かつて、解放区と言えば人民解放軍(共産軍)が国民政府統治地域又は日本占領区域を統治下に置いた事を示していたが、現在の解放区は外国人が観光、その他目的で立ち入る事が出来る地域を示す。
 つい最近迄杭州市以外のセッコウ省よりも内陸部は開放区ではなかった。
 そして、我々が最も驚いた事は、出生地(本籍)に拠って進学する学校が決められており、本籍地が内陸部であれば、小学校から内陸部の学校に入る事になる。内陸部と沿岸部の所得格差は4~6:1即ち内陸部では沿岸部の四分の一の所得しか得られないので、勢い出稼ぎが多くなる。
 そして、最も驚く事に上海人は内陸の人を人として見なしていない様子で、我々が近ずく事や、目を合わす事すら禁じた。
 上海万博の為に多くの人が内陸部から来ている様子で、蚕棚様のベッドを備えたマイクロバスに幾度と無く出会ったが、20m以内に近寄らない様に注意された。
 北京ではオリンピックの為の工事が盛んだったが、指定された場所以外への立ち入りは禁止、夜間も外出禁止とされた。客観的に見て日本ではとても間に合わないであろう状態だったが、多分昼夜兼行の人海作戦で間に合わすのだろう。

 華南と華北の文化の違いもさることながら、沿岸部と内陸部(200Km未満)の文化生活様式の差には驚いた。
 多分上海の教育レベルは日本のレベルを遥かに凌いでいるだろう。学生と話したり、教科書を見ると国立大学の教養課程以上の内容を中学校3年生から高校2年生で履修している。
 必ずしも英才教育では無く、普通に行われている所を見ると、日本は数年で追い越され、彼らの部下として働く事になるだろうと感じる。
 内陸部に関しては参考書も少なく、かなりの学力差が有ると思われる。
 所得格差以上とさえ思える。

 唯一理解出来た事は、一党独裁国家であり、党の影響は内陸程強い様子で、上海や北京では国旗を見かける事は少ないが、内陸部では多くの建物に国旗が毎日掲げられている様子だった。
 
 新聞で報じられた様な事件は事実か否かは不明だが、一部の集団が意図的に誤った情報を流す事は経験している。その中には、妊婦の腹から胎児を取り出し料理して食べている例が写真を付けて配信されたもの迄ある。
 まさに、信じるか否かは見る人次第だろう。

 日本の年金問題等は彼らに言わせれば、官僚の搾取に疲弊した日本人民が、やっと抵抗の声をあげだしたと映るのと同じかも知れない。