> 本題から外れます。
> 最近、一部の巷で話題になってる「さくら、アメリカ上陸」
> 真偽のほどは定かではありませんが、

カナダの Nelvana という会社(http://www.tnmn.com/)が北米でのライ
センスを取得したというのは事実です。
(http://www.newswire.ca/releases/August1999/12/c2448.html)

現在吹替作業を始めるために配役を募っているという話を聞いたので、今
秋スタートの線が濃いですね。アメリカでは放送開始前に1シーズン分
(さくらの場合65話だと思う)仕上げていることが多いです。

個人的には期待しないようにしています。せらむんの二の舞になる、と踏
んでいます。


> 実現したらポケモンに匹敵するブームになるかもしれませんね
> 
> そこで、もしアメリカで放映されることになったら・・・
> 辞めて欲しいこと
>  ・名前を変える・・・ポケモンみたくアメリカナイズしないでくれ
>   (アッシュとかミスティって何やねん!)

ライセンス取得の際あるニュースソースではさくらの名前が Nikki になっ
ていました。残念でしたね。

しかし、なぜライセンス取得したばかりなのに既に名前が変えられてるの
だろう?と思った人は鋭いです。実はアニメが海外で名前を現地名や英語
名に変えられたりする原因の半分(半分以上かも)は日本人にあります。
例えば東映のような大手の場合、国際部というのがあり自社作品の海外ラ
イセンシングを行いますし、そうでないところでは、エノキフィルムのよ
うなブローカーに委託します。こういった日本の会社が海外、特に欧米に
売り込む際に作品を自ら「国際化」(と当人達は思っている)して売るわ
けです。題名や登場人物などの固有名詞に日本語が混じっている場合、そ
れは「国際的」じゃないから英語化、欧米化しようとしちゃうわけです。
で、島国根性日本人にそんな芸当ができるわけもなく、大概、インチキ・
アメリカナイズ(笑)されたものになってるんですけどね。

例えばひとつ例をあげると、少女革命ウテナの英語版は Central Park
Media という、アニメオタク向けにビデオ販売している会社が出している
んですが、オタク向けなので当然固有名詞も翻訳もオリジナルに忠実にし
て売りたいわけです。そうしないとお客様のオタク連中が怒りますから
(笑)。しかし、当初売り込みにきたエノキフィルムは、彼らの信ずると
ころの「国際化」したものをCPMに持ってきたんですね。題名がたしか
"Ursula's Kiss"で、登場人物の名前も英語化されていました。日本人が
一生懸命英語化しました、というのがありありと感じられる出来で、例え
ば冬芽の名前が "Tommy" になっていたりしました。Tommy じゃ、アメリ
カ人にとっては近所の中流以下の家庭の坊主みたいなイメージが沸いてき
ますよ。全然冬芽のイメージに合わない。プレーボーイの生徒会長の名前
が「山田二郎」だったらイヤでしょ(魂の名が欲しくなる(笑))。こう
いう名前から受けるイメージみたいなものは現地で育った人じゃないとわ
からないもんなんです。資料としてついてきた試訳も、日本人が翻訳した
と分かる極めて杜撰なものだったらしいです。アメリカナイズすること自
体も問題ですが、少なくとも日本人がアメリカナイズしようとするのだけ
はやめてほしい。で、その後結局ウテナがどうなったかというと、たまた
ま翻訳を担当した Neil Nadelman がアニメオタクだったので、
「"Ursula's Kiss" なんて聞いたことのないアニメだと思ったら、これは
ウテナじゃないか」と気づいて CPM に教えてあげて、なんとか人物名な
どオリジナルに忠実なままで出ることになりました。

他に名前が現地化されるパターンとしては、スポンサー(大抵、日本の玩
具メーカー等)の意向によるものがあります。セーラームーンやポケモン
がそうですね。スポンサーが現地名に変更しろ、と命令してくるわけです。
ポケモンの場合特に、ゲームとの兼ね合いがありますからアニメだけ名前
が違う、というのは特にまずいわけです。英語版は一度オリジナルのまま
の名前を使うことも考えたそうですが、任天堂の偉い人(日本人)の「指
導」により、やはりアメリカナイズすることにしたそうです。まあポケモ
ンの名前などは駄洒落が多いですから、現地語の駄洒落で名付けて覚えや
すくするのは商売として見れば至極当然の手法でしょうね。まあ、ひとつ
言えるのは、彼らはアニメ作品を自社製品を売るための広告塔としてしか
考えていないということですね。要するに、これは日本のアニメ制作の根
幹に関わる問題ですが。

ポケモンの監督、シリーズ構成は、あの20世紀最高の傑作ミンキーモモ
(推定)の湯山・首藤コンビですからね、ポケモンの人気が突然落ちてア
ニメが打ち切りになったりしたら、ピカチュウがゲームボーイを一杯積ん
だトラックにひかれて死んじゃう、とかね(笑)。

さくらに Nikki という名前をつけたのも、おそらく日本側のブローカー
かどこかだと思いますので、最終的に同じ名前でいくとは限りません。例
えば、セーラームーンの場合、当初、東映かバンダイかどっちかが、うさ
ぎの名前を Victoria に指定しましたが、最終的には Serena という名前
になりました。当然、バンダイの許可を取ったんだと思いますが。

もう少し例をあげると、昔 Streamline という会社がルパン三世の英語版
版権を取得したとき、日本側は「これは "Cliff Hanger" という題名で」
と言ってきたそうです。買った方は「ルパン三世」だとよく知っているの
に。それから、ソニー・エンタテイメントは、「るろうに剣心」を
"Samurai X"という名にしてアメリカに売りに来ました。


>  ・BGM・効果音を変える・・・音楽まで変えるのはやりすぎだ(ポケモン)

ポケモンはオリジナルのBGMを使っているシーンが結構あるみたいですけ
どね。主題歌については、個人的にはアメリカ版の方がかっこよくてポケ
モンにあってると思うけど。


>  ・「ケロちゃんにおまかせ」を抹殺する
>   (あれは必要です)

あれは、生き残る可能性がほとんどないと思います。コマーシャルを入れ
なくてはならないため、尺が残らない。本編を削るよりはこのコーナーを
とばしたほうがいい。


>  ・ポケモンの放送時間とブッキング
>   (放送時間が重なったら見る人が減る)

心配ありません。どうせ非常に視聴しづらい時間帯しか取れないでしょう
から(笑)。(あるいはケーブルテレビとか)


> やって欲しいこと
>  ・主題歌を英語に翻訳・・・音楽そのままで♪
>   (英語版さくらOP聞いてみたい)

こういうパターンは、過去には「セーラームーン」、「宇宙戦艦ヤマト」、
「マッハGOGOGO」位しかありません。これらに比して主題歌・本編の融
合度がかなり低いので、かなり可能性は薄いですね。


> ポケモンのように「架空の世界」ではなく、一応「日本」が舞台なのだから
> そこら辺を履き違えないで欲しい、というのがアメリカスタッフへの望みです。

これは私も希望、なのですが、可能性は低いのではないかと。


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mikage007@hanyaan.com