プラネテス Last Phase
石崎です。
一週間遅れですが、漸く記事を書けました。
プラネテス Last Phase『そして巡りあう日々』について雑感など。
^L
●あれから半年
タナベ「先輩へ。お父さんとは仲良くしないと駄目ですよ。今まで話せなかった
分、7年間たっぷり親子しちゃって下さい。私の方は、相変わらずリハリ
ビに明け暮れる毎日です。その甲斐あってか、回復は順調です。お医者さ
んにも良くやってるって褒めて貰いました。前から頼んでいた宇宙に上が
る件も、この調子なら、来月位には認めて貰えそうです」
試験に合格して半年。ハチマキはフォン・ブラウン号の慣熟飛行に明け暮れな
がらもタナベとメールで連絡を取り合っていた。
そのタナベはリハビリに励んだ結果、宇宙に上がることを認めて貰えそうにな
るまでに回復していた。
# さり気なく、タナベがハチマキが握力を鍛えるのに使っていたハンドグリップ
# (?)をタナベが譲り受けていたり、ナマコを宇宙から持ち帰って家で飼って
# いたりと細かい描写がナイス。
# ゴローの親父さん、ハチマキに対する悪戯が子供じみています。あれで、親子
# のコミュニケーションを図っているつもりなんでしょうか?
●OP
またまた細かいところが変わっています。ハチマキのバックがフォン・ブラウ
ン号やタナベの実家にある風力発電の風車になったり、ロックスミス博士の背景
がタンデムミラーエンジンの事故からステーションに変わったりと細かいところ
が色々と。人の影も黒になりました。
●ありがとう、またね
チェンシン「好きだったから?」
クレア「まさか。大嫌いだったわ。何も知らずに言葉だけ振りかざして、頑張る
だけで何とかなると思っている。デブリ課に回されてね、彼女の下になっ
た時…」
チェンシン「怒ったり悲しかったりするのは、それだけその人が気になるからだ
よ」
月面のクレーターにある刑務所でチェンシンと再会したハチマキ。
お互いに何かを言いかけ、どちらが先に話すかで口論となる二人だが、チェン
シンは木星から帰ってからならハチマキの言葉を聞くと言い、ハチマキの航海の
無事を祈るのだった。
二人がここを訪れた目的は、収監されているクレアとの面会のためだった。
フィーとユーリはクレアの罪について何も喋らなかったが、クレアは全ての罪
を自白したこともあり、テロリストとしては異例に短いとは言え懲役十年の判決
を受けていた。
罰を受けたい気分だったのだと、否認しなかった理由を語ったクレア。
自分が社会の一員になりたかったから、テクノーラで頑張ろうとしていたクレ
アは、タナベと月に不時着した時、タナベがクレアの酸素ボンベを奪わなかった
結果、酸欠で苦しんでいた時、自分も死のうとしたが、通りかかったシャトルバ
スを見てタナベのために助けを呼んでしまったと話す。
タナベのことが大嫌いだったというクレアに、チェンシンは愛の反対は無関心
だと言う。
判らないというクレアにハチマキは、勝手に死ぬなということだと言う。
ハチマキは宇宙はみんなつながっていると言う。タナベもクレアも、チェンシ
ンもハチマキもどこかでつながっているのだと。
クレアは窓にエルタニカ語で「ありがとう、またね」と書く。
そして、刑期を終えたら、先進国の書物をエルタニカ語に翻訳しようという夢
を語るのだった。
# チェンシンとハチマキが漸く仲直り? どちらが先に話すのかで揉めていた時、
# チェンシンが僕の家では若い方から先に話すと子どもみたいなことを言ってい
# たのに苦笑。
# クレアさんはやっぱり刑務所送りになっちゃいましたか。フィーさんたち、ク
# レアのことを庇っていたんですね。
●ガリレオ開発独立
ドルフ「事業部長から社長になるのだから、栄転だと言われました。今度は社長
から常務、つまり降格ということですか」
専務 「皮肉は止めたまえドルフ君。天下のテクノーラ社の常務だよ。ガリレオ
