Kamikaze Kaito Jeanne #42 (1/15)
石崎です。
神風怪盗ジャンヌ第42話『怪盗、時空を越える!!』の感想など。
特に注の無い限り、台詞部分は本編よりの引用となっております。
また原作の単行本未収録のネタバレがあるのでご注意。
では、ゲームスタート!
^L
今回は原作のフィンが自分の正体を明かして(第20話)から、まろんが時空
を越えてジャンヌ・ダルクに出会う(第22話〜23話)部分の話ですが、オリ
ジナルな展開となっています。
前回同様、フィンとアクセスによる設定語り話であると共に、過去に飛ばされ
ジャンヌ・ダルクと出会って元気づけられる…というお話です。
残り話数が少ない所為か、随分慌ただしい展開だと感じました。まろんがフィ
ンの正体を知って絶望してから立ち直るまでが随分早く感じます。
堕天使フィンの正体についてですが、アクセスの話が真実であるとすれば、自
らの意志で墜ちた原作のフィンとは、逆の描き方という事になります。洗脳され
ていたフィン、何だかお約束的な話ですね。
最も、原作の堕天使であるという気配を微塵も見せていないフィンというのも
それはそれで変に感じたので、アニメではそこら辺に矛盾が生じないように洗脳
された事にしたのでしょうか。
また、ジャンヌ・ダルクとの出会いの辺りでも、原作では諦めかけていたジャ
ンヌ・ダルクをまろんが励まし、再び「風」を感じられるようになったジャン
ヌ・ダルクがまろんに力を与える…と言うのが、アニメでは何も信じられなくな
り、力を失いかけていたまろんをジャンヌ・ダルクが自らの過ちを繰り返さない
ようにと励まし、力を取り戻させる…というやはり逆な描き方です。
作画は…この作画監督の人の担当話にしては、まぁまともだった方でしょうか。
特に大崩していた部分は無かったようで(おい)。
* * * 第42話『怪盗、時空を越える!!』 * * *
★フィンの狙い
フィン 「愚かな人間ねぇ。あたしに騙されたとも知らないで、悪魔を封印して
てくれたんだから。まろん。あんたが集めてくれたチェス駒は無事、魔王様に届
けることが出来たわよ。フフフ…」
(中略)
フィン 「まろん、あたしはあんたの事始めから大嫌いだったのよ!」
(中略)
フィン 「ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりであるあんたの心を傷つける。傷つ
けて傷つけて邪心で一杯にして、神に守られたバリヤーを消し去るために」
まろんの前にとうとう姿を現した堕天使フィンは、自分の正体と真の狙いにつ
いて語ります。実はフィンこそが魔王の手先で、その狙いはまろんの心を傷つけ、
神のバリヤーを消滅させることでした。
魔王の力が復活したため、フィンの力も強大化しているようです。
堕天使フィンのコスチュームですが、原作では胸の紐で×になっている部分は、
服ではなく素肌という色っぽいデザインだったのですが、アニメではその部分に
も布地があるようです。いけませんこれは大きなポイント減です。…と思ったら、
原作でも第22話でフィンが再びまろんの前に姿を現した時には、アニメ同様に
なっていました。
最初から大嫌いだったと言われたまろんは傷つきます。
この部分は、原作第20話を元にしていますが、設定が変更されているだけで
なく、フィンの台詞が削られているので、少々説明不足気味です。
フィンをまろんの側に送り込んで信用させ、最後に裏切らせることによって、
まろんの心を傷つける、これこそが魔王の狙いだった訳です。
原作ではこのシーンは以下のようになっています(場所はまろんの部屋)。
フィン 「さわらないでよ。うっとうしいなぁ。私はあんたのこと、ずっと大嫌
いだったのよ! まろん!」
(中略)
