三つ目の誤算は、亀井静香の暴走だ。
 参院での過半数確保のための国民新党、社民党との連立であるが、郵政民営化憎しの亀井が、本来は総務省担当の日本郵政問題に係わりたくて、郵政担当相の兼務を要求して、鳩山がこれを呑んだのが誤算の始まりであった。
 暴走癖のある亀井は、鳩山から「郵政は任す」との言質をとるや、直に西川を首にし、その後のトップ陣に官僚OBを据え、民主党の「天下り禁止」の公約違反とを強行し、鳩山の主導力に疑念符をつけることになったのだ。
 それに追い討ちを掛けるように、郵貯と郵便保険の限度額を大幅に引き上げ、閣内不一致や鳩山の主導力疑念を更に高めてくれたのである。
 先日の党首討論の際、「亀井総理大臣だ」との野次を受けて、亀井は満面に笑みを浮かべていたが、「してやったり」の思いがあったのであろう。 
 「噛み付き亀」こと亀井静香を閣内に引き入れたことの、鳩山の大誤算であった。
 村上新八