開発の社長なんかとは比べものにならん」
ドルフ「そうですね。確かに、比べ者にはなりませんね。飼い犬と一匹狼のどち
らが良いかなんて」
テクノーラ社本社に呼び出されたドルフは、出向先のガリレオ開発の社長から、
テクノーラ本社の常務として呼び戻すと告げられるが、ドルフは飼い犬と一匹狼
とでは比較になりませんと言い、それを拒否する。
ドルフはロックスミス博士を抱き込み、木星計画のノウハウを独占、テクノー
ラのライバル社、ベガ社とも話をつけた上で、ガリレオ開発をテクノーラ社から
独立させたのだった。
その経緯をラビィから聞かされ、高笑いするフィーだった。
# ドルフがロックスミス博士に折り入っての話とは、独立話だったんですね。あ
# のロックスミス博士が、ドルフ相手にはやけに素直という気がしますが。
●国を知らない少女
ノノ「あ…。あたしね、ルナリアンなの。月生まれの月育ち。だから、国とかっ
て見た事無いんだ。おじさんの国は、地球のどこにあるの?」
静の海市にあるギガルトの墓を訪れたハチマキとゴロー。
ゴローと仲良くやれというギガルトの言葉に、心配しなくても仲良しだという
ゴロー。
そんなゴローにパパと呼びかけおどけるハチマキ。
休暇がまだ残っていたハチマキは、ISPV-7に行くと言う。
タナベが、宇宙に上がってくると言うのだ。
その頃、静の海市の外側で、怪しい活動をしていた男。
秘密の出入り口から都市の外に出たノノは、その男と出会い、自分が勝手に外
に出たことがばれたと思い、このことを話さないでくれるように頼む。
何をしているのかと尋ねたノノに、みんなが汚した場所を綺麗にするんだと言
ったその男は、変わり果てたハキムだった。
宇宙が一部の国が独占する世界となってしまったのを正すべきだというハキム
は、ノノに射出アンカーを向ける。
だが、ルナリアンのノノは国というものを見た事がないという。ハキムに、国
はどこにあるのと聞くノノ。
ハキムは、確かにそんなものは見えないなと言い、去って行くのだった。
# 最終話にもきっちりとノノたんが出ました。成る程、国家というものを知らな
# いノノを国家に囚われたハキムと会わせましたか。ノノの言葉でハキムも宇宙
# から見れば国なんてものは見えないということに気づいても、それで地球に住
# んでいる人たちが救われる訳では無いから、やっぱりテロは止めないんだろう
# なぁ…。
# 取りあえず生きていたハキム。だけど、大やけど負って片目失っているみたい。
# 原作ではテロをやる気無くして姿を消しただけだったのに、この扱いの差は何
# でしょうか。^^;;;
●恥ずかしい遺書
リュシー「で、どう? 有名人とは上手いこと行ってるの?」
タナベ「え…。まあね。リュシーこそ、コリンさんとは?」
リュシー「順調順調。あいつ、あたしにめろめろだから」
ISPV-7にやってきたタナベを出迎えたハチマキ。
ハチマキは、チェンシンがタナベに無理矢理キスしたことを聞かされたことを
話し、グーで殴ったと言うが、タナベはチェンシンとの平和を望んでいた。
久しぶりに訪れたハチマキたちを歓迎するデブリ課の面々。
課長補佐は定年が延長され、ラビィは係長補佐から係長に昇進、エーデルはテ
クノーラ社の正社員になっていた。
そして後から現れたエーデルは、テクノーラ社の正社員に昇進していた。
エーデルが餞別に渡した株主優待のノーラ君が膨張して押しつぶされそうにな
るハプニングの後でキースやリュシーなど、ハチマキとタナベの知り合いがデブ
リ課に押しかける。
リュシーにハチマキとの関係を尋ねられたタナベは、逆にコリンとの仲を尋ね
ると、コリンは自分にめろめろなのだとリュシーは言うのだった。
ハチマキにサインを求める声を聞いて、課長補佐もハチマキにサインをして貰
おうとする。それは、ハチマキが書いて、要らないからと残したままにしていた、
自分の理想の宇宙船を書いた遺書なのだった。
