Re: Angelic Layer #26(the last episode)
石崎です。
>本スレッドは「機動天使エンジェリックレイヤー(以下、AL)」の設定
>を元に、「AL」「カードキャプター(以下、CC)さくら」のキャラク
>ターが繰り広げるラブコメ(多分)を、リレー妄想の形式でお送りしてい
>ます。
>また、筆者の好みで「セーラームーン」ネタもあります。
>そういうのがお好きな方だけ、お付き合いください。
記事が長くなりましたので、フォロー記事と本編を分離します。
こちらは第14話他の本編です。
#せらむんは何話だっけ?
第13話へのフォロー記事は、
Keita Ishizakiさんの<a3fm6m$r3h$1@news01bg.so-net.ne.jp>からどうぞ。
^L
★☆せらむんショート劇場 『ほたるが舞い降りた日』☆★
●進捗状況
PP社練習場に入り浸り、めきめきと実力をつけていくほたるちゃん。
行方不明の父に自分の活躍を見て貰うという大目標があるので、上達がとても
早いです。
もちろん、ほたるが実は選ばれた戦士なのだということもあるのですが。
目的のために、保護者たるはるか達は、ほたるへの助力を惜しみませんでした。
様々なオプションを買い与え、ついには自宅にPP社直営店にあるような練習
用レイヤーセットまで入れてしまいました。
流石は金持ち。やることが一般人とは違います。
町内会の大会で地道にエンジェルカードをゲット、地区大会でもしっかりと優
勝していたほたるは、都道府県大会へと進出を果たしました。
そんな訳で、レイヤー界の極々一部で、ほたるは注目の人となっていました。
●第一回戦
トーナメント参加者のリストを手に、最初の相手が誰かを確認するほたる。
「あれ? 外国の人みたい」
「レイヤーでの変名かもしれません」
「リングネームって訳か」
「それで名前はなんて言うの?」
「それが…」
「おい、こいつは…」
「まさかとは思いますが」
*
「さぁ次のバトルは、イースト・コーナーは小学生ながら地区予選を小学生なが
らトップで勝ち抜いた、土萠ほたる!」
アナに紹介されると、ほたるの人気と言うよりは、その愛らしさに向けて、会
場内から万雷の拍手が寄せられます。
「そして対するは、なんとチェス世界ランキング第3位の天才少女、ミス・ベル
チェ!」
名前が呼び上げられると、こちらにも万雷の拍手。
しかし、観客席で見ているはるか達は、少し唖然としていました。
「ベルチェって、やっぱりあのベルチェよね」
「はい。私も直接戦ったことはありませんが」
「大丈夫なのか?」
はるかとみちるが、うさぎ達とは別にプロトタイプダイモーンと戦っていた頃、
未来からデッドムーン一族が地球の歴史を改竄しようと送り込まれた時がありま
した。
この時は、はるか達が手を貸す前に、うさぎ達が紅のルベウス配下のあやかし
の四姉妹、ペッツ、カラベラス、ベルチェそしてコーアンの四姉妹を銀水晶で浄
化し、ルベウスも倒していたのですが。
「彼女達は銀水晶で浄化された後、普通の人間として平穏無事に暮らしていたよ
うです。だから心配は無いとは思うのですが…」
というせつなですが、やはり不安な様子です。
一方のベルチェは、やはりほたる達に気がついていました。
「あら、彼女は確か、水野亜美さん達のお友達だった筈。ウォーミングアップに
は丁度良いかしら」
今では普通の人間に戻り、うさぎ達に敵対心は無いベルチェですが、かつてチ
ェスでライバルであった水野亜美がエンジェリックレイヤーに参加したとイン