フィン 「神がその命に封印した生まれ変われる力…「再生力」を目覚めさせ、
傷つけて傷つけて邪心でいっぱいにしてその力を消し去ること」
アニメでは封印された力を目覚めさせるという部分が削られています。
★自らの創造物を愛した神様
フィン 「ウフフフフ…全ては事も有ろうに人間の娘を愛してしまった神に原因
があるのよ」
フィン 「太古の昔から神と魔王様は争い戦ってきたわ。互いの力は均衡し、結
果は常に一進一退だった。そんな時、神はジャンヌ・ダルクと出会った」
フィン 「ジャンヌは神を信じ敬う純真無垢な娘だった。神は自分が神である事
を忘れジャンヌを愛し、自分のパワーの多くをジャンヌに与えて守った。その為
に神の力は弱まり、魔王様はチャンスとばかりに戦いを挑んだ」
フィン 「でも後一歩の所で神を倒すことは出来なかった。魔王様は考えたの。
神を倒すためには、神自身のパワーを内側から弱めれば良い。神の目の前で神の
愛するジャンヌを殺し、動揺させれば良いと」
フィン 「魔王様は人間界に悪魔を送り、ジャンヌを殺すべく攻撃を仕掛けたわ。
でもジャンヌを守っている神のバリヤーは強力で、悪魔達はジャンヌに直接触れ
ることすら出来なかった。魔王様は作戦を変更し、周りにいる人間達に悪魔を取
り憑かせ、次々とジャンヌを裏切らせたのよ」
(中略)
フィン 「ジャンヌは面白いように心を乱したわ。バリヤーの力はみるみる弱ま
った。作戦成功ね。ハハハ…。ジャンヌは神の目の前で無惨に死んだ…」
ノイン 「神はジャンヌ・ダルクの心を弄び、見殺しにしたのだ」
(中略)
フィン 「魔王様は、ジャンヌの死によって動揺し、パワーの弱まった神に再度
戦いを挑んだの。でも、神も懸命に反撃し、決着はつかなかった。そして500
年後にお前が生まれた」
フィンは、神と魔王のこれまでの戦いについて語ります。
神は人間界に3つの事しか出来ないとノインは言っていたのに、ジャンヌにど
うして生まれた後から力を与えることが出来たのでしょうか? してみると、神
の出来る事が限られているというのは、神の自制に過ぎなかったのでしょうか。
魔王はジャンヌの周辺の人々に悪魔を取り憑かせ裏切らせ、ジャンヌの神のバ
リヤーを破ってジャンヌを殺すことに成功します。そして同じ事をまろんにも…
という訳ですか。
ノインは現在、この事情を知っている筈ですが、相変わらず神を憎んでいるよ
うですね。魔王のことも憎んでも良さそうなものですが、この設定だと神はジャ
ンヌに力を与えただけで、後は自らの戒めを守り、直接介入は行わなかったとい
う事なのでしょう。
力を分け与えた結果、魔王に狙われる結果となり、しかもその事態に直面して
も何もしなかった(ように見える)神をノインが憎んでいる…という構図でしょ
うか。
魔王との戦いに忙殺されていて、人間界の事に関わっている余裕が無かったの
かも。
…と、謎が明かされれば明かされたで、別の謎が出て来る気がするのは私だけ
でしょうか(笑)?
今回、また設定話が長いと感じられた人は多いと思いますが、実は原作第20
話も、これまでの設定を一気にフィンが話していました。更に続く第21話もフ
ィンが何故墜ちたかの設定話となっていたりします。
全て引用するにはあまりにも長いので、一部引用とポイント記述とします。
・魔王は神の力を奪うため人間の美しい心を悪魔に吸わせ、自分の力としようと
したが上手く行かなかった。そんな時、ある「魂」の存在を知る。
(原作第20話より引用:単行本5巻収録予定)
フィン 「その「魂」とは神が人間研究の過程でやっと1つ創り出せた生まれか
わりの出来る「命」のこと…。神が己の力の3分の1を分け与えたその命は生ま
れ変わるたび美しい心をもちその魂あるかぎり神がほろびることはない。(中