# タナベを出迎えたハチマキの姿は黒のコート、サングラス、ベレー帽と黒ずく
# め。恰好つけようという努力はしても、センスは今一っぽい。
# チェンシン、タナベにしたことを馬鹿正直に白状したのか。^^;;;;
# デブリ課やテクノーラ社の面々のその後が一気に出ました。ラビィの昇進はと
もかく、課長補佐の定年延長は驚きました。
# 課長補佐が頭をやたらと気にしているシーンが入っていますが……伏線でした。
# (笑)このネタはこれまで全く出ていなかったのに何故急に。
# 正社員になったエーデル。持っていたのは「株主優待」のノーラ君グッズ。勉
# 強面だけで無く、投資の方も怠りないようで。
# 全長20メートルまで膨張するノーラ君って……。成る程、ホテル・スピカの中
# にあった救命ボールも同じ技術を使って膨張するということか。
# リュシー、予想通りコリンと未だ付き合ってました。身体張って助けた甲斐が
# あるというものです。
# ハチマキの遺書が壁に飾られちゃってます。あれじゃ晒し者……。
●しりとりプロポーズ
ハチマキ「あるよ。結婚しよう。…うだよ」
タナベ「…うん」
ハチマキ「よっしゃ! お前の負け」
キース達が段取りしてくれたお陰で、タナベ達を乗せ宇宙に出たトイボックス。
管制とフィーとのやり取りを聞きながら、フィーの声を聞くとエアロックに行
かなきゃという気になるというタナベに、フィーはじゃあ行ってみるという。
実は皆が気を利かせて、デブリ課に居た頃のサイズの宇宙服をエアロックに用
意していたのだ。
流石にデブリの回収までは出来ないものの、外に出たハチマキとタナベ。
タナベはもう何度も見た筈の宇宙から見た地球の姿に感動し、またデブリ屋と
してここに戻って来たいと言うのだった。
トイボックスの外でしりとりを続けるタナベとハチマキ。
なぜか、必ず「け」で終わる言葉ばかり続けるタナベ。
次に続ける言葉に詰まったハチマキが最後に出した言葉。
「結婚しよう」
それに対するタナベの言葉は、「うん」なのだった。
# 宇宙船は車なんかと違って航行するだけで事前の手続きや整備が面倒なものの
# 筈で、急に訪れたタナベ達のためにここまで裏でキース達が頑張ってくれたん
# でしょうな。
# 今回は課長補佐まで宇宙に出ています。……が、前回宇宙に出た時と同じよう
# に拘束されたままなのに爆笑。
# 「太ってないよね?」とタナベとハチマキに尋ねた課長。痩せていても拙いの
# では?
# 二人の会話を盗み聞きしようとして、フィーとユーリに睨まれた課長補佐とラ
# ビィ。にしても「元上司として二人を監督」って、上司でもプライベートを監
# 視しちゃ駄目でしょう。
# ハチマキのしりとりプロポーズ。どうしてここでしりとり? …と考えた人は
# 多かったと思いますが、これ、原作ではハチマキとタナベが何度も宇宙でデー
# トを重ね、最後にしりとりをしながらプロポーズ…という場面のアニメ化だっ
# たりします。原作と異なり、アニメのタナベは最後を「け」で終わらせる意地
# 悪をしていますが、直前にリュシーにハチマキとの仲を突っ込まれているので、
# この機会にハチマキにプロポーズさせようという高等戦術……な訳は無いと思
# いますが。^^;;;;
●ED
タナベ「大丈夫。約束したから。必ず帰って来るって」
そして時は流れ、フォン・ブラウン号の旅立ちの日。
九十九里のハチマキの実家の前には報道陣が詰めかけていた。そこに帰って来
た九太郎は、大あわてでテレビをつけるが、母のハルコは落ち着いたもの。
既にクルー達がフォン・ブラウン号に乗り込もうとしていることを知った九太
郎は、大あわてで今はハチマキの妻となったタナベを呼ぶが、こちらも落ち着い
ていた。
タナベに、新婚なのにハチマキを行かせて良かったのかという九太郎だが、タ
ナベはハチマキと必ず帰って来るからと約束したからと言うのだった。
そしてタナベのお腹の中には、新しい命が……。
