Kamikaze Kaito Jeanne #44 (1/29)
石崎です。
数ヶ月前から判ってはいましたが、とうとうこの日が来てしまいました。
神風怪盗ジャンヌ第44話『汝、神風となれ!』の感想など。
単行本未収録の原作ネタに若干触れているのでご注意。
特に注の無い限り、台詞部分は本編よりの引用となっております。
今週は仕事の関係でフォロー返しは金曜日の夜以降となりますのでゆっくりフ
ォローして下さいね。今までROMの方の感想もお待ちしております。
では、ゲームスタート!
^L
どういう終わらせ方にするのか、興味津々だったのですが、フィンを元の準天
使に戻して、そして両親が魔王から解放されて…という爽やかなラストでした。
この手の作品の最終決戦と言うと、ラスボスが圧倒的な力で主人公をピンチに
陥れ…というのがある意味お約束で、ジャンヌもそうなってしまうのではと危惧
していたのですが、まろんの心の弱さを突いて、前回に引き続いて心理攻撃をか
けてきました。まろんの両親をつかってジャンヌを傷つけるという展開は予想で
きましたが、まろんがフィンを説得しようとした台詞をフィンがお前が言うか的
にそのまま返して、それがまろんを絶望の底に沈める…と言うのが良かったです。
神様と魔王の戦いに関する設定とか、本当にフィンは単に魔王に洗脳されたか
らああなってしまったのとか、肝心な点に関して曖昧な部分が残されているので
すが、これは原作が継続中であるので、アニメの方で勝手に設定を作ることが出
来なかったということもあり、視聴者が想像して下さいという事で良いのかと思
います。
今回のポイントは、やはりまろんを踏みにじる「女王様」フィンでしょうか
(違)。最後にフィンを抱きしめて解放するジャンヌと言い、大きなお友達を意
識したシーンですね(全然違)。
作画は最終話なので当然良かったですが、原画に作画監督として人気三本指に
入るだろう中田正彦氏の名前が見えます。どこのシーンを描いていたのかな?
★息があった二人
稚空 「俺達は怪盗だぜ」
ジャンヌ「招待されなくても、入ってみせるわ」
(中略)
アクセス「ん〜息ぴったり」
城の前までやって来たジャンヌと稚空とアクセスですが、入り口がありません。
しかし、俺達は怪盗だぜと言うと、ブーメランを壁に突き刺し、リボンを絡ま
せ窓から侵入。何も話していないのに、確かに息が合ってます。
侵入する為には必要とは言え、何気なくジャンヌの手を握り、腰に手を回して
いる稚空。羨ましすぎです(違)。
* * * 第44話『汝、神風となれ!』 * * *
★魔氷城侵入
稚空 「いいなぁ」
ジャンヌ「え?」
稚空 「これぞ、男の見せ場だ。まろんが益々俺の事、惚れ直す」
ジャンヌ「こんな時に何言ってんの」
稚空 「ここは俺達に任せて、先に行け」
ジャンヌ「稚空」
アクセス「フィンちゃんを頼んだぜ、ジャンヌ」
ジャンヌ「アクセス」
稚空 「礼は言わない、だろ」
ジャンヌ、稚空の頬にキス
ジャンヌ「お礼よ」
(中略)
ジャンヌ「有り難う、稚空」
稚空 「さぁ、どこからでもかかって来な。今の俺は、ちょっとばかり手強い
ぜ」
城の中で二人を待ち受けるのは、無数の悪魔達。
ジャンヌと稚空は次々とチェックメイトしていきますが、悪魔は次から次へと
現れます。このシーンはなかなか良いですね。
稚空は変身せずに大量にピンを出しているばかりか、チェックメイトまで生身
でやっています。すると本当にアクセスは、生身の稚空に力を与えていたのか。
今までの話でその姿では無理だぜとアクセスが言っていたのは何故? とか、
アクセスしかピンを出せないような描写があったのは何故? …という事は最早