略)…がその魂のもつ力は命尽きてこそ現れるもので生きている間は神の封印が
してあり悪魔は取り憑くどころかその身体が放つ聖気によって近づくことすらも
できなかった」
・ジャンヌ死後、魂が生まれ変わった事に気付いた魔王は、神の封印を外側から
破れないのなら内側から破り、その後魂を傷つけ、邪心で満たせば生まれ変わる
事が出来なくなり、神の息も絶えると考えた。
フィン 「あんたを傷つけるのにきわめつけはこの私の裏切り。嬉しかったでし
ょう? 初めて自分を必要としてくれる私の存在が…かけがえが無い位大切でし
ょう? ずっと一人きりだったものね…。かわいそうな子…それが全部仕組まれ
たことだとも知らず…」
・魔王はまろんを心の弱い人間に育て、自分の手先(堕天使フィン)を簡単に受
け入れさせるようにする為に、まろんの両親を自らの魔力で17年間操っていた。
・神がジャンヌを攻撃できないのを逆手に取り、悪魔回収もジャンヌにやらせて
いた。
まろん 「そばにいてくれるなら天使でも悪魔でもよかったのに!! フィン!!」
フィンの正体、まろんの「魂」の正体、まろんの両親の不仲の訳まで一気に語
っています。アニメでは語られていない部分が結構あるかと思いましたが、良く
アニメを見ると部分部分でノインや稚空が語っている部分もありますね。
アニメの設定では、ジャンヌが死んだからと言って神が死ぬ訳でもないので、
魔王がジャンヌに執着する理由が若干弱い気がします。
それから、まろんの天使でも悪魔でも…という如何にフィンが大事か、という
台詞が削られているのも少し残念です。
★フィンが墜ちた理由
フィン 「この先は聞くのが辛い話かもねぇ。魔王様は今度こそ神を倒すべく、
ターゲットをあんたに絞ったわ」
まろん 「それで私の両親に、悪魔を取り憑かせたの」
フィン 「そう。両親からあんたへの愛を奪うために」
(中略)
フィン 「その役目を担ったのがあたしって訳。あたしが魔王様に忠誠を誓った
堕天使だって事も知らずにね。ハハハハハ…ハハハハハ…ハハハハハ…」
(中略)
アクセス「フィンちゃんは、最初から堕天使だった訳じゃない。魔王に洗脳され
ているだけなんだ!」
(中略)
フィン 「魔王様…信じられるのは魔王様の御心だけ」
(中略)
アクセス「魔王は、堕天使フィンを再び準天使に戻したんだ。まろんに警戒させ
ずに近づけるために…」
アクセス「だから、まろんと出会った時のフィンちゃんは、天使の心を持ってた
んだよ」
ジャンヌを殺すことに成功し、ここぞとばかりに神を倒そうとする魔王。しか
し、今一歩の所で決着は着かず。ジャンヌ・ダルクの事を忘れられなかった神は、
その魂を再び別の人間として蘇らせます。それがまろんでした。
まろんから愛を奪うべく、両親に悪魔を取り憑かせる魔王。恐らくその目的は、
原作同様まろんをフィンを簡単に受け入れてしまう位心の弱い人間にするためだ
ったと思われますが、そこら辺の説明が省略されていますね。ノインはこの事実
をまろんのせいで両親が悪魔に取り憑かれたと、まろんを追い込む為に第39話
で言っていましたけど。
まろんとフィンのお風呂シーンがここで出ています。ちなみに新作です(笑)。
フィンが足を伸ばしている所がポイントです。フィンの胸が描かれています
(笑)。
アクセスはフィンが魔王に洗脳されているだけだと語ります。
人間界に行く途中で魔王に連れ去られて堕天使とされ、再び準天使の姿に戻し
てまろんの側に近づけた訳ですか。
ところで、アクセスが見たのは連れ去られるフィンの姿と元の準天使の姿で戻
り人間界へとそのまま向かったフィンの姿だけの筈で、その間フィンに何が起こ
ったのかという事については何も見聞きしていない筈。どうしてフィンが堕天使
にされたと判ったのでしょうか?