# EDは後日談。曲までPLANETESに変わっています。
# 九太郎のロケット打ち上げはいつの間にか見物人を大勢集めるように。テレビ
# で報道されたからなんじゃないかと思いますけど。
# ガリレオ開発には、火星に飛ばされた筈のナマコ研究チームが新型装甲の説明
# をチャドに。火星と月をそう簡単に行ったり来たり出来ないと思うので、飛ば
# されたものの速攻で呼び戻されたか、そもそも飛ばされすらしなかったのでは?
# そこに入って来たロックスミス博士の手には“Next Frontier Saturn”の文字
# が。やはり、土星目指すんかい(笑)。
# ガリレオ開発社長のドルフ。第二事業部長のノーマンが頭を下げる羽目に。
# (笑)
# 社会派に転進した筈の監督達。……でも、結局以前と同じ様な作品を撮ってま
# した。
# エーデルの元彼氏、サーシャ。別の女を引っかけようとしているようです。
# クレーターで行われたタンデムミラーエンジンの慰霊祭では、サリバンさんが
# 元旦那の墓参りに。印の結び方が忍者しているのか。ギャグキャラなのに、何
# て悲惨な末路……。そして一人だけ生き残った太郎坊はバイト中でした。
# エルタニカでは、あの宇宙服を地上で運んでいるテマラさん達が。どうやら、
# 研究は諦めていなさそうです。
# そして早っ! コリンとリュシーはもう結婚しちゃうようで。見事に玉の輿
# (?)に。
# 総務課のエーデル。契約社員時代と違って楽しそうに仕事をしているみたいで。
# デブリ課に新人が一挙6人! どうやら「半課」から卒業出来たみたいです。
# 有名人を輩出したので、当然ですか。そして、課長補佐のかつらが取れました。
# (笑)
# 木星往還船の出航のニュースを観ていたのは、宇宙葬された人の奥さんでした
# か。
# ケネディ宇宙センターではフィーの息子、アルが。そして同所には、シアと両
# 親がホットドッグ屋さんをやってました。どうやら、安住の地を得られたみた
# いで。
# 全世界生中継のフォン・ブラウン号出航の式典に…。ゴロー機関長はハチマキ
# に何してるんですか!
# その時点で既にタナベが妊娠していたのにはちょっと吃驚。原作ではデブリ屋
# を続けていたりしたので。
●シリーズを通して
本作は丁寧な作画、演出はもちろんのこと、シリーズ構成に隙や無駄が異常な
までに少ない作品であったことが印象に残ってます。些細な登場人物やエピソー
ドも後で出て来ることが多かったので、後半になると「このエピソードは後でど
う生かされるのだろう」と穿った物の見方をするようになってしまいましたが。
^^;;;;
こういう隙の少ない作品は逆に楽しんで観られないことが多い私ですが、前半
にギャグ展開が多かった所為か、肩の力を抜いて楽しむことが出来ました。
本作には原作がある訳ですが、原作の内容をかなり忠実に入れた上で、オリジ
ナルの登場人物とストーリーを大量に挿入し、それをうまくマッチさせたのはお
見事。
ハキムやタナベとハチマキの関係に象徴されるように、原作では「?」と思う
ことが多かった展開が、アニメではより自然に見られたのもポイント高いです。
# 原作ではちょいキャラのノノたんの出演がやたらと多かったのもポイント高し。
心残りは原作単行本第4巻の内容がごっそりと無くなってしまっていることな
のですが、後日談としてOVAにしてくれないかなぁ。
スタッフの皆様、半年間の間良質な作品をありがとうございました。
では、また別のシリーズで。
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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp
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