金曜日の出来事である。

県外からお客様が見えられていて、
夜に懇親会があった。

お客様は、50代前半の課長さんと、その部下の
30代後半の女性だった。
女性の方は、かなり太っていた。

懇親会の場所は、寿司屋で、刺身の盛り合わせや、
寿司が皿に盛ってあったのだが、そんなに量を
食べる人がおらず、半分ぐらい残っていた。

ホークスは強いとか、梅雨らしくなったとか、
暑くなったとか、当たり障りのない会話が交わされ、
宴も終盤に差し掛かったとき、事件は起きた。

その女性が突然、血相を変えて、課長さんに
こう言い出した。

「課長!いま何時ですか?!」

「あ!もう20時45分だよ!」

「いけない!急がないと!」

そういったかと思うと、その女性は、目の前の
料理を次々と平らげだしたのだ。
その勢いたるや、テレビの大食い番組にでている
人間に勝るとも劣らない。

あまりの豹変ぶりに私達があっけにとられている間も、
その女性は

「あと何分ですか?」

と、なぜか残り時間を聞く。
なんの残り時間なのかわからないまま時間は過ぎ、21時
になった時その事態は終息した。

お茶をすすりながら満足げな表情を浮かべる女性を、
場に居合わせた一同が、見守っていると、課長さんが説明してくれた。

「あれなんですよ。21時以降は、彼女はダイエットのため
 食事をとらないんですよ。
 それ守りだしてから、かなり体重が落ちたんじゃないのかなあ。」

(あんなん食べて減量できたら奇跡だろ・・)

21時以降に食事をとるとらないの前に、量を制限しないと
どうにもならないだろうと思わずにはいられなかった。

それにしても、あの食べっぷりは見事だった。
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