どうでも良くなって来る位、稚空が格好良いです。
第28話で稚空が悪魔の触手に絡みつかせていたシンドバットのワイヤー、あ
れでもチェックメイト出来たのか。それなら、あの時もそれでチェックメイトす
れば良かったのに…。稚空が飛びながらワイヤーを悪魔に絡ませて着地してチェ
ックメイトした辺り、今回も必殺シリーズを意識しているような。
大量にピンを出していたのは、相手が大勢だからと思っていたのですが、良く
考えてみるとピン一本では現在の悪魔はチェックメイト出来ないので、それでか。
助けられても、「礼は言わないわよ」というジャンヌ。まだジャンヌとシンド
バットとライバル関係にあった頃の癖が残っているのが微笑ましいです。
アクセスがフィンの居場所を突き止め、稚空はジャンヌを先に行かせます。
この時の稚空の言い草が、序盤のナンパ君だった頃の稚空を彷彿とさせます。
そんな稚空の頬にジャンヌはキスします。唇でキスした仲なのに…と思ったの
ですが、まろんの方からキスしたのはこれが初めて。今までは稚空が唇を奪った
って感じですから(違)。これは稚空も嬉しかろう。
最終話にして、稚空はジャンヌに漸くお礼を言って貰えました。
★二人の出会い
フィン 「初めましてまろん。あなたに、告げることがあるの」
(中略)
まろん 「ジャンヌになんてなれない。夜が怖いの。私は独りぼっち」
フィン 「何言ってるの!? まろんにはフィンがいるじゃない! フィンはいつ
だってまろんと一緒だよ!」
(中略)
ジャンヌ「やっぱり駄目。泥棒なんて無理」
フィン 「まろんなら絶対大丈夫!」
ジャンヌ「本当? 信じていいの?」
フィン 「天使は嘘付かない」
(中略)
ジャンヌ「信じて、いいんだよね」
フィン 「信じていいのさ。まろん。ウフフフ…」
城の最上階に向かって走るジャンヌを鏡で見ているフィン。
ここで新たに描き起こされた回想シーンが出て来ます。
まろんとフィンの出会いのシーンが初めて描かれました。ここは両親が出会っ
たメリーゴーラウンドの前のようですね。まろんの着ていた服は、第20話で着
ていたものでしょうか。フィンは白百合の花を持って現れたんですね。
原作でもフィンとまろんの出会いのシーンが描かれていますが、まろんは制服
姿で、フィンは白百合の花は持っていませんでした。
まろんが、ジャンヌになれないと部屋で言っていたシーン、ジャンヌに変身後、
泥棒なんて出来ないと言っていたシーン、これはまろんを怪盗への道へと進ませ
る過程を描いたものなんでしょうね。
★子は鎹と言うけれど…
匠 「お前は世界を救ったんだ」
ころん 「もうジャンヌにならなくていいのよ」
ジャンヌ「あたし辛かった。寂しかったの」
匠 「全て終わったんだよ。これからまろんは、自分一人の為だけに生きる
と良い」
ころん 「そうよ。もう誰かのために無理をすることは無いの」
匠 「三人、別々の道を歩いていこう」
ジャンヌ「え」
ころん 「これで、私達、本当に離婚できるわね」
ジャンヌ「だって、お父さんとお母さんの仲が悪いのは魔王の…」
匠 「魔王は関係ない。魔王がいなくても、私達はもう元には戻れないんだ
…」
ころん 「まろんがいたから、無理して夫婦を続けていたけど、もうまろんは一
人で大丈夫ね」
ジャンヌ「そんな…」
匠 「もう、二度と会えないだろうけど」
ころん 「お金だけは振り込んでおくわね」
ジャンヌ「私がいけないの…。私がいたからいけないの? 私が生まれてこなけ
れば良かったの?」
匠 「確かにそう思った事はある」
ころん 「今更言っても仕方無い事ね」
ジャンヌが最上階の扉を開けると…何故かそこはまろんのマンションの玄関で
した。
ジャンヌの前に両親が現れ、喜ぶまろん(ジャンヌ)。あからさまに罠としか
