Re: Kamikaze Kaito Jeanne #40 (12/18)
携帯@です。
# 本スレッドは「神風怪盗ジャンヌ」のアニメ版第40話から
# 着想を得て書き連ねられている妄想スレッドです。
# そういう2次創作物が嫌いじゃ無い方のみ、以下をどうぞ。
漸く妄想本編を再会します。
第174話は1クール分程度の分量を想定しています。
1/3程度は書き溜めておいたので、多分そんなに変わらないと思う…。
# 多分、何だかんだ言って増えると思うのですが。^^;;;;
では、改ページ後にゲームスタート!!
^L
★神風・愛の劇場 第174話『盲目の愛故に』(その1)
●枇杷町・山茶花本邸上空 3月3日(金)夜
怪盗ジャンヌが現れたことにより休園に追い込まれた遊園地「水無月ギャラクシーワー
ルド」。
その遊園地より山茶花家所有の大型ヘリコプターが飛び立ってから約20分。
「着きましたわ」
渡されていたヘッドフォンから弥白の声が響き、ツグミはヘリが目的地──山茶花本邸
──に到着したことを知りました。
「うわぁ。凄い大きいお屋敷でぃす」
「上から見ると改めて凄い大きさですね」
弥白の声を聞き、窓の外を見た全が感嘆の声を上げました。
そして今日、弥白と一緒に案内を努めてくれていた、大門佳奈子の声もツグミの耳に届
きましたが、残念なことにツグミはそれを目にすることが出来ないので、大きさがピンと
来ません。
「全君、大きいってどの位?」
それ故、ツグミは極自然、全にそう尋ねたのです。
「そうでぃすね…。ま…あいや、お城より大きいでぃす」
「まぁ。フフフ…」
それは一体どこのお城のことだろう。
ツグミは思いましたが、深くそれを追求することはありません。
どのみち、どのお城であろうと、本で読んだ程度の知識しか無いので、広さが実感とし
て湧かないだろうと思いましたから。
「あれってひょっとしてゴルフ場ですか、弥白様?」
「ええ、そうよ。今度挑戦してみる?」
「それはちょっと…」
弥白と佳奈子の会話を聞いて、漸くこの屋敷が想像を絶する大きさであるのだとツグミ
は理解するのでした。
●枇杷町・山茶花本邸
やがて弥白達を乗せたヘリは屋敷内のヘリポート──と、教えてくれました──に着地
しました。
ヘリの扉が開くとまず真っ先に、先だって弥白の胸に真っ先に飛び込んで来た使用人ら
しい女の子──弥白との会話からすると名は椿──が機外に飛び出し、続いて弥白がツグ
ミを伴い外に出ます。
「お帰りなさいませ」
「お帰りなさいませ」
「(どれだけ練習すれば、これだけ揃った声が出せるのかしら?)」
見事に揃った声で、弥白達を屋敷の使用人達が迎えました。
「お帰りなさいませ。お嬢様」
「ただいま。準備は?」
「はい。既に万事整っております」
恐らく、山茶花家に仕える執事といったところでしょう。
初老と思われる男の声がしました。
「今日は大変な騒ぎでございましたな」
「ええ、本当に。観覧車に30分も閉じ込められてしまいましたわ」
「何と。お嬢様をその様な目に遭わせるとは、早速抗議を…」
「それは不要よ。大和さんが困ってしまうわ」
「お嬢様がその様に仰せならば」
「さ、いらして」
「では、こちらへ」
椿を先頭に、ツグミ達はヘリポートから屋敷へと続く道を歩いて行きます。
直ぐに建物に到着すると思いきや、起伏のある道を暫くの間、ツグミ達は歩いて行くこ
とになりました。
その間、使用人と何度もすれ違い、その度に弥白達は挨拶されます。一体この屋敷には、
何人の使用人が働いているのだろうとツグミは思うのでした。
*
「着きましたわ」
やがて、弥白達は大きな建物の前にたどり着きました。
椿が手をかけるまでも無く、内側から扉がまるで自動であるかのように開きます。佳奈
子にとって、それはこれまで何度か訪れた時に見た、見慣れた光景。
故に佳奈子は驚くことはありませんが、同行していた全と名乗る少年は驚いた様子でし
た。ツグミの方はと言えば、そもそも見えていないので驚くことはありませんでしたが。
それよりも佳奈子を驚かせたのは、玄関ホールに居並ぶ者達でした。
上は二十代後半から下は佳奈子と同じ年頃の少女まで。
見目麗しき山茶花家の女性使用人、即ちメイド達がホールに整列して弥白達の帰りを今
