こん○○わ、PARALLAXです。では早速。
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  │ 【 軽 音 部 、 西 へ  - HTT live @ 7th district - 】 │
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### D-day Zero-Hour ### @ 学舎の園 @ PROGRESS 00:33:55 STAGE:学園正面街路

 が、そのフルハーフのバンに取り付いている者にとっては文字通り永遠の1秒だった。

「姐さん! 涙子姐さん!」
「あぁ! ナンだって! 聞こえない!」
「もう限界です! エンジンが焼けちゃう! モーターのコイルが溶けちまいます!」
「周りの車から冷却材を引っペがしてきて掛けるの! あと30分そこら持たせてみな!」
「そんなぁ!」

  ♪

 ばたばたばた、とスキルアウトのヤンキーが駆け出す。まったく、改造時からコッチ
ろくに使い物になりゃしない、と佐天涙子は仁王立ちしながら溜息をつく。と、そんな
彼女の肩にいきなり手が掛かった。

「きゃあ!」
「あぁ、いや、脅かすつもりはない。どうかね調子は?」

  ♪

 振り向くと白衣姿の長身が立っている。無造作、というよりボサボサの栗色の長髪が
背の半ばにまで伸びている。一昨日この先生から呼び出された後は、このバンの改造と
テストにさんざん付き合わされた御陰で、すっかり見慣れた姿、の筈なんだけど。

「あぁ木山先生。だから脅かさないで下さい」
「いや、本当に脅かすつもりはないのだが。
 それで調子はどうだね?」
「今んとこ完璧です。木山先生の設計通りに作動してますよ。効果も十分でしょ?」
「あぁ、あっちの調子も見てのとおりだ」

  ♪

 そう言いながら、木山春生の視線は大講堂の方へ向いた。全ての外部電源が絶たれて
いる筈の地域に建つその建物からは、煌々と明かりが漏れ、大音量の音楽が鳴り続けて
いた。

「良かった。十分成功ですね、これ」
「あぁ。まぁアイデアの勝利だな。アンチ=キャパシティダウン」

  ♪

 春生の横に並んで得意げにバンを見上げる佐天涙子は、先の戦いでコレにさんざんと
御坂美琴と白井黒子が悩まされヤンキーに半殺しされそうになった所を黒妻に助けられた
などと言う顛末は知る由も無かった。

「それにしても、あーんなにデッカい機械の出力を、たったこれだけで無効化しちゃう
 なんて。なんか信じられません。ズルしてるみたい」
「ズルじゃないさ。もともとキャパシティダウンの効力発動は酷く微妙なものなんだ。
 AIM拡散力場の作動が微妙なのと同じ理屈さ。だからほんのちょっとした干渉で、
 こうして役に立たなくなってしまう。まぁこれにしても、このスピーカー群を頂点と
 する二次曲線回転ホーンの空間から少しでも外れると守ってやれなくなるのだがな」
「あー、だから、道理で」

  ♪

 そう言って涙子は、しげしげと木山春生を見上げた。

「木山先生も能力者でしたっけ?」
「ほんの僅かなレベルだがな。だからキャパシティダウンをもしまともに食らったら
 半日はノックダウンだ」
「ですが、今はキャパシティダウンの真っ只中を、バンから離れても自在に動ける、と」
「そうだ。まぁこれも難しい技術ではないが」 こんこん、と「これ」を叩く
「だからって…」

  ♪

 しげしげと、木山春生の頭部を見やる涙子。

「なにか、おかしいか?」 小首を傾げ…ている(らしい)木山せんせい

  ♪

 長身の白衣の上には、一体何処から調達してきたのやら、古いSF映画に登場していた
鎧兵士のフルカバー仕様なヘルメットが乗っていた。確かストゥーム・トルーパーとか
言ったっけ。中から木山先生のくぐもった声が聞こえる。

「それはないと思いますよ。それは」 はぁ
「そうか。まぁ確かに、この季節でも随分と暑いからなこれは。

 しかたない。脱ぐか」 ばさっ すとっ

  ♪

「だからってところ構わず脱いじゃダメですって!」

 おぉっ! と寄ってきたヤンキーを慣れた調子で蹴飛ばし排除し(こんな調子がバン
建造中に、もう何度も何度も何度も)、涙子はバンを見やり、大講堂を見上げた。

「頑張ンなさいよ初春、頑張って下さい御坂さん…」

  ♪

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今回は、一先ず此処迄。 では。
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