思えないのにジャンヌは全く疑う様子が無いのは…多分気にしてはいけないので
しょう(笑)。
両親の顔がOP以外でちゃんと描かれるのは初めてですね。ちなみにまろんは、
10際頃に別れたきり、両親とは会っても手紙すらも貰っていないので、これは別
れた当時の姿なのだと思います。
父親の胸元で泣くジャンヌに両親は、これで本当に離婚できると言い出します。
この喜びから、絶望へと一瞬での切り替わりが絶妙だと感じました。
魔王がいなくても、もう元には戻れないんだという両親に去られ(本当は悪魔
の化けた姿でしたが)、衝撃を受けたジャンヌのロザリオは石になり、ついには
ロザリオは壊れて変身が解けてしまいます。
ノインがジャンヌに両親に悪魔が取り憑いている話をした時に、まろんに希望
を持たせてどうすると感じたのですが、魔王に関係無く両親の仲はもう元には戻
れないとまろんを追い詰めますか。そこまで考えてのシリーズ構成なら凄い。
* * * ここからBパート * * *
★女王様フィンちゃん
フィン 「かわいそうなまろん。弱虫で寂しがりやのまろん。泣き虫で独りぼっ
ちのまろん。あたしがいなければ、何にも出来ないまろん。でも、そんな哀れな
あなたにも、一つだけ良いところはあるのよ」
(中略)
フィン 「それは泣き顔よまろん。みっともなくて惨めったらしくて情けなくて
大好きよ」
ロザリオが壊れ、変身が解けてしまったまろん。
そんなまろんを嘲笑し、顔をヒールで踏みにじる堕天使フィンが、前回の都ち
ゃんに対するフィン同様何とも妖しく、あのコスチュームと相まって本当に違う
意味で女王様で良かったです。鞭を持ち出せば完璧だったんですが(違)。
そうか、フィンちゃんは踏みにじりたい程まろんちゃんの事を愛していたんで
すね(違)。
★普通あれだけされたら死にます
フィン 「本当の気持ちって何? 本当のあたしって何? あんたは私の、何を
知ってるって言うの? 今のあたしが本当のあたしだって考えないの?」
まろん 「考えない。今のフィンは…私の知っている本当のフィンじゃ無いも
の」
(中略)
フィン 「あたしの名は堕天使フィン・フィッシュ。魔王様に忠誠を誓い、神を
心から憎む。それが本当のあたし」
まろん 「安心してフィン。私が必ずあなたを元に戻してみせるわ。だから私…
もう泣かない」
フィン 「うっとうしいなぁ…」
(中略)
フィン 「どうするの? 叫ぶの? 祈るの? そうよまろん。神に助けを乞え
ばいいじゃないの。神の名の下になんて口にするなら、その神を呼び出せば?
でも無駄よ。神は何もしてくれない。何にも出来ない。神が出来ることは三つだ
け。魂を生み出すこと。その魂を見守ること。そして地球の大気を動かす事。見
守るだけの神なんて、神じゃない!」
(中略)
まろん 「フィン、あなたは神様に何を望んでいるの?」
フィン 「何?」
まろん 「神様が願いを聞き入れてくれたら満足なの? 幸せを与えてくれれば
いいの? あなたは受け入れるだけの心でいたいの? 待つだけの時間を過ごし
たいの? 愛されるだけの関係を望んでいるの?(中略)そんなの生きてる事に
ならない(中略)誰かに言われて生きてるんじゃないじゃない。私達は生きたく
て生きてるんじゃない。私達が信じるのは、神様でも魔王でもないわ。自分自身
よ…」
フィン 「うるさい…うるさい…うるさい! 良くも言えたものね。待つだけの
時間を過ごしていたのは、愛されるだけの関係を望んでいたのは、まろん! あ
んたじゃない! 両親からの来もしない手紙を毎日待つだけ。稚空に愛されてい
る事を良いことに、都合の良いときだけ守って貰って。あたしの力を頼り、ジャ
