだが」
「そんな弥白さんのことが心配なら、稚空が弥白の側についていてあげたら？」

　冷たく言うまろんでしたが、稚空の気持ちは理解してあげている積もりでした。
　それで、渋々ながら了承しようとしたのですが、その前にトキが口を開きまし
た。

「いえ、セルシアには山茶花弥白さんの護衛の任について貰いましょう」
「トキ？」

　意外そうな顔で稚空とまろんがトキの方を見ました。

「良いですね。セルシア」
「事情は判りましたですですっ！」

　セルシアは相変わらず涙を溜めていましたが、それは先程とは違う理由による
ものでした。

「事情？　何よそれ」
「おい、アクセス。お前…」
「何よ、稚空。何か知ってる訳？」
「まろんさんは知らないんですですっ？　弥白さんは…」
「セルシア！」
「あ…」

　セルシアが何かを話し出そうとした直後、トキが彼女を制すると、セルシアは
黙ってしまうのでした。

「何か私一人が仲間外れみたい。嫌な感じ」

　一同が沈黙した中、ぽつりとまろんは呟きました。

「すまない、まろん。弥白は今でも…」
「ううん。稚空は謝らなくて良いよ。山茶花さんは今、精神的に参っているんだ
よね」
「あ、ああ」
「本当は寂しかったの。山茶花さんについて詳しいこと、稚空は何も教えてくれ
なかったから。私、稚空と山茶花さんの間に私の知らない世界があることに、ち
ょっと妬いてた。でも良いの。この前、体育館が崩れる時、稚空は私と生死を共
にしようとしてくれた。嬉しかった。あの時に私は決めたの。これからは稚空の
ことをもっと信じようって。だから今回も稚空のこと、信じてるから。私、山茶
花さんのために何かしてあげたい。だけど、多分私には山茶花さんを救うことは
出来ない事なのだと思う。だから、稚空は私に詳しいことを話さないんだよね」
「まろん…」

　稚空はテーブル越しに膝の上に置かれたまろんの手を取り、握りました。
　そのまままろんの目を稚空はじっと見つめていました。
　いつもの彼であれば、気の利いた台詞の一つや二つ、口から沸いて出る筈でし
たが、その時はかけるべき言葉が見つかりませんでした。
　でも、それで十分だったのです。

「コホン」

　アクセスの咳払いで我に返った二人は、慌てて離れ、顔を赤らめました。

「じゃあ、山茶花さんのことを宜しくね。セルシア」
「判りました！　このセルシアにお任せですですっ！」

　セルシアは立ち上がると、胸をドンと叩きました。
　もっともそれを見て、頼もしいと思う者はこの場には居なかったのですが。

＊

　夜も更け、稚空、アクセスそしてトキは、稚空の部屋へと引き上げて行きまし
た。
　一度は床についたまろんでしたが、空腹を感じ、牛乳でも飲もうとキッチンへ
と向かうと、灯りのついていないリビングに、羽根の生えた人影が見えました。

「フィン？」

　そう言いかけたまろんでしたが、すぐにそれがセルシアの姿であることに気付
きます。

「セルシア、まだ起きてたんだ」
「何か、眠れなくて…」
「そりゃああれだけお昼寝してれば…」
「ごめんなさいですです…」
「ねぇ、ちょっと話さない？」
「話…ですです？」

　灯りをつけ、ハーブティを二人分入れたまろんは、セルシアと並んでソファに
座りました。

「あの…さ」
「はい？」
「あの時、アクセスから山茶花さんについて何を聞いたの？」
「何も聞いてませんですですっ」
「テレパシーか何か。そんな力があるんでしょ？　フィンに聞いたわ」
「そう…ですが…」
「山茶花さんのこと、セルシアは知らなかった筈なのに、その後では山茶花さん
のために涙を流してた。何か聞いたんだよね？」
「まろんさんは知らない方が良いと思うですです…」
「稚空にはああ言ったけど、やっぱり気になるの」
「私の口からは言えません。ごめんなさいですですっ」
「そう…ごめんなさい。変な事を聞いて」
「いいえ。でも安心して下さい。山茶花さんを死なせはしないですですっ」
「死なせるって、随分とオーバーね」

　そう言ったまろんでしたが、セルシアの表情は真剣でした。

「セルシア？」
「オーバーじゃ無い…ですです」

　セルシアの目は再び涙で溢れていて、そのまま彼女はまろんの胸へと飛び込ん
できました。
　自分の胸の中で泣き続けるセルシアの肩を抱きしめながら、まろんは一体セル
シアは何を聞いたのだろうと思うのでした。

（第１６４話　その１　完）

　第１６４話（その２）以降は来週末に投稿する予定です。
　では、また。

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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp