> ★CCさくらVS神風怪盗ジャンヌ 〜激突! 視聴率争奪戦(嘘)〜

◇ 前回までのおはなし(熱〜く燃えるBGMをバックに読むこと)

日夜、御町内の平和を守る為に毎週活躍されておられるカードキャプターこと
木之本さくら嬢!そして彼女をサポートする素晴らしい友人たちの面々!だが
迫り来る悪は彼女たちを見過ごしはしなかった。忍び寄る魔の手が、さくらの
一番の友人である大道寺知世嬢に伸びる!救えるか、さくら!逃げ切れるか、
知世!そして、この町に現れた救世の戦士とは!今、万感の思いを込めて、
さくらの破邪の呪文が友枝町の闇に木霊する。「レリーズ!」

#…おかしい。こんなに派手な展開じゃなかったはずだが…ま、いっか。

●大道寺家 ともよのおへや 18号

知世 「あら? スパンコールが切れてますわ。」

さくらちゃんのビデオ(自作ワンオフ)を42インチプロジェクターで鑑賞
し一頻りゴロゴロゴロ(日課)して満足した知世嬢。一心不乱にコスチュー
ム作りに励んでおられました。が、どうやら素材が足らなくなった様です。

なお「モニターが小さいんじゃ?」と疑われた貴方。御慧眼です。ここは、
「ともよのおへや」18号。アパレルメイキング専用ルームです。さくらち
ゃんを鑑賞するAVシステムは、規模の大小はあってもどの部屋にも完備。

なお、何時もさくらちゃんを招き入れる部屋は「知世の客間」3号。特大モ
ニター&プロコンサート用音響システム完備で、4重の電子スクランブラー
と大気擾乱システムにより防諜面でも完璧に守られた、素敵なお部屋です。

知世 「しかたありませんわね。」

手馴れた様子でデスクに内蔵されたキーパッドを叩く知世嬢。間髪を入れず
デスクトップのミニマムAVシステム(当然、さくらちゃんのビデオが流し
っぱなし)が大道寺家ハウスキーピングサービス部に繋がり、知世嬢専属ス
タッフ(年収八百万)が麗しい笑顔で応対します。

馴染みのスタッフに細々とした素材入手を「お願い」した知世嬢。10分も
すればここに別のスタッフ(大道寺家内配送サービス部)の手により届けら
れる筈ですが、その間手持ち無沙汰になってしまいました。

なお、ここで「僅かでも知世様に無聊を味合わせてしまった」責務を負い、
先程インターコムで知世嬢の命を受けたスタッフはこの後間髪入れず馘首さ
れたそうです。合掌、ちーん。

知世 「ではこの間に、そうそう、あれを片付けちゃいましょうか。」

さて、退屈していても仕方がありません。知世嬢はくるくるっと部屋の中を
見渡しました。自分の目の前のデザイナーズデスク(2畳相当)にも作成途
中の「さくらちゃん専用コスチューム」が何枚も乗っているのですが。

12m四方の部屋中に広がる「さくらちゃん専用フィッティング用ボディト
ルソ」にも、それなりに作成中のコスチュームが掛かっています。総数、こ
の部屋だけで約25体。東京ドームn杯分の地下倉庫には…数えるだけで、
大道寺家セキュリティサービス1個師団が要りました。その時は「残り3個
師団だけでどうやって大道寺家を護るの!」と、お母様に叱られたそうです。

でも「沈黙の艦隊や航空師団や特殊部隊の皆様までは使ってないんだから、
大丈夫の筈ですのに…」と、知世嬢は少々ご不満だった様子です。

なおこのトルソが、さくらちゃんの成長に合わせて日々サイズ変更されてい
る事は言うまでも無いことですね。この「集中管理型サイズ変更アクチュエ
ータ内臓トルソ」の価格は、1体でBMW7クラスに相当するそうですが、
知世嬢はみんなご自分の「おこづかい」で揃えられています。偉い偉い。

知世 「えーっと、昨日まで作りかけていたあれは、どこだったかしら…」

そう言いながら、知世嬢はトルソの林の中に足を進めてゆきました…。

●大道寺家上空1600フィート

さてこちらは、知世ちゃんの豪奢な生活ぶりを上空から覗いていたミストと
ノイン。器用にも上空で暫くヘタレて突っ伏していたミストが、がばっと頭
を上げました。

ミスト「な!な!…なんなのよ、これわあっ!」
ノイン「ふぅむ… 日本における貧者と富豪の所得格差は、こうまで広がっ
    ていたのですね。」

ごいん。

ノイン「痛いですよ、ミスト。」
ミスト「知った風な口をきくなぁ! 何っ?たかだか10歳の小娘が、AV
    システム完備の個室を20部屋以上と専属スタッフと護衛の施設軍
    隊とBMWが工場ごと買えるような小遣いと…」
ノイン「東京ドーム、ン杯分の倉庫を忘れてますよ。」

ごちっ

ノイン「だから痛いですってば、ミスト。」
ミスト「余計な突っ込みは死を招くわよっ!こっこっ…こんな…こんな…」
ノイン「おや、悪魔でも咽喉がいがらっぽくなる時が?そんな時は、」

ばきっ

ノイン「顔は止めてください、顔は。悪魔は顔が命なんですから。」
ミスト「ちっとは顔以外で誑し込む事を覚えたらっ?そーじゃなくって、
    小娘よ、小娘っ! 10歳でこんな生活していて良いと」」
ノイン「そう言えば、貴方、昨日は何処で眠ったんです?何時ものガード下
    に居なかったから随分探しましたよ。また夕食おごらせた援交相手
    を失神させてホテルに泊まり、そのままとんずらこいたんですか?
    いけませんよ、そんな事じゃ。人生はギヴアンドテイクと申して」

