オバマ大統領は、5日、「NPT(核不拡散条約)遵守国に対しては、核兵器攻撃はしない」と宣言した。
 これは、核兵器を保有し、あるいは保有を目指している北朝鮮やイランに対する牽制の狙いがあるものとされている。
 しかし、このアメリカの「不使用宣言」は、攻撃抑止力として核兵器を保有するという考え方に「待った」をかける働きはないと思う。
 先にアメリカが宣言した「核の先制攻撃はしない」という宣言と、今回の宣言を合わせると、「攻撃抑止のための核兵器の保有」の働きは、従来と何ら変わらないからである。
 これでは、この宣言は、「核なき世界」というオバマの悲願を一歩進めたことにはなるが、アメリカの意図する核拡散もテロに核兵器が渡る可能性は何ら変わらないのである。
 村上新八
 村上新八