ンヌ・ダルクの力を頼り、神の力を頼ってただけじゃない! 一度でも自分から、
自分の力で何かした事があるの!?」
本当の気持ちを思いだしてというまろんに、私の何を知っていると切り返すフ
ィン。
確かに、ラストまでもフィンがどうして堕天使になったのかは、アクセスが魔
王の洗脳と決めつけたにしては不自然な点が多く(単に設定無いだけかも)謎の
ままに終わっていて、本当のフィンは、恐らくはフィン自身にしか判らないのか
も知れません。
まろんの服を掴み、床に投げ飛ばすフィン。この時のもの凄く遠くまで床を転
がされたような描き方が良かったですが、その後の床に天井にぶつけられるシー
ンのCGエフェクトの効果の使い方は今一かな(偉そう)。
見守るだけの神なんて、神じゃないと言うフィンの台詞も、ノイン同様フィン
にも神に対して何か絶望を感じるような背景が用意されているのであれば、更に
印象深いシーンとなったのですが、その部分が用意されていないか描かれていな
いので、効果が減じられたのがちょっと残念。それとも、この部分も想像にお任
せしますという事かな。
主人公が悪に取り憑かれた敵を説得し、相手がそれで動揺する…と言うのは、
この手の作品では使い古されたパターンですが、その説得の台詞がそのまま自分
自身に対する言葉となっているというのは如何にもジャンヌらしくて良かったで
す。この点については、コレクターズ・ユイのコレクターズ達のグロッサーに対
する台詞とも共通する部分なのですが。
ひょっとすると、魔王によって堕天使にされたと言うのとは関係無く、フィン
はまろんの事が本当に嫌いだったのかもしれません。周りの人々から心配され、
愛されていながら独りぼっちと信じ込んでうじうじしているまろんの事が。
だから、堕天使フィンも、実はフィンの中にいたもう一人のフィンとかそうい
う事なのでは無いかと思いますが、そこら辺も想像にお任せしますと言う事でし
ょう。
フィンに図星を突かれ絶望するまろんの目は死に、がっくりと膝をつきます。
あの程度で? …と感じられない事も無いですが、自分が自分で色々と自分の
事を正当化して来た部分をはぎ取られて、自分の行動の本質を言い当てられる事
は、前回の都同様に、誰にしろショックなものではないでしょうか。
★いきなり強くなっているアクセス
フィン 「かわいそうねぇ…。かわいそうなまろん。あたしの嘘に騙されて、正
義の味方を気取って。でももう良いの。もう怪盗ジャンヌはこの世から消えたの
よ。だから、日下部まろんももう…いらない」
(中略)
アクセス「おっと、勘違いすんなよな。俺はジャンヌを助けたんじゃ無いんだぜ。
フィンちゃんを守ったんだ」
フィン 「何?」
アクセス「今ジャンヌを傷つけちまったら、フィンちゃんが元に戻った時、悲し
むからな」
絶望したまろんに、止めの一撃を放とうとするフィン。
しかし、アクセスがバリヤーで守っていました。ノインの悪魔の力より強いの
か。
ジャンヌを助けるのではなく、フィンを悲しませないために、というアクセス
の行動理由が良かったです。本当は天使である筈のフィンを信じている、その心
がアクセスに力を与えているのかな。今までの話では役立たずだったのにねぇ
(笑)。
ところでアクセスは、ここ数話で、稚空の事をシンドバットでは無く「稚空」
と呼んでいますね。今までの話では変身前も「シンドバット」でしたけど。
★独りじゃないよ
稚空 「まろん、まろん。俺を良く見ろ。俺は、誰だ」
まろん 「稚空…」
稚空 「そうだ! 俺はいつでもまろんの側にいるぞ!」
まろん 「私は…独りぼっち…」
稚空 「違う! まろんは独りぼっちなんかじゃない! 思い出してみろ!