どかばきっ

ノイン「今度は足が出ましたね? いくら温厚な私でも、怒る時は」
ミスト「うるさいっ!アンタが余計なボケかます御蔭で、ちーとも話が進ま
    ないじゃないのよっ。
    許せない…ゆるせないわっ!悪魔だの天使だのなんかどうでもいい。
    この小娘には、この私、悪魔ミストが天罰を食らわせてあげるわっ!」
ノイン「悪魔が天罰と言うのは、どう考えてもおかしいような」

ごすっ

ノイン「宝石箱で殴るのはナシですよぅ。痛いなぁ、もぅ(さすさす)」
ミスト「…ふっふっふ。たかが小娘と思ってキャンディー2個で済まそうと
    思ってたけど、もう容赦しないわ。見てらっしゃい、ノイン。この
    私だって、たまには大盤振る舞いするのよっ」

がばっ。ばらばらばらばらばらばらばらばらばらばら… ぽんぽん、からっ

ノイン「ああっ、宝石箱ごと振り回して…あぁあ、全部ばら撒いてしまいま
    したね。良いのですか、ミスト?」
ミスト「ふん。自らの財を貪り享楽に耽る人間には、この位の不幸が似つか
    わしいわ。1個でグレード3の不幸を齎す悪魔キャンディーが全部
    で256個。この世の全ての不幸を一身に背負うが良いわ。あーっ
    はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」
ノイン「…いぇ、そういう事ではなく。」
ミスト「はっはっはっ…何よ、せっかく人が気分良く笑ってる時に。」
ノイン「あーあ。これまでせっかく貴方が爪の先に火を灯すような思いで貯
    めた悪魔キャンディーを、一気に使ってしまって良かったんですか?
    どうせ今月分の支払いだって未だ終わってなかったんでしょう。
    明日から、貴方、どうやって生きてゆくつもりです?」

さーっ…(血の気が引けきった音)

ノイン「援交相手を騙すのにだって、ガード下にダンボールの家を作るのに
    だって、ましてや今日の御飯を食べる為に小銭を偽造するのだって、
    我々には魔力の元であるあのキャンディー、つまり魔法珠が必要な
    んですよ?1個300円とはいえ、ただじゃないんですから。」
ミスト「・・・・・・・・・・」
ノイン「それでなくったって支払いが滞っている貴方のこと。また今月末に
    問屋魔女から追い回されたって、もう庇いきれませんよ?」

ちょんちょん

ミスト「ねぇえ、ノイン?あなた、そろそろ給料日じゃなかったっけ?」
ノイン「学院の締めは20日。私のような非常勤講師は月初払いです。」
ミスト「ふん、だ。知ってるんだから。伊達にハイソな車に乗ってる訳じゃ
    ないって事よ、あなたは。スーツも輸入ブランドしか着ないし。」
ノイン(ぎく)「な、何のことですか?」
ミスト「毎日毎日、学園から退勤するのが早い割には帰りが妙に遅いなぁと
    思ってたんだけど…貴方も結構まめなことやってるのねぇ」
ノイン(ぎくきく)「な、な、何のことだか、私には…」
ミスト「あー言った商売は、結構現金収入があるんじゃなぁい?」
ノイン(ぎくぎくぎく)「・・・・・・・・・」
ミスト「…あなた、昨日は店がひけてから、何処のおばさんを送ったの?」
ノイン「・・・さぁて。学園に帰らねば。じゃっ」
ミスト「なにが『じゃっ』よ!こらっ、まちなさーい!」

何やら複雑な事情を抱える悪魔軍2名。もつれ合いながら大道寺家上空から
立ち去りました。残されるは、大道寺家のみならず友枝町周辺地域にまでば
ら撒かれた悪魔キャンディー。その数、256個。

・・・しかし、ミストは気付いていなかったのです。

そのキャンディーを使って人を不幸に陥れるには具体的な思いをキャンディー
に篭めなければならないにも関わらず、頭に血が上った彼女はすっかりそれを
疎かにしていた事に。先に投じられた2個は兎も角、ばら撒かれたキャンディー
には殆ど「念」が篭められていません。つまり…

このキャンディーは、拾った者の意のままに作動する事になるのでした!

そんな危険で、(あらゆる意味で)オイシいキャンディーを拾うものが、ほぅら
其処に1名、あそこに2名…


こちっ ころころ…

ケロ 「いたっ! なんやぃな、もう…キャンディ?どこから…ま、えぇか。
    いっただっきまーす。」ぱくっ

委員長「都さ〜ん、草壁さ〜ん、何処ですかぁ? …どうしよう、こんな
    知らない町で迷子になっちゃったら… いたっ キャンディ?」ぱくっ


雪兎 「えっ…あれ、珠…キャンディ? ふ〜ん…」まじまじ…ぱくっ

苺鈴 「いたぁい! 何よっもう!」
小狼 「おとっ。 あれ、キャンディ?何処から降ってきたんだろう?」
苺鈴 「ふんっ。この私の麗しい頭にドツキ食らわすとは良い根性をしてる
    わ。ご褒美に私が食べてあげるっ」ぱくっ
小狼 「こらまて苺鈴、まずよく調べてから…しょうがないなぁ」ぱくっ

・・・以降は任意に御想像くださいませ。(爆)