準天使フィンが堕天使フィンになるシーンが出て来ますが、原作のフィンがま
ろんの前で大フィンに変身する時の様に、裸&横回転で変身するので無いのは大
きなポイント減対象です(笑)。
信じられるのは魔王様の御心だけという部分、原作では自ら堕天使となってい
る為、フィンは本心からそう思っています。ノインに身体に染みついた天界のに
おいが気にさわると言われたフィンは、
フィン (人間界にも天界にも魔界にも…私の居場所なんてどこにもない…)
フィン 「魔王様…信じられるのは魔王様の御心だけなの」
このシーンは大好きなシーンなのですが、アニメでは削られてしまいました。
残念無念。
まろんの側という立派な居場所があるじゃない。早くその事にフィンが気付い
て欲しい…と言うのがこのシーンを見てのファンの大方の反応。
★あれは変装だったのか
アクセス「その時、ビビって感じたんだ。こいつなら、おいらを手助けしてくれ
るに違いないって。それで全てを話し、協力してくれるよう頼んだんだ」
フィン 「面白い話ねぇ。それで映画の看板を見てシンドバットの訳?」
(中略)
稚空 「フィンや悪魔との接触を断つため、俺はシンドバットに変装して、ジ
ャンヌの邪魔をしてたんだ」
(中略)
フィン 「ハハハハハ…あたしは洗脳なんかされて無いわ。昔からずっと魔王様
を愛していたのよ…」
神様に事の次第を報告し、まろんを守るように命じられたアクセスですが、人
間界に行っても何をしていいのか判らなかったそうですが…真っ直ぐまろんの所
に向かえば良かったのでは? フィンと出会った直後に真相を明かせば、まろん
の心の傷は大した事の無い筈…と言うのは、もちろん気にしてはいけないポイン
トです。
ちなみに原作では、途中まで稚空は自分がまろんに魔王の手先だと思われてい
ることも、フィンの方が実は魔王の手先だと言う事も知らずに、アクセスからま
ろんの写真を見せられて興味半分でシンドバットをやることにしたという設定で
す(笑)。いい加減な奴。
町中を飛んでいたアクセスは、何故か天使の姿を見る事の出来た稚空に捕まり
ます。アクセスは、稚空なら協力してくれるだろうと、全てを話して強力を求め
たのでした。
何故稚空がシンドバット? …と言うのは原作ですら明かされていない謎です
が、単なる偶然だったのでしょうか。どうして稚空が天使を見ることが出来るの
かという設定はどうなっているのでしょうか?
シンドバットの名前の元は、出会った場所で上映されていた映画のタイトルか
らだったんですね(笑)。ところで、どうして映画の看板からの命名だとフィン
が判ったのでしょうか…という事は、もちろん気にしてはいけないのでしょう。
ところで稚空の台詞によればシンドバットの姿って「変装」だったんですか?
しかし、フィンはアクセスの説明を一笑、昔からずっと魔王様を愛していたと
語ります。
この、フィンが堕天使になる顛末は、原作とは大いに異なっている点です。
原作では人間界に降りた時に、天界の最大のタブー「人の命を奪うこと」を侵
したフィンは、消滅刑に処せられそうになりますが、その直前で魔王に救われ、
それ以来堕天使として魔王の為に働いている事になっています。(原作第21
話)
この、自らの意志で墜ちたのと、魔王に連れ去られて洗脳されたのでは、まろ
んに対する衝撃度がまるで異なる気がします。個人的には、この「自らの意志で
墜ちた」という部分は変えて欲しくなかった気がします。まだ真相は全て明らか
になっていないのかもしれないですが。
アニメ版の方は、魔王を絶対悪として設定してしまっているのでしょうか。小
さなお友達向けには判りやすい展開ですが…。今回語られた設定からすると、ジ
ャンヌの最終話で、魔王を倒して目出度し目出度し…というラストにはなりそう
も有りません。神ですら倒せない魔王をその力の一部を受け継いでいるに過ぎな
いジャンヌが倒せる筈がないですから。最終目標は、フィンを元の天使に戻すこ
とになるのでしょうか。
* * * ここからBパート * * *
★知らぬはまろんばかりなり
フィン 「あたしは生まれた時から魔王様のもの。人間界に降りてロザリオやプ
ティクレアをあんたに渡し、ずーっと騙してたのも、みーんな愛しい魔王様のた
め」
稚空 「堕天使フィンの言葉に惑わされるんじゃない。まろんの心を傷つけて、
力を弱めようとしているんだ。(中略)俺は、フィンの事を何度も言おうと思っ
た。しかし、フィンが魔王に洗脳されているなんて、信じる訳がないと。例え信
じたとしても、それが事実と知れば、まろんがどれ程のショックを受けるかと思