や遅しと待ち構えていたのです。
「お帰りなさいませ」
ヘリポートの時と同様、そして今度は若い女性ばかりの声が見事に揃いました。
「お帰りなさいませ、お嬢様。ご苦労様、椿さん」
一呼吸遅れて、落ち着いた感じの女性の声がしました。
佳奈子の記憶では、弥白が住むこの館のメイド長の筈でした。
「ただいま」
「いらっしゃいませ。瀬川様、大門様、それと…」
「全でぃす」
「全様。お部屋の支度は整っています。まずは荷物を」
*
弥白の案内で、館の中へと進むツグミ達。
弥白の説明によれば、3階建ての洋館は、ほぼ彼女のために建てられたものだと言う事
で、弥白自身は普段3階で生活しているということです。
ご両親とは別々に暮らしているのだろうかと思ったツグミですが、敢えてその理由につ
いて聞くことはしませんでした。
「では、全様はこちらにどうぞ」
「え…?」
大勢の客を招いてパーティーを開くことのある山茶花邸。
遠方からの来客のため、宿泊施設が完備されているとのことですが、今日は特別に客用
の寝室を2階に用意しているとのことでした。
それ故、てっきりみんなでそちらへ向かうかと思ったのですが、全だけが玄関で弥白に
直接声をかけた女性に話しかけられました。
「あの?」
「ご親族の方などを除いて殿方でご宿泊のお客様は、通常は別棟にお部屋をご用意させて
頂いておりますので…」
ツグミが次に何を言おうとしたのか察したのでしょう。
やや、申し訳なさそうにも聞こえる口調で、その女性は言いました。
山茶花家は当主が代々女性だという話なので、何か独特のしきたりでもあるのだろうか。
それとも、ご両親が弥白さんに悪い虫がつくのを嫌っている?
少しばかり奇妙な対応に、ツグミは戸惑いました。
「判りましたぁ」
「すぐに夕食の時間ですから、またね。木葉さん、宜しくお願いします」
「はぁい」
何だか、一人だけ仲間外れにされてしまっているようで可哀想。
未だ子どもだし、別に構わないのでは。
そう言いかけたツグミ。しかし、全は素直に言われるがまま、女性の後を追うように行
ってしまったので、ツグミは抗議するタイミングを逸してしまいました。
そんなツグミの手にそっと別の手が重ねられました。。
「ごめんなさいね。木葉さん…私付のメイド長の人なのだけど、仕事熱心なの。また、す
ぐにお食事の時間に会えますから」
弥白が、ツグミの耳元で申し訳なさそうに囁きました。
そう言われてしまうと、ツグミはそれ以上何も言えませんでした。
*
ツグミが案内された部屋で、ほっと一息ついたタイミングで、扉がノックされました。
扉を開けると夕食の用意が整ったと椿が告げ、イカロスと共にツグミは椿の案内で食堂
へと向かいました。
食堂では既に弥白、佳奈子が来ていて、ツグミは椿に導かれるまま着席しました。正面
から聞こえる弥白達の話し声からして、テーブルの幅がかなり広いか、さもなければそも
そもテーブルが口の字の形に配置されていて、間に空間があるのでしょう。かなり離れた
場所に座っているような気がしました。
「うわぁ。大きい食堂でぃす」
ツグミが心の中で思っただけの感想を堂々と大声で口にして、別のメイドの案内で全が
食堂に現れました。
「本当に。私達4人だけで食事するのが勿体ない位」
正面から、佳奈子の声が聞こえます。
「あら、佳奈子さんはここは初めてだったかしら?」
「前に夕食を頂いた時には、弥白様のお部屋で頂きましたから…」
「じゃあ、今度から佳奈子さんをお招きした時は、ここで食事にした方が良いかしら?」
「いえ! 私は弥白様のお部屋でのお食事の方が…。その、一緒に料理したりして楽しい
ですし」
二人だけの会話ということなのでしょう。どちらかと言うと小声で話していたのですが、
ツグミの耳には全部届いていました。
二人の仲の良さをツグミは微笑ましくも羨ましく感じます。
ほんの少し前までは、自分の家でもそのような光景が毎日のようにあったのですが……。
「では、始めて下さい」
弥白の合図で、早速前菜が運ばれて来ました。
この家専属のソムリエ──女性でした──が、本日のワインを恭しくこの場の主人であ
る弥白に注ぎ、弥白が肯いた──多分──後に、各自の前に置かれたグラスに赤ワイン─