城の外でまろんの事を信じて、まろんが帰って来るのを待ってるのは誰だ!」
(中略)
まろん 「都」
稚空 「そうだ、都だ。じゃあ、まろんに全てを託し運命に身を任せて死んで
いったのは誰だ!」
(中略)
まろん 「ジャンヌ・ダルク。ノイン。全君…」
稚空 「そうだ。まろんは独りぼっちなんかじゃない。俺がいる。都がいる。
ジャンヌ・ダルクも、ノインも、高土屋全も、まろんを見守ってる! それなの
に、まろんが自分自身を信じないでどうする!」
まろん 「自分を…信じる…」
アクセスがフィンの攻撃を防いでいる間、稚空はまろんが独りぼっちでは無い
と言い聞かせます。自分を信じるんだという稚空の言葉に、自分を取り戻すまろ
ん。
委員長やパッキャラマオ先生や東大寺夫妻の事が忘れ去られているのはちょっ
とかわいそうですが(笑)。
★神風誕生
まろん 「私は自分の事を信じる。弱くても、寂しがり屋でも、何も出来なくて
も、私は独りぼっちじゃない。私は、私のことが好き。そして、私が信じて、私
を信じてくれている、私の周りの人達のことが好き!」
ジャンヌ・ダルク「さぁ立ちなさいまろん。そして、自分の力で歩き始めなさ
い」
まろん 「強気に本気、無敵に素敵、元気に勇気!」
ジャンヌ・ダルク「神の吐息は風となり、万物の心吹き抜ける。その風優しく激
しく、時に荒む。なれど決して消え去ることはない。海を見よ、空を見よ、森に
も山にも我とあれ。望みは癒しか挑発か。解けし時こそ進化を遂げよ。汝、神風
なり!」
まろんが自分を取り戻した時、ジャンヌ・ダルクが自分の心の声に耳を傾けな
さいと声をかけます。ちょっと唐突ですが…。
まろんの胸元に光球が現れ、ロザリオ無しで変身を遂げます。もちろん裸です
(あんたそれだけかい)。何だか、セーラームーンR劇場版のうさぎちゃんの銀
水晶発動シーンみたい…と気にしてはいけない(笑)。
ジャンヌ・ダルクの「神の吐息は〜」の台詞は、アニメだけ見ていると唐突に
聞こえますが、原作で火あぶりにかけられているジャンヌ・ダルクが、自分の持
つ神の力をまろんに分け与え、ジャンヌが新たなる変身(アニメの現コスチュー
ム)を遂げるシーンの際の台詞です。この文章自体は、原作の第16〜18話、
第23話に少しずつ掲載されていて、最終的に第23話のジャンヌの新たなる変
身シーンで少し改変の上で、ジャンヌ・ダルクの台詞となったものです。まさか、
アニメでこの台詞を聞くことが出来るとは…。多分これは、まろんの中にあるジ
ャンヌ・ダルクの魂=神から授かった力=聖なる力の発動って事なのでしょう。
この台詞が出て来るという事は、どうやら原作者とアニメスタッフはかなり綿
密に打ち合わせをしていたと考えられます。まさか、堕天使フィンの設定はアニ
メ化の時に決まった…と言うことは無いと思うのですが…。原作では、最初から
フィンが堕天使という設定であると、明らかにおかしいシーンがあると感じてい
ますので。(アクセスがフィンと出会った時に、俺達の方につけば楽できるぜと
言っていたりとか)
「ぱふ」で、原作者が設定の違いについて「少し困っています」と発言されて
いたのですが、この事だったんだろうか等と考えていたりします。
アクセスは自力変身を見て、「聖なる力」が目覚めたと言っています。
まろんが自力で変身を遂げるのは原作単行本第3巻第12話(アニメ第36話
に相当)で、落としたロザリオを東大寺昴に拾われてしまったまろんが、水槽の
中で都と閉じこめられた時に、自力変身を遂げるのが元になっています。この時
にアクセスとフィンが「聖なる力が目覚めた」と言っています。
私はてっきりアニメでは「神のバリヤー」が「聖なる力」の事かと思っていま
した。アニメでも「聖なる力」の設定はあったんですね。
原作を読み返してみると、「聖なる力」以外にも、「聖気」の設定があって、
ジャンヌに悪魔が近づけない理由となっていましたが、これが「神のバリヤー」
の設定の元になっていたのに今頃気が付きました。
ちなみに今回の変身は真ジャンヌとTV雑誌に書いてありました。
★汝のあるべき姿に戻れ(違)
ジャンヌ「ねぇフィン、私ね」
フィン 「く、来るな…」
ジャンヌ「ずっと強くならなきゃ、元気でいなきゃ、ジャンヌにならなきゃって
思ってた。弱気なのは駄目、暗闇を怖がってちゃ駄目だって」
フィン 「来るな…」
ジャンヌ「でも、多分そうじゃないの。」
フィン 「く、来るな…」
