こん○○わ、PARALLAXです。では早速。
--------------------------------------------------------------------------------

  ┌────────────────────────────────┐
  │ 【 軽 音 部 、 西 へ  - HTT live @ 7th district - 】 │
  └────────────────────────────────┘

────────────────────────────────────────
### D-day -1day 08:12AM ### @ 学園都市 第3学区 収容施設 @

紬 「はい、そう言いました。手近のコンビニに行かせて下さい。」
局員「いえ、それは許可されていません。必要なものはコチラで揃えます。」
和 「女の子が欲しがっている物を、男に買いに行かせる気ですか?」
局員「何と言われようと、規則は規則です。テロ対策に御協力下さい。」
純 「これもテロ対策の一環、ですか?」

  ひらひら、と純が指先のチップを示す。短いアンテナコードが着いたそれは、誰が
 どう見ても怪しげ100%の盗聴器だった。同じ様な代物が、豪奢なリビングのテー
 ブルの上にてんこ盛り。いや、もう豪奢とも言えない。つい数時間前までは、彼女たち
 が室内に入った頃には確かに世界の如何なるセレブも満足するほどに飾り立てられてい
 た室内は、今はそこら中がひっくり返され剥がされ捲られ壊され、惨憺たる有様。特に
 部屋隅のフォーン・ブースが酷かった。滅茶滅茶になったKORGが突っ込まれ今でも
 火花が散っている正面モニターを含め、原型を留めているパーツなど一つも無い。

和 「これで私たちの何を聞いていたんですか?」
純 「・・・いやらしー。」 じと、と睨む。

  ぐ、と局員が詰まる。要人警護のプライベート順守教則に従ったとは言え、夜間の
 モニタリングを切ったのは間違いだったかもしれない。だが確かに昨晩0時の彼女らは
 大人しくベッドでぐっすり寝入っていた。一体、いつの間に。

紬 「お部屋をこんなにしたのは謝罪します。でも見つけたくない物が見つかりました」
和 「まさかこんなに見つかるとは、思っていませんでしたが。」

  無表情の局員でも、これが私のドライバー1本で、たった3時間で行われた行為だと
 知ったら流石に驚愕し表情を崩すだろうか?盗聴器の在処をピタリピタリと流石に一発
 で当てていったのは和さんだったけど。「漫画で読んだ事あるけど、本当にマニュアル
 通りね」どんな漫画?と思わず聞いてしまったっけ。思い出すと頬が緩んでしまいそう
 な純だったが、さてここは自重して。でも昨日は凄かった。ケースから出したKORG
 を触っただけでコレが自分の愛機じゃない事に気づいた紬さんも凄いし、それでパニッ
 クになりかけた私たちを一瞬で沈めた和さんも凄い。和さんは落ち着いて私たちをバス
 ルームへ自然に引っ張り込み、そこであの子から「計画」の話を聞いたんだった。即座
 に和さんがこの計画を立て、ぐっすり寝込んだと思わせておいて、フォーン・ブースか
 らのステルスモニタ音が切れたその瞬間から一斉にバラシが始まったんだ。あんなかす
 かなハムノイズを、よく紬さんは聞き取れるものだと思う。尤も、その静まったフォー
 ン・ブースへ真っ先に向かい、思いっきり15kgもあるKORGを「えーい!」と
 突っ込んだのも、紬さんだったけど。確か、思いっきり、笑顔のイイ顔で。

紬 「こんなお部屋じゃ着替えもできません。」
和 「部屋を替えて下さい。」

  こんな部屋、にしたのは当の本人だろうが。そう苛立つ局員だったが、それが表情に
 出るほど無能ではない。変わらず淡々と言葉を続ける。

局員「新しい部屋はすぐに用意します。それまでどうか、御辛抱を。」
純 「出来ません。これ、トイレに仕掛けられていた物なんですよ?」

  ひらひらっ、とチップを示す。そんなバカな。プライベート教則ではデリケートな
 エリアを外す様に示してあるし、現にバスルームとトイレタリーには仕掛けていない。
 が、それを言えば「盗聴器を仕掛けたのはコチラ側」と白状するようなもの。そんな事
 は到底言えず、局員は脂汗を書きながら女子高生に詰め寄られていった。

紬 「お部屋を替えて頂く前に、コンビニに行かせて下さい。」

  それにしても、と思う。制服である黒スーツの背筋が、じっとりと冷や汗で湿る。

  柔和な顔立ちで詰め寄る彼女から、到底抗えない程のプレッシャーを感じるのは何故
 だろう? それにこの眉毛の形。確か以前、何処かで見たような・・・

--------------------------------------------------------------------------------
今回は、一先ず此処迄。 では。
================================================================================
  P  A  R  A  L  L  A  X     [   parallax@mbr.nifty.com   ]