アフガン東部14州を指揮する米指令官は、タリバンの執拗な攻勢を抑えあぐねているようである。「東部の治安は、過去最悪だ」とも述べている。
 この言葉で、かって共産系政府を支援するためにアフガンに進攻し、10年後に敗退したソ連軍指令官が、「アフガンのゲリラ戦に勝利することは誰がやっても不可能だ」と言った言葉を思い出す。
 タリバンは、沼からいくらでも湧き出す蚊の大群みたいなものなのであろう。その沼を埋めてしまえばよいのだが、それが大難工事なのだ。
 沼とは、パキスタンのイスラム神学校だ。そこで貧困者の子ともが無料で教育を受け、過激なイスラム教教育と兵士の訓練を受けて出てくるのが、タリバンの「蚊」の大群なのだ。
 米軍は、11年7月をめどに撤退する計画だが、米軍が撤退すれば、タリバンと部族民兵入り乱れた戦国アフガンとイスラム過激派テロの巣に逆戻りすることは確実であろう。
 苦しむのはアフガン庶民である。
 村上新八