ジャンヌ「弱くても良いの。寂しがり屋でも良いのよ。どんな自分でも、ちゃん
と自分の事好きって言えるのが一番大事なんだって判ったの。私は私が好き」
フィン 「来るな…」
ジャンヌ「そして私はフィン、あなたが…」
フィン 「来るな〜!」
ビームは神のバリヤーであっさり防がれる
ジャンヌ「何度だって言うわ。私はフィン、あなたが…」
フィン 「嫌…嫌…」
震えているフィン ジャンヌ、フィンを抱きしめる
ジャンヌ「大好きよ」
自力変身を遂げたジャンヌは、フィンに迫り、フィンの攻撃を跳ね返すとフィ
ンを抱きしめて、フィンの事を大好きと言います。
フィンがジャンヌが近づいてくるのを恐れているような描写、愛を受け入れる
ことを恐れているような描き方が凄く良いです。繰り返しますが、フィンが堕天
使になる過程がアクセスの説明した洗脳以外に描かれていないので、効果が減じ
られているのが本当に残念。
想像ですが、フィンちゃんも愛と言うものをどういう理由か信じることが出来
ず、だからアクセスの求愛も受け入れられず、神様の命で人間界に独りぼっちで
放り出されて寂しかったんだと思います。そこで、自分と同じように孤独なまろ
んと共に生活するようになった。自分と似た性格・行動の他人を見ると、何だか
苛々する経験をした事のある人は少なくないと思います。思うに、フィン・フィ
ッシュにとってのまろんは、そう言う存在だったのでは。
でも、孤独で寂しがり屋でうじうじしながらも、まろんはその度に人に励まさ
れながらも立ち上がり、堕天使となったフィンの姿を見てもフィンの事を信じ続
けていた。そんなまろんの事をフィンは知らず心の奥底で好きになっていき、そ
して…。と言うのは、見た直後に思いついた妄想ですが(汗)。
ジャンヌが天使の羽根でフィンを包み込むと、光がそこから発して…。なんか
カードキャプターさくらのケルベロスを思い出したんですけど(違)。
それから、セーラースターズのクライマックス、ギャラクシアの手を握って勝
利するシーンも思い出しましたのも内緒です。
★残されたチェス駒は?
アクセス「神風だ…」
稚空 「神が魔王に勝ったのか? まろん」
フィン 「嘘つきね、まろんは…(中略)もう泣かないって言ったのに…」
ジャンヌ「フィンだって」
フィン 「え? あたし…ホントだ…」
二人 「フフフ…」
ジャンヌ「お帰り、フィン」
フィン 「ただ今。まろん」
(中略)
フィン 「どこ触ってんのよ!」
アクセス「最後の最後にこれかよ…」
フィン 「アクセスのエッチ、大嫌い! アクセスなんて! …有り難う」
アクセス「くー。色男は辛いねぇ」
(中略)
都 「もー早くしてよまろん。遅刻するよ。あー何? 又メールボック
ス?」
光は城を消滅させ、氷漬けになった街も元に戻ります。人が動き出したって事
は、人間毎氷漬けだったのか。
この時に吹いていた風を神風だというアクセス。
神が魔王に勝ったのかという稚空ですが、絶対あれしきで魔王が滅びるとは思
えません。恐らく、今回は堕天使フィンと、まろんの両親を魔王から解放しただ
けという小さな勝利に過ぎないのではと思います。それとも、フィンに取り憑い
ていたのは魔王自身だったのでしょうか。
ここら辺は、どうとでも取れる終わり方でしたね。続編もこれなら無理なく作
れそうです(おい)。
フィンは元の準天使フィンの姿に戻りました。もう泣かないって言ったのにっ
て、堕天使の時の記憶が残っているようです。フィンも泣いています。本当はフ
ィンも寂しかったのでしょうね。
フィンが元に戻ったので驚喜して抱きつくアクセスをぶん殴るフィン。
最後の最後でこれかと嘆くアクセスに、有り難うというフィン。アクセスの
数々の不幸も、漸く報われる時が来たようです。
街へと戻るジャンヌ達。城の跡に残されたのはクイーンとキングの駒でした。
これの正体については既に魔王と堕天使フィンを初めとして、諸説飛び交って
いるみたいですが、私はまろんの両親に取り憑いていた悪魔では無いかと思いま
した。駒が出た直後に、メールボックスの両親からの手紙が映ったのでそう思っ
たのですが。
先に、両親の幻覚が悪魔に変化して…というシーンが出ていましたが、それが
この悪魔だったりして。両親に取り憑いていたのを呼び戻して、幻覚の中で両親
の役をやらせていた…と言うのはその場で思いついた解釈。両親に取り憑いてい
た悪魔がそんな強力な筈が無いという意見もありますが、人間そのものをあれだ