─匂いで判りました──が注がれます。
「(…ってワイン?)」
母方の血筋故、ツグミ自身にワインに抵抗感はありません。
しかし、全はどうなのか。
「全君、大丈夫なの?」
未成年に飲ませちゃ拙いわ──自分も未成年ですが──ということはともかくとして、
そもそもアルコールを全が窘めるのかということを気にしたのです。
「良く飲んでまぁす」
全が、間もなく父とフランスに行くと言っていたことをツグミは思い出しました。そう
か、彼もいなくなっちゃうんだ…。そう思い、少しツグミは寂しい気持ちになりました。
「私達、未成年ですから本当は宜しくないですけど、これ位なら、ね」
ツグミと全が話している間、佳奈子も飲んで良いものか尋ねたらしく、弥白が言うのが
聞こえました。こちらは、普通の声だったので、ツグミ達にも聞こえるように言ったので
しょう。
それで、ツグミもこのことについては気にしないことにするのでした。
「それでは皆様、宜しいかしら?」
弥白の声で、ツグミはグラスを手にします。
すると、芳醇な香りがツグミの鼻に届きます。
「皆様の健康を祈念して。そして、私達の新しい友情に」
「乾杯」
*
急なお客様なので、あまり大したお持てなしも出来ませんけれど。
そのように謙遜した弥白ですが、オードブルから始まりデザートに至るまでの都合6皿
に及ぶフランス料理は、ツグミの舌と鼻を十二分に楽しませてくれました。
惜しむらくはツグミは料理を目で楽しむことは出来ません。
しかしながら、給仕役を務めていたメイド──椿──が、料理の色合いや配置を細々と
説明してくれたので、料理をイメージするのにはツグミにはそれで充分なのでした。
デザートを平らげ食後の珈琲乃至は紅茶を飲んだ後、談話室という名の部屋でお話しし
ましょうということになりました。
メイドにお茶のお代わりをお願いして、それぞれソファに腰を落ち着けた弥白達。たわ
いも無い会話は、ツグミたちが退屈しないように弥白が気を遣ったのでしょう。自然、ツ
グミと全に関する話題となりました。
「そう言えば全君、フランスに住んでいたことがあるの?」
遊園地の中で全が突然フランス語を話したので驚いたと言う弥白の話を受け、佳奈子が
そんなことを全に尋ねました。
「あ、それ、私も知りたいわ。私の母方の祖母の故郷でもあるし…」
「ツグミさん、お祖母さんがフランスの方なんですか?」
「ええ」
「金髪はそれでなんですね」
「ええ。で、全君はフランスに住んでいたことがあるの?」
「えと……」
何故か、全は言い淀みました。
「確か全君、お父さんがフランス出身の人なのよね」
確か以前聞いた時、全君はお父さんがフランス出身だとは言っても、自分がそこに住ん
でいたとは言わなかったような。そもそも、フランスのことも良く知らない風だったし。
そう思い、ツグミは違う話題を振ってみます。
「はぃでぃす。お父さんは、「なんと」に住んでいたそうでぃす」
「ナント?」
「ナントってナントの勅令の?」
「そうよ。ロワール河の河口。パリから列車で2時間位だったかしら」
「結構離れてるんですね」
「じゃあ全君も、ナントの出身なの?」
「えと…多分違うと思いまぁす」
何だか、深く追求してはいけないような気がしました。
「弥白様。ご入浴の支度が整いました」
どう話を続けようか。ツグミが考えた時、タイミング良く談話室の扉が開き、メイドの
椿の声がします。
「ありがとう、椿さん。皆さん、お聞きの通りですので、そろそろお風呂になさいません
か?」
「ええ」
「ツグミさん、この家のお風呂は天然温泉なんですよ」
佳奈子が嬉しそうにそう言います。
「まぁ」
「今日は、他にお客様も居ませんので、大浴場に参りましょう」
「わあっ、大浴場ですか〜!! あそこ、入ってみたかったんですよね」
客人であるツグミを差し置いて、一人はしゃいでいる佳奈子なのでした。
(つづく)
……という訳で、こちらでも何故か温泉話となりました(笑)。
湯気はすっきりだと思うのですが、実質主役が目が見えないのが難点(ぉぃ)。
では、また。
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