い、言えなかった(中略)まろんがショックを受ければ、神のバリヤーは弱まり、
命さえも危ない。だから、シンドバットになって、邪魔するしか無かった。まろ
ん、信じてくれ」
フィン 「嘘よ。信じない方がいいわよ。あたしもシンドバットもアクセスも、
みんなあんたを騙してたんだから」
自分のやっていた事が魔王の手助けであった事を知り、動揺するまろんの神の
バリヤーが弱まります。
フィンはノインに今こそ望みを叶える時と言いますが、ノインは過去の事を思
い出し、涙を浮かべています。先ほどノインが今だと指示を出していたのを余計
なことを言わないでと吹き飛ばしていたのに、今度は獲物を譲っているという展
開、少し妙に感じました。要するに、自分が命令されるのが嫌なだけかも。
何だノイン、ちゃんとジャンヌを助けには行ったけど、炎に阻まれてしまった
のね。先週の回想シーンと違いますけど…と言うのは、もちろん気にしてはいけ
ないポイントです。
稚空が、真相をまろんに言わなかった理由を話し、信じてくれと抱きしめます。
信じて貰えないというばかりで無く、真相を知ってしまったら、まろんの神の
バリヤーが弱まり、まろん自身の命が危険に晒されるからですか。だから、シン
ドバットとして、ジャンヌの邪魔をするしか無かったと…。協力しているとしか
思えない話も多々あった気もしますが(笑)。
これまで信じてきた物が崩れ去り、もう誰も信じられないまろんの神のバリ
ヤーはついに消滅、フィンは止めを刺そうと光球を発射しますが、アクセスも光
球を発射、互いのパワーがぶつかって、時空に歪みが生じ、まろんと稚空とノイ
ンが飲み込まれます。
原作ではフィンの裏切りにより石と化したロザリオをフィンがまろんの部屋か
ら投げ捨てたのをまろんが飛び降りて取りに行った(!)時に、それを助けよう
としたノインと一緒に時空を飛ぶ…という展開でした。
★時空を越えて
フィン 「家族の人いないの? だったら今日からフィンが家族だよ」
フィン 「もー何言ってるの? 怪盗を止めたいなんて。悪魔を封印できるのは、
ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりのまろんだけ何だよ」
フィン 「辛いことがあったら、一番最初にフィンに言ってね」
フィン 「あたしのお願いを聞いてくれて、ホントに、ホントに有り難う」
(中略)
ジャンヌ「私は神から、あなたが悩み、打ちひしがれ、心を痛めてここへ来ると
告げられました。私と同じ過ちを繰り返させぬため、力を貸すようにと。まろん、
勇気を持って。まろん?」
まろん 「駄目です。何を信じていいか判らない。私には神様の声は聞こえませ
ん」
ジャンヌ「私は神を信じています。でも、私は神の声が聞こえたから戦った訳で
はありません。神の声が聞こえようと聞こえまいと、私は、私の心の声を聞き、
自分の信じるもののために戦ったのです。でも、魔王の手により、私は自分の信
じた人々から裏切られ、心を乱してしまいました。今のあなたと同じようにです。
その為、自分が心から愛した人の言葉さえ信じられず、自分の心の声さえ聞こえ
なくなってしまったのです」
(中略)
ジャンヌ「日下部まろん。私と同じ過ちを繰り返してはいけません。あなたの周
りの人から何を聞こうと、自分自身を信じるのです。あなたはいつだって、自分
を信じたではありませんか。愛した人を信じ続けたではありませんか」
(中略)
まろん 「でもジャンヌ・ダルク。あなたには勇気がある。それに引き替え私な
んか、臆病で、弱虫で、ちっとも、強くなんか無いんです」
ジャンヌ「私も同じです。私を支え、励ましてくれる人が側にいなければ」
異空間の中で、フィンとの過去を思い出し、涙を流すまろん。ここら辺の台詞
は、原作第20話におけるまろんとフィンの回想部分からです。お風呂シーンの
絵は、作画監督が同じ人の第7話から引用しています。
まろんは、ジャンヌ・ダルクが捕らえられている牢屋の中に倒れています。ま
ろんと稚空とノインだけが時空の歪みに飲み込まれるのも含めて、かなりご都合
主義ですね。フィンやアクセスや悪魔達も吸い込まれても、不思議ではない状況
でしたから。恐らく天使のパワーの衝突によって生じたエネルギーを利用して神
様が時空を越えさせた…という事にしよう(違)。
ジャンヌは自分が神様からまろんを力を貸すようにと告げられたようですが、
火あぶりにされそうになっているのに力を貸さず、逆に頼み事をする神様…ちょ
っと酷いですね。
まろんが自分は強くないと言い、ジャンヌが私も同じというシーンは、アニメ
