鳩山の祖父、一郎は、その著書で「廣島、長崎への原爆投下は、国際法違反の残虐行為だ」と書いた。その通りであるが、そのためにGHQから「公職追放」の憂き目に遭い、首相になるのが5年は遅れた。
 首相就任後は、米ソの冷戦たけなわなの最中に訪ソし、日ソの国交を開いた。これは、アメリカの仕打ちに対する報復であったのかも知れない。
 その孫、由紀夫は、祖父一郎のDNAを強くうけている男のようでである。
 祖父の唱えた「友愛」を復活させたのもその一つである。そのDNAには、アメリカに対する憎しみも含まれているのではないか。
 普天間問題を5月まで引き伸ばしてみたところで、アメリカの「14年掛けて検討した辺野古移転案は、考えうる最善案であり、日米政府の合意したものであるから、これを変更することは出来ない」とする主張に変りはあるまい。
 そのことは、鳩山もよく分かっているのだ。
 それにも拘わらず、5月に先延ばしは、アメリカがしびれを切らして「それなら日本から全面的に撤退し、日米安保も破棄しよう、と言い出すのを待っているのかも知れない。
 こうして、戦後60有余年に亙る米軍の占領状態から解放されるのは結構なことだが、貿易面などのマイナスがない限りのことである。
 村上新八