こん○○わ、PARALLAXです。では早速。
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  │ 【 軽 音 部 、 西 へ  - HTT live @ 7th district - 】 │
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### D-day -2day 00:05PM ### @ 第11学区 学園都市入管ゲート @

  そんなこんなで、降りる時も当然大騒ぎの女子高生ズだったが、今は神妙な顔で入管
 ゲートの前に並んでいる。手荷物程度は携えているが、楽器などの大物はまだリムジン
 の中。とは言えそれが不安・不満そうなのは唯だけで、後のメンバは物珍しそうに周囲
 の超未来的な設えをキョロキョロと眺めていた。

唯 「おなかすいた…」
澪 「そっちか!あんだけ車の中で食べてたのにか!」
憂 「それにしても、日本の都市に入るのに、入管ゲートって…」
純 「日本じゃないのかなココは?」
唯 「どーしよ律っちゃん!あたしパスポート持ってこなかった!」
律 「私もさ唯!もちろん澪もな!だからあたしら、」
梓 「これから違法入国ですね。」

 ひぃぃぃぃぃ ガタガタガタガタ

紬 「いじめちゃダメでしょ。大丈夫よ澪さん、立って立って、ほら」
和 「そうそう大丈夫よ秋山さん。単なるチェックだけみたい。」
澪 「…ほんと?」ぐしぐし

 もえもえキュンッ

純 「え?何、今の?」
梓 「気にしないで。軽音部恒例の効果音みたいなものだから。」

さわ「はい整列。これから学園都市に入りまーす。
   まずはあのゲートを潜って、向こうで担当の人のボディチェックを受けます。」
律 「先生、楽器とか荷物は?」
さわ「あっちの、大型のゲートから別のチェックを受けて搬入されるって。
   別にいいんじゃない?今晩のホテルには届くって事だから。」
唯 「えー!それまでギー太と、はなればなれ?」
さわ「我慢してね。」
唯 「やだ!ギー太!ギー太ぁ!!」
さわ「はぁ。憂さん、お願い。」
憂 「お姉ちゃん、お姉ちゃん!めっ!」
唯 「あぅー、憂ぃー」

  「なかなか賑やかな生徒さん達ですね」

さわ「はい! あ、申し訳ありません。その、あの、」
  「いえ大変に結構です。エイチティティ、放課後ティータイム、の皆さんですね?」
律 「せんせー、このヒトは?」
さわ「こらっ!失礼でしょ。こちらは今回、私たちをこの学園都市で案内してくださる」

副長「MAR、先進状況救助隊で副長をしている者です。宜しく。」

 「「「「「宜しくお願いしまーす」」」」」

副長「ゲートは十分な数が稼働しています。お一人づつ、別々の入口からどうぞ」
律 「なんで、きゅーじょたい、が公演?」
唯 「さぁ?」

 ぞろぞろぞろ ばらばらばら

  ゲートとは言ったが実際には入ると全くの個室だった。ここでも変わらず超未来的な
 設えの中、全身を可視光レーザーがくまなくスキャンするのが判る。正直、気味悪い。

和 「何だか凄いゲートね」
律 「成田なみ?」
和 「ソレより遥かに凄いよ。だって私たち、こうやって普通に喋れてる。」
唯 「ほんとだ!なんでだろ?」
憂 「お姉ちゃん…」
梓 「まぁ『都市の外と内では数十年以上の技術格差が存在する』ですしね」
澪 「それって、るるぶ学園都市?」
梓 「違います。学園都市ウィキペディア。
   右手を胸くらいの高さで、ちょっと振って下さい。」
律 「こう?わ!空中にスクリーンとキーボードががが!」
唯 「へーすごいすごーい。マンガ出せるかな?」
和 「あら便利。普通に検索出来るのね。あ、でもこれって…」
憂 「あれ?おかしい、これって」

 ぴんぽーん ぷしゅー

  ここでも可愛らしいチャイムと共に、明らかに油圧密閉されていたような音でゲート
 の出口側が開く。

澪 「あ、終わった。のかな?」
律 「わぁスクリーンも消えちゃったぞ!」
副長「皆様、お疲れ様でした。ゲートから出て頂いて結構です。」
さわ「はいみんな出て、集合!」

  ほんの数分だけだったが、無機質で超未来的な箱の中でじろじろセンシングされた
 せいで、めっきり旅疲れが出た気がする。そんな思いをたぶん誰もが抱いていたのだ
 ろう、全員の動きが到着時と比べてやや鈍い。そんな具合でゲート出口からゾロゾロ
 と皆が出始めた、その時。

 バァン! 衝撃音とともに何も見えなくなる。霧?真っ白のガスが室内を隈なく覆う。

 「きゃ!」「わ!」「やだ何!」「真っ白!」「嘘!」「何も見えない!」

副長「落ち着いて下さい!どうやらテロの襲撃です!」

 「えぇ!」「テロ!」

副長「最寄の係員が誘導します!指示に従って下さい!」

澪 「やだやだやだこわいこわいこわいやだやだやだ!」
律 「いた!澪!」ぎゅ、と所を構わず掴む。幸い、手だった。
澪 「律!」うぇーん  見えなくても判る。澪は泣き顔。
律 「おーよしよしよし。だいじょぶだいじょぶ大丈夫。」 なでなで
さわ「田井中さん!秋山さん!大丈夫?しっかりつかまって!」ぎゅぎゅ、と掴む。
律澪「って先生、痛い…」 二人は全身で抱きしめられていた。

憂 「お姉ちゃん!お姉ちゃーん!お姉ちゃんってばぁ!」
唯 「憂!だいじょぶ大丈夫大丈夫、お姉ちゃんはここだよ」ぎゅ
憂 「お姉ちゃん…」ぽ 白色ガスを通してでも、頬の赤らみが見えるよう
梓 「誰かぁ!誰かいないのぉ!?」
唯 「あ!あずにゃん!!こっち、こっち!」
梓 「憂ちゃん!唯先輩!わぁぁあああ」ぐしっぐしっ 梓もやっぱり泣き顔

和 けほっけほっ「一体、何なの?この学園都市って」
紬 「そこにいるの、和さん?」
和 「琴吹さん?そう、こっちこっち」
紬 「一体、何事でしょう?」
和 「さぁ?でも迂闊に動かない方が良いでしょうね。」
紬 「えぇ。」
純 「あの、そこに誰か?」
和 「その声、鈴木さん?」
紬 「純さん?こっち、こっち!」

局員「大丈夫ですか、皆さん?こちらへ、急いで。」
  「はい、私たちは。でも、他のみんなは?」
局員「そちらについても我々の仲間が個別に誘導しています。さぁ急いで!」

  人間、余程の場数か訓練を積んでいない限り、疲れている場で一瞬気が緩んだ際に
 パニックを起こす事態が持ち上がりでもしたら、流石に平静ではいられない。だから
 のちに考えれば「おかしいな?」とあやしめる事であっても、その時には簡単に誘導
 に乗せられてしまう。プロからすれば、まるで赤子の手を撚るが如くに。

 今の軽音部の面々は、まさに赤子同然だった。

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今回は、一先ず此処迄。 では。
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