第30話のツグミさんとジャンヌの会話と同じ構図です。あの盲導犬とツグミさ
んの話が、今回のこのシーンにつなげるためなのだったのでしょうか。
★ジャンヌ・ダルクの涙
ジャンヌ「今魔王の力を弱め、人々を救わなければ、あなたと同じように苦しむ
人を又出すことになりますよ」
(中略)
ジャンヌ「私は自分の信じたことに、後悔はしていません。私はあなたを知った
ことで、寂しさに打ち勝つことが出来ました。あなたとの思い出を永遠に心に刻
み、大切にします。私の一生は、幸せでした」
ノインにまろん達を元の時代に戻す様に頼むジャンヌ・ダルク。ノインは火あ
ぶりになる前に助けると言いますが、ジャンヌ・ダルクは私の役目は終わりまし
たと拒絶します。まろんが自分の意志を継いで魔王と戦わなくてはならないと。
そこまで言うかジャンヌ? 本当にそれで良いのか? …と思ったのですが、
ノインが我が命尽きるともと言いつつ、まろん達を元の時代に帰した時に浮かべ
ていた涙、これこそがジャンヌ・ダルクの本音だったんでしょう。
ここのシーンで回り込みの演出があるのですが、前から月の光が当たっている
のに、窓を背にしているノイン。そもそもジャンヌの背中に窓があった気が。
ちなみに原作では、悪魔に取り憑かれた司教達に捕らえられ、同じく取り憑か
れた看守に純潔を奪われて力を失ったジャンヌをまろんが励まし、ジャンヌが最
期に自分の力をまろんに与える…という展開だったのですが、アニメだと逆にま
ろんが励まされています。
(原作第23話より引用)
まろん 「ジャンヌ信じて! 男の人に抱かれたから純潔じゃないって誰が決め
たの!? その人の心が気高きままなら永遠に純潔よ! 見ず知らずの神様をそこ
まで信じられるなら、自分を信じることができるでしょう!?」
(中略)
ジャンヌ「そうか…まろん。力を放出するのはやめた。おまえに私の持つ力のす
べてをやろう。おまえが封印しておくれ」
ジャンヌ(私は一度諦めてしまった。だから私では無理なんだ。だが、おまえな
ら超せるだろう。おまえなら立ちむかうだろう。お前の瞳は諦めようとしないか
ら。だから私も託すのだ。己を信じろと言うのなら、お前に全てを賭けること。
後悔はしない」
時間に余裕があればジャンヌ・ダルクの弱い部分と言うのも描けた筈なのです
が、駆け足のストーリーの為に、ジャンヌの強さだけが見えてきてしまいます。
★ついにばれた正体
都 「ま、まろんが…怪盗ジャンヌ…あ…」
フィン 「全くあんたって人は呆れ返っちゃうわね。すぐにパワーを取り戻しち
ゃうんだから」
ジャンヌ「フィン、お願い。都を離して」
フィン 「駄目。この世にあんたがいる限り、周りの人はみんな不幸になるの
よ」
ジャンヌ「あ…」
フィン 「あんたの友達はあたしが頂くわ。ハハハハ…ハハハハ…」
ノインの力で現代の噴水広場に戻ったまろんと稚空。しかし、ノインの姿が見
あたりません。
そこにアクセスが飛んできます。アクセスにフィンを元に戻すと約束するまろ
ん。
都もまろんを探してやって来ます。探していた所を見ると、どうやらタイムス
リップしている間にかなり時間が空いていたのでは無いでしょうか。
そこに悪魔が都の背中から襲ってきます。都を庇うまろん。そしてついに、都
の前でまろんは変身、悪魔をチェックメイトします。薄れ行く意識の中、ジャン
ヌの正体を知ってしまう都。
そこに現れたフィンは、意識を失った都を拉致して行きます…。
そして、氷漬けになっていく街…という所で次回へと続きます。
★次回予告
都 「死ぬのよジャンヌ。お前が死ねば、あたしのまろんが帰って来る!」
まろん 「神風怪盗ジャンヌ『友情崩壊!?魔氷城決戦』 都お願い、悪魔の声を
聞かないで!」
悪魔に取り憑かれた都ちゃんとジャンヌの対決ですね。
演出が第26話で「簪職人の秀」「ジェットストリームアタック」等々、第3
4話でウルトラセブンのパロディをやったという噂の橋本光夫さんです。アクシ
ョンシーンで凝った事をしてくれるのではと期待しています。
では次回も、あなたの心にチェックメイト! …だと良いですね。
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石崎啓太(E-Mail:keitai@fa2.so-net.ne.jp)
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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