Re: HTT GO WEST! -live@7thDct- #024
こん○○わ、PARALLAXです。では早速。
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│ 【 軽 音 部 、 西 へ - HTT live @ 7th district - 】 │
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### D-day Zero-Hour ### @ 学園都市 @ PROGRESS 00:04:52 STAGE:MAR管制室
「2曲目がスタートしました」
誰かのソロから始まる事が多いHTTのレパートリーだが、これは珍しく全メンバが
同期し演奏に入る。中央(センター)はVo.も務めるリードギターの彼女だが周りのメンバ
も彼女を立て脇(サイド)を固める。これに応えるつもりか、イントロパートが小細工抜き
で丁寧かつしなやかに奏でられてゆく。やがてすぐに始まる歌声。
♪ふでペン FUFU
「これは…、"ふでペン 〜ボールペン〜"、ですね」
漸く落ち着きを取り戻した管制室に、再び局員の報告が響く。どうやらまた反抗勢力に
先手を打たれたらしい。ホットラインの向こうで動揺しまくり怒鳴るだけになった15区
の名ばかりプロデューサーを宥め終わり受話器を置きながら、副長が部下に指示を出す。
♪
「慌てるな。こっちは"GO!GO!MANIAC"を待てば良いんだ。2〜3曲くらい、くれてやれ」
脂汗を浮かばせながら、ほ、とした表情で副長を振り返る局員。無表情でそれに応え、
鷹揚なところを見せてはいるが、副長は内心穏やかでは無かった。逆に言えば"GoGo!
MANIAC"を向こうが流さなければ、こっちには打つ手が無いと言うことなのだから。壁面
のクロックを見上げる。マスメディア各局に密約確約させたタイムリミットまでは、残り
約1時間。予定通りなら十分すぎる筈だが…
♪
「それより今流れているストリーミング元の探索はどうなっている?」
「進行中です! が…おかしい…こんな筈は…」
「…どうした?」
「移動してるんです!」
「おかしい事はないだろう。自分たちの居場所を特定されない為に、ゲリラは常に移動し
続けるものだ。慌てずに移動街区と対象の速度を割り出せ。非常線を敷いて押さえる」
「いえ、ストリーミングの音源は…5箇所が同時に個別に移動しているんです!」
「な! …粒子化分散配信か!?」
♪
配信サーバーを分け粒子化した個別のパケットを同時ストリーミングしクライアント側
で組み立てさせる非同期/同期型配信は、学園都市ではいざ知らず都市外では漸く実用化
の目処がたった程度の技術。衛星全機をハックし音源を配信させ遮断キーまで克服させた
相手の技術力なら実用化していても不思議はない。しかし、ならば手はある。
「衛星を除いた全都市監視リソースを、その5台に振り向けろ。最後まで追跡を怠るな。
それとクライアント側のルーターに干渉しろ。パケロスを既定値以上にして自動停止
させるんだ」
「違います粒子化分散じゃありません!」
「ならば何だ!?」
♪
5台の移動源は直ぐに学園都市の監視システムに引っ掛かった。巧みにスキルアウトの
地域を抜けながら移動しているために連続追跡はどのトレーラーに付いても出来ないが、
それでもちらりちらりと監視システムのカメラに引っかかる。巫山戯た事に、どのトレー
ラーにもHTTのメンバの顔とロゴがでかでかとプリントされていた。映像を見て怒り心
頭に発し達しそうになっている副長へ、また刺激的な報告がなされる。
「学園都市全体に散らばった5箇所の音源ストリーミングからは、
バラバラの音楽が流れているんです!」
「バカな!」
粒子化分散配信ならばパケットにはクライアント側に組み立てさせるためのタグ情報が
付いている。ならば妨害工作は容易で、タグ情報部分を狙い撃ちし壊せば良い。だが。
♪
「信じられません…5箇所のストリーミング音源からは、確かにバラバラの音楽が、
いや音楽とも呼べません、各パートの演奏が流されているんです」
♪
局員がパネルを操作し、各ストリーミングを個別に再生させる。確かに1つ1つの音源
からは5つのパートの演奏が、個別に聞こえてくる。
♪
「それが、同時に再生させると、」
♪
見事に同期した演奏、"ふでペン 〜ボールペン〜"がスピーカーから流れ始める。
「バカな…ストリーミングは基本的に非同期だ。例え複数のサーバー側から強制的に
同期したストリームを流しても、クライアントがそれを同期して流す組み立てをすると
は限らない。同期用のタグ情報だって無いんだろう? 不可能だ」
「その筈だ。だがこれを聞け!」
♪
「これが同期していない演奏だと!?」
「バカな…」
♪
「信じられないが、奴ら、自分たちの演奏を聞きながら、学園都市全体からリアルタイム
にそれをフィードバックさせて、シンクロさせて演奏しているとしか思えない…」
「学園都市中に広がった、移動する躯体の中で、ばらばらに演奏しながら、か? まさか」
「携帯の通信は今でもキャスト制限中だ! もしこんな内容が流れていたら学園都市
エシュロンが直ちに拾い上げて警備局が急行している! そしてそんな情報は今でも
無い!」
確かに片隅のコンソールにあるエシュロン端末は、今でも平穏なままだ。
♪
“ふでペン 〜ボールペン〜 でした! 聞いてくれてみんな、ありがとー!”
また、最後の唯のMCに到るまできっちり流され、MARは手を拱くしか無かった。
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今回は、一先ず此処迄。 では。
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