ターネットで知り、チェスの大会を放り出してエンジェリックレイヤーの世界へ
と飛び込んだのでした。
チェスタワーの決戦での雪辱を晴らすために。
「さぁ、エントリー・エンジェル!」
「我が命に従い、全てを凍てつかせよ! シャルギエル!」
そう叫び、エンジェルをレイヤー空間に投げ入れるベルチェ。
天使なので性別も無さそうなものですが、取り敢えず女性形のエンジェルが投
げ入れられました。
そして次はほたるのエンジェルの降臨の番。
「破壊せよ! そしてその後に新たな時代を築け! サトゥルヌス!」
可愛らしいほたるが叫ぶ物騒な言葉、そして投入されたエンジェルの可愛らし
さのギャップに、会場内は一瞬、静まり返りました。
「ほたるの奴、あれ程エントリーワードを変えろって言ったのに…」
「自分は破滅と誕生の戦士だからと言い張ったのです」
「それでは、エンジェリック、ファイト!」
バトル開始と同時に、ベルチェのエンジェル、シャルギエルは足につけたエッ
ジでレイヤー内を滑走します。
亜美ちゃんが参加するのを知っての急ごしらえのエンジェルですので、オリジ
ナリティに欠けるのは致し方ないところ。
それでも、急に始めたエンジェリック・レイヤーでここまで勝ち抜いて来たの
ですから、普通の人間になったとはいえ、ベルチェがただ者では無いのは間違い
ありません。
「トップスピードに乗せたら負けよ!」
みちるの叫んだ言葉は、もちろんほたるの耳には届いていませんが、ほたるも
トップスピードに乗るのを座して待つことはしませんでした。
「ええい!」
まだスピードの乗っていないシャルギエルに、足払いをかけようとするサトゥ
ルヌスでしたが、黙ってやられるベルチェではありません。
ジャンプしてサトゥルヌスを飛び越えてしまいました。
何度か加えられる攻撃を悉くかわして行くシャルギエル。
サトゥルヌスよりも更に軽量なエンジェルなので、非常に身が軽いのです。
その内に、トップスピードに乗ってしまいました。
「あちゃ〜」
「まだまだほたるも修行が足らないようです」
「今度はこちらの番ですわ! それっ!」
スピンキックをサトゥルヌスに加えるシャルギエル。
軽量型故、攻撃自体は軽いものですが、段々とダメージが累積して行きます。
そして、知らず知らずレイヤーの端へと追い詰められていくサトゥルヌス。
「ほたる!」
悲鳴を上げるせつなですが、もちろん何の手助けも出来ません。
「(パパに会うまでは…私は負けない!)」
攻撃の間の一瞬の隙をついて、シャルギエルの反対側へジャンプしたサトゥル
ヌス。
シャルギエルの方がレイヤーの端を背にする形になりますが、気にせずキック
を加えようとしたのですが。
「サイレント・ウォール!」
ばちっ。
一瞬火花が起きたかと思うと、シャルギエルはレイヤーアウトしていました。
「さ…サトゥルヌス、WIN!」
●エンジェリック・レイヤー社
「ま…マジックガードやて!」
驚きの余り、椅子から立ち上がったいっちゃん。
「フ…フフフフ…」
一瞬の沈黙の後、笑い始めるいっちゃん。
「チーフ?」
「今回もなかなか楽しませてくれそうや無いか」
そう言うと、いっちゃんは出口へと向かいます。
「チーフ、どちらへ?」
「小便や」
ドアから外に出て、廊下の壁に背をつくいっちゃん。
「土萠教授の娘か…。やはり、父親のことを追い求めているんやろか…」
そう呟くと、これからどうしたものかと考え込むいっちゃんなのでした。
(ほたるが舞い降りた日 お終い)
ほたるちゃんが出場する都道府県大会は、東京都大会のどちらかか、神奈川県
大会の2つの候補があるのですが、どうしましょうか?
