6日目その3 [雫石町道国見ヒヤ潟線]

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走行日: 2010年8月5日(木)

[地図: 国見温泉ゲート〜新仙岩峠]

国道46号旧道のうち岩手県道266号国見温泉線として再利用されている区間は, 国見温泉ゲートで終わります。県道はそこから国見温泉へ向けて, 旧国道とは関係の無い独自区間を進むのです。旧国道の残り区間は, 雫石町道国見ヒヤ潟線として県境まで続きます。距離はもうほんの少し, 直線で1km程度, 実測でも2km程度です。

県境, それは即ち仙岩峠(あるいは新仙岩峠)。今回の旅の最大の目的地と言って過言ではありません。2年前は2日目に三国峠で越えた, 去年は3日目に金山峠で越えた, 中央分水嶺でもあります。今年は6日目にしてようやく越えることができます……まさに, いよいよ, という感じです。いよいよ日本海側, いよいよ秋田県。峠を越えたら『行く旅』ではなく『帰る旅』の雰囲気になると思います, 多分。

参考資料(すべて山さ行がねがより):

写真コメント
[写真: 雫石町道国見ヒヤ潟線]
(09:12)

ゲートを過ぎると(註: ここから先の通行は自己責任です!)……本来はさっきまでと同じ本線の一部だったのですから, 道の規格も当然同一な筈なのですが……中央線はかすれ, 路肩は植物に侵食され, 実質的に1車線となっています。ただ, 勾配がここから更に急になる, といったことはありません。あくまでも国見温泉方面との分岐点だったというだけなのですね。ここからは岩手県道ですらなく, 雫石町道国見ヒヤ潟線です。

[写真: 竜川]
(09:13)

竜川本流を回り込みます(橋銘確認忘れた)。ここより上流には多分, 国見温泉から笹森山・国見峠(秋田街道の峠)へ向かう登山道しか川を渡る道がない筈。但し北側支流にもう1本, 県道国見温泉線の橋があります。

[写真: 盛岡盆地]
(09:16)

南側小支流(仮)の橋(ここも撮影せず)から, 盛岡盆地を眺めます。見えている建物っぽいものは, 雫石のどこかでしょうね。

……この撮影をしている最中, 後ろからワゴン車が2台走って来ました。げ, ゲートを開けられる方ですか!? 私など気にもされずに通り過ぎて行きました……。

[写真: 南側大支流付近]
(09:18)

竜川本流と南側大支流(仮)を隔てる尾根を回り込んだところです。尾根の突端付近はかなり崖崩れていましたが, ここは綺麗に整備されていますね。中央線も路側線も, かすれてはいますが描き直した形跡がありますし, 路肩に到っては苅り払いされていますよね。

[写真: 秋盛幹線]
(09:23)

更に次の尾根へと差し掛かると, 秋盛幹線の鉄塔が間近に見えて来ます。

[写真: 秋盛幹線鉄塔]
(09:26)

とか言っている間に, もう秋盛幹線鉄塔の直下まで来てしまいました。てことは, ここはもう峠のすぐ傍です。この鉄塔の裏あたりにアレがある筈……

[写真: 監視小屋?]
(09:27)

監視小屋か何かでしょうか。右に出ている舗装は, ただの駐車スペース……だと思っていましたが, もしかしたら国見峠へ向かう江戸道の一部だったかも。ここでまた, 軽トラが1台, 後ろからやってきて通り過ぎて行きました。車体に描かれたロゴが同じものだったので, 送電線工事関係の業者だったのかもしれません。

[写真: ヒヤ潟(裏)]
(09:28)

ちょっと背を伸ばして, 路肩の草の向こうを見てみると……見えました! 錆びついた小さな標識(裏), 大きな石碑(裏), そして眼前に広がる鏡のような湖面……高層湿原『ヒヤ潟』です!

[写真: 新仙岩峠]
(09:29)

ヒヤ潟を回り込み, 石碑の表側へと来ました。この付近が旧国道の最高所(835m), 即ち『仙岩峠』です。但し旧々道にある峠が本来『仙岩峠』と呼ばれた場所であるため, こちらは『新仙岩峠』と呼ばれることもあります。

ここまでの走行記録……走行時間2.08.22, 走行距離26.33km, 平均速度12.3km/h, 最高速度38.2km/h(変わらず), 総走行距離9,330.8km。

[写真: 國道仙岩峠貫通記念碑]
(09:30)

石碑には『國道仙岩峠貫通記念碑』と刻まれています。即ち1963年(昭和38年)にこの旧国道が貫通し自動車通行が可能となったことを記念したものなのです。時の建設大臣が寄筆しており, 本道工事が二級国道を一級国道へ格上げするに相応しい一大事業であったことを今に伝えます。

裏面には峠の歴史と旧国道建設の経緯が刻まれています。……が, 実際には間もなく, この道路は一級国道としての用を果たせない重大な欠陥を持っていることが明確になってしまい, 開通僅か4年後には新道(仙岩道路)建設のための調査が開始されているんですよね……。

[写真: 國道仙岩峠貫通記念碑(裏)]
(09:34)
[写真: 岩手県境標識]
(09:33)

石碑の隣に立っている錆びた標識は, 岩手県境を示すものです。もう1つ, 標識を失った柱があるのですが, そちらには秋田県と書かれていたんでしょうね……。ということで, ここからいよいよ目的地・秋田県でもあります。

[写真: 旧々道]
(09:33)

ヒヤ潟に背を向けると, 未舗装の車道が更に上へと続いています。これは旧々道, 即ち明治新道です。この先は『本来の仙岩峠』(895m)を経由して岩手県側へと降り, 道の駅雫石あねっこの前にあった『旧秋田街道入口』へと続きます。……さっき見た3台の自動車, ヒヤ潟付近に居ないってことは, ここを登って行ったのかな?

[写真: 堀木沢]
(09:32)

岩手県側の旧々道は今も作業用・登山道として現役ですが, 秋田県側は……堀木沢沿いに道があったということですが……どこに道があるんでしょうか(^^;;; ヨッキれんさんものレポートを見ても, 上からでは道へ辿り着けそうにないですしね。旧国道工事による地形改変の可能性が示唆されております。

[写真: ヒヤ潟]
(09:34)

真夏だけに草の背丈がとても高くて密度も濃くて, もしかしたら見られないのではないかと危惧していました。でも, 石碑の台座の上に登れば(草に隠れていますが正面に階段があります), 見事な風景が広がりました。そう, ヒヤ潟の全景です。新仙岩峠の象徴, これを見るためにここまで来ました……。

[写真: 仙北市道仙岩峠線]
(09:39)

峠は風の通り道, だけどここは光も良く通る, つまりとっても暑いのよーーーー。写真撮りながら軽く休憩して, でも純粋な休憩は無しにして, 秋田県側へと降りて行きます。勿論もう雫石町道ではなく, 仙北市道仙岩峠線です。さあ, 仙岩道路へと合流するまで, まだ頑張りますよ。秋田県側の方が距離が遥かに長いのです。

路面に補修の跡が見えますが……これは例の『通信ケーブル敷設』の跡だよねきっと。

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水野夢絵 <mwe@ccsf.jp>
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