け演じられる悪魔は相当高等な悪魔なのではと思います。これも、視聴者が見て、
想像して下さいという事でしょう。
ラストはメールボックスの中に、両親の手紙があって、メールボックスが開け
られる…というものでした。
良くあるパターンですが、全キャラの人々のその後をEDにかぶせて描いたり
するというのをやって欲しかったかも知れないですが、これはこれで良かったで
す。
本来ならフィンの使命は終わっているような気がするので、お別れのシーンが
出て来てもおかしくは無いのに出て来ない辺り、その後のみんなの事は視聴者が
想像して下さいねということなのでしょう。
★総括など
私がNetNewsでアニメの感想記事を書き続けて4年になりますが、実は一年の
シリーズを第10話でスレッドの起点を長田さんに書いて頂いた以外は全ての話
について記事を書いたのは初めてです。それだけはまっていた事の証でしょうか。
私がジャンヌの第1話を見たのは、セーラームーン+セイントテールの作品が
始まるので取りあえず見てみようという本当に軽い気持ちでした。もちろん原作
は読んでいません。
しかし、第1話でまろんがメールボックスの前で見せた寂しげな表情が気にな
って見続ける事を決意しました。そして、第5話の「ごめんね、都…」に参って
しまい、第9話のシンドバットの放火&フォロー無しというオチに驚き、そして、
第15話の遊園地の衝撃告白で完全にチェックメイトされてしまいました。
特に、原作を元にした話をかなり大胆にアレンジした話(第17話、全君の
話)や、原作番外編の「都☆カタルシス」のエピソードから、都のまろんに対す
る思いを第18話、第21話、そして止めの第43話でこれでもかとばかりに描
いたのは、私的にはアニメのスタッフの方が、それだけ原作作品に対して思い入
れして仕事をされている証拠だと思っています。こういうスタッフのキャラに対
する思い入れが見える作品は、多少のあらがあっても許せるものです。
まぁ細かいことを言えば、作画のばらつきは良く見直すとそんなにもの凄く変
な作画回って無い事に気付いていたりもするのですが、CGエフェクトの効果が
序盤ではどう見てもマイナスイメージしかもたらしていなかったとか、怪盗のア
クションシーンが余りにもイマイチ…というか説得力の無い話が多かったとか。
アクションシーンが凄い話は凄かったですが。
…と言うのは私的には些細な問題点。それよりも、せっかくオリジナルキャラ
のミストを出しておきながら、そのバックグラウンドに対しては殆ど何にも描か
ず、ただの悪魔幹部として使い捨てにしたのは、あまりにも勿体ない。それと、
ミストの最期の台詞「その優しさが命取りとなる…」が、結局意味が無い台詞に
なっているような気がすることも。いや、ミスト好きだったんですよ(笑)。
それから、フィンが堕天使になった理由が単に洗脳されたという事で説明され
ているらしい事も。堕天使フィンの言動を見ていると、単に洗脳されたと言うよ
りは、都のように心の弱さを突かれた的の展開の方がぐっとくる(…って何を
だ)。
色々書きましたが、神風怪盗ジャンヌは、私的には久々にキャラクターに感情
移入できる作品でした。確かにクオリティ的には…な部分はあったかも知れませ
んが、原作を読んでいてすら驚かされる展開&出来もあり、忘れ難い作品となり
ました。
そう言えば忘れ難い事件もあった事ですし(笑)。
アニメは終わりましたが、まだ原作は続きます。そして、アニメージュで東P
DがドラマCDだの劇場版の話が出ていたので、それにも期待しましょう。サン
トラも出ないのかな? それと、妄想スレッドもいつまで続けられるかな(笑)。
スタッフの皆様、一年間の間本当にお疲れさまでした。そして、この長々しい
ジャンヌの感想記事を読んで頂いた皆様、そしてフォローをつけて下さった全て
の皆様、本当にありがとうございました。
…あなたの心は、チェックメイトされましたか?
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石崎啓太(E-Mail:keitai@fa2.so-net.ne.jp)
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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