東京都大会の方が同一時間で話を進められるので楽なのですが、関東大会へと
進むことの出来る人数を考えると、別の大会にした方が良いような気もするし…。
#…という訳で、今回はどこの県の大会か明記していません。
★機動天使エンジェリックレイヤー2nd
第14話『さくらと珠代の真剣勝負!』
●第一試合終了後
第一試合終了後、控え室を通ってロビーへ出て来たさくらちゃんは、知世ちゃ
ん達の出迎えを受けました。
ちなみに、服装は試合の時の服装のままです。
「素晴らしいですわ、さくらちゃん!」
「あ、ありがとう」
真っ先にさくらちゃんに駆け寄り、知世ちゃんはさくらちゃんに抱きついて来
ました。
周りには人が大勢おり、さくらちゃんも少し恥ずかしそうです。
「あ…。小狼くん、苺鈴ちゃん」
さくらちゃんは知世ちゃんの肩越しに、苺鈴に手を繋がれ、連れて来られてい
た小狼に気付きました。
小狼と苺鈴との仲を疑っている訳では無いのですが、何となく気まずい雰囲気
です。
その雰囲気を知ってか知らずか、小狼の背中に回ると苺鈴はさくらちゃんに向
かって背中を押しました。
それに気が付いた知世ちゃんは、名残惜しそうにさくらちゃんから離れます。
「さ、さくら」
「小狼君…」
「お、おめでとう」
「まだ1回勝っただけだよ」
「それでも、おめでとう」
さくらを祝福する小狼ですが、その二人の様子はやはりぎこちない様子。
「何よ、あの二人…」
「ぎこちないのは何時もの事ですわ」
「違うわよ。何となく、仕方無く祝福しているって感じ」
「そうでしょうか」
などと、知世と苺鈴が囁いていると、
「公式戦初勝利おめでとう」
「あ…三原さん。この前は有り難うございました」
スケコマシ…もとい三原王二郎がさくらちゃんに声をかけて来ました。
さくらちゃんと向かい合っている小狼の方は当然無視です。
「嬉しいな。僕のこと覚えててくれたんだ。木之本さん」
「あの…さくらで良いです」
「有り難う。僕のことも王二郎で良いよ」
良い雰囲気の二人を邪魔するかのように、小さく咳払いをする小狼。
さくらちゃんはそれではっと気付きますが、王二郎は聞こえているのかいない
のか、話を続けます。
「それでさっきの試合を見てて思ったんだけど…」
さくらの第一回戦の試合について、王二郎はさくらちゃんにアドバイスを加え
ます。
それを一々肯きながらさくらちゃんは聞いていました。
この大会に参加していない小狼はすっかり置いてきぼりなのでした。
「ぐ…ぐ…ぐぐぐ…」
いきり立つ小狼に、知世ちゃんが近づくと、何やら耳打ちしています。
「それは本当なのか?」
「ええ。小狼さんなら大丈夫だと思いますわ」
「判った。なら、特訓だな」
「頑張って下さいね」
小狼の表情が明るくなり、知世ちゃんも何だか嬉しそうです。
レイヤー談義を続けるさくらと王二郎。
その様子を見ていたのは、知世ちゃん達だけではありません。
「どうしたのみさき?」
「王二郎さんとさくらちゃんが…」
さくらのことを祝福しようと出て来ていたみさきちと鳩子は、王二郎とさくら
の楽しげな様子を目撃していました。
それを見たみさきは、さくら達に声をかけることはせずに、そのまま観客席へ
と戻って行くのでした。
●第二試合前 控え室
さくらちゃんの第二試合の刻限も近づき、再び控え室へと戻ったさくらちゃん。
ちなみに試合用のコスチュームは先程とは別の服に当然変わっています。
「えっと、次の相手は確か…」
「木崎珠代だよ。宜しくね」
対戦表を見ていたさくらに、珠代が声をかけて手を差し出しました。
「あ、宜しくお願いします」
珠代と握手し、さくらは礼儀正しく頭を下げました。
「しっかし、凄い凝ったコスチュームよね。お母さんの趣味?」
「えっと、友達に作って貰ったんです」
「さっきの試合、見たよ。強いみたいじゃない」
「私も始めたばかりなんです」
中学生の珠代もさくらにとってはお姉さん。
自然と丁寧な言葉遣いになります。
「そうなんだ。私も始めたばかりなんだ。初心者同士、楽しくやりましょう」
「はい!」
●第二試合
「次の試合は、イーストコーナー、エンジェル・桜! デウスは魔法少女チック
なコスチュームでお馴染みの、木之本桜!」
相変わらずの派手な衣装のさくらの登場に、場内はわき上がります。
「ウエストコーナー、エンジェル・ジャッキー! デウスは木崎珠代でありま
す」
*
「それでは、エンジェリック・ファイト!」
双方エントリー・エンジェルの後に、いよいよバトルが始まりました。
「小さくても、容赦はしないからね!」
開始直後、珠代はジャッキーを突進させました。
格闘技の経験を生かした攻撃に、桜は防戦一方となりました。
「(相手の攻撃を読むことが出来れば…)」
第一試合と同様、相手のリズムを読もうとしたさくら。
しかし、相手のリズムを読めたと思った次の瞬間には、ジャッキーの攻撃パ
ターンが変化しているのです。
「甘〜い!」
目の前の攻撃を避けたと思えばそれはフェイントで、フェイントかと思えた攻
撃が実は本命。
戦いの経験は豊富ながら、接近戦の経験は殆ど無いさくら操る桜は、忽ちの内
に珠代の操るジャッキーに圧倒されて行きました。
「(このままじゃ、負けちゃうよ〜)」
*
「あ〜。あのままじゃ桜が負けてしまう」
「珠代は強いよ」
「あ…虎太郎ちゃん?」
みさき達の側の通路に、虎太郎が立っていました。
「あの攻撃パターンは、俺と道場で練習した時のものだな」
「そうなん?」
「あいつ、現実の格闘技の技をエンジェリック・レイヤーの技にそのまま…」
「まさか」
「そのまさかね」
鳩子が口を挟みました。
「やっぱり私の思ったとおり、珠代はデウスの才能があるのよ」
「それじゃあ…」
「残念だけど、桜は負けてしまうかもしれない」
*
「一方的! あまりにも一方的であります! このまま桜は負けてしまうのか?
それとも一矢報いるのか!?」
エンジェル・桜のダメージが累積し、後一撃を加えれば戦闘不能というところ
で、漸くさくらは、珠代の攻撃を見切ることが出来るようになりました。
途端に、ジャッキーの攻撃は桜に当たらなくなりました。
*
「どうして! 当たら! ないの!」
必死で攻撃を加える珠代のジャッキー。
しかし、攻撃は当たりません。
それどころか、逆に反撃すら受けています。
もっともこれは、余裕でかわしました。
ダメージポイント差から、このままであれば珠代の勝利は揺るぎません。
しかし、それで満足する珠代では、もちろんありませんでした。
「やっぱりノックアウト勝ちじゃないと」
*
「拙いわね。桜、レイヤーの端に追い詰められているわ」
「本当ですわ」
「……」
はらはらしながら知世達が囁いているとおり、桜はレイヤーの端を背に立つ形
となりました。
*
「もう逃げ場は無いわよ。覚悟は良い?」
そう叫ぶと、珠代はジャッキーを桜に向けて突進させました。
*
追い詰められた桜。
しかし、さくらはそれ程慌ててはいませんでした。
ジャッキーの攻撃が直線的であり、それ程の脅威を感じなかったからです。
そして、自分の操る桜の力を信じていたから。
「飛んで! 桜!」
ジャッキーが桜に到達する直前、桜は空中高く飛び上がりました。
ジャッキーの攻撃は空を切る形になり、勢い余ってレイヤーの外に飛び出そう
になったジャッキーは慌てて立ち止まりました。
空中で一回転した桜は、普通であれば向こう側へと着地する筈でしたが、現実
にはあり得ない、そしてエンジェリック・レイヤーでは極限られたエンジェルの
みがなし得る姿勢転換を行うと、物理法則を無視して今自分がジャンプして来た
方向──現在はジャッキーが立っています──に向けて落下して行きました。
「嘘!」
慌てて迎撃しようとする珠代ですが、それは間に合わず、ジャッキーは桜の空
中からのキックをもろに喰らってしまいました。
それ自体のダメージは実は大したことは無かったのですが、レイヤーの端に位
置していたジャッキーは、そのままレイヤーの外へと落下して行きました。
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
「さ…桜、WIN!」
●エンジェリック・レイヤー社
「飛んだやて? おい尾形」
「はい。今のシーンをもう一度再生します」
尾形の操作により、空中に飛び上がった桜の映像が、再びスクリーン上に再生
されました。
「ここや! やはりな…」
「翼、一瞬だけど出てますね」
「やはりあのお嬢ちゃん、ただ者では無かった。それに…」
「それに?」
「いや、何でも無い」
そう言うと、いっちゃんは暫くの間翼の生えた「桜」の静止画像を見続けてい
ました。
●大会会場・ロビー
「珠代、残念だったな」
「負けちゃったよ…。折角虎太郎ちゃんに練習、付き合って貰ったのに」
虎太郎の胸に顔を埋めた珠代は、泣いているようでした。
しかし、顔を上げた珠代の顔は一転、笑顔を見せていました。
「でも、次は勝つから! 見ててね。虎太郎ちゃん」
「ああ。頑張れよ」
「それじゃあ、すぐに次の試合だから!」
そう言うと、珠代は控え室に向けて走って行くのでした。
(第14話 完)
やっぱり試合を書くのは難しいなとつくづく実感。
動きを文章で見せるのは大変ですね。精進しないと。
では、また。
--
Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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