小沢氏、民主党代表の辞任表明 鳩山幹事長も辞意
2009年5月11日21時23分
http://www.asahi.com/politics/update/0511/TKY200905110235.html

 民主党の小沢代表は11日夕、党本部で記者会見し、代表辞任の意向を表明した。公設第1秘書が西松建設からの違法献金事件で3月に起訴されて以来、辞任論が収まらず、次の総選挙で政権交代をめざすには挙党態勢を立て直す必要があると判断した。後任選びは、代表経験者の岡田克也副代表を軸に展開しそうだ。
 民主党は12日の党役員会と常任幹事会で辞任を了承し、週内にも代表選の段取りを固める。13日に予定されていた麻生首相との党首討論は見送られる見通し。昨秋の麻生政権発足から続いた「麻生首相VS.小沢代表」の均衡が崩れたことで、与野党双方の総選挙戦略に影響を与えそうだ。
 小沢氏は11日の会見で、辞任理由について、「挙党一致態勢をより強固にするため」と強調。辞任後の行動については「私も挙党態勢の一員として最前線で戦い続けたい」と述べ、政権交代に向けて新体制に協力する姿勢を強調した。ただ、西松建設事件に関する詳しい説明は今回もなかった。
 総選挙を取り仕切る本部長などの役職で起用する案もとりざたされている。鳩山由紀夫幹事長も11日夜、代表選後に幹事長を辞任する意向を明らかにした。
 3月3日に公設第1秘書が逮捕されて以降、小沢氏は一貫して検察批判を展開。自ら企業・団体献金の全面禁止を打ち出すなどダメージ回復を図ってきた。党内からの辞任論に対しては、政権交代への意欲を強調して「総選挙で勝利できるかどうかを最終的な判断基準とする」と説明。自発的辞任に含みも残していた。
 小沢氏は秘書が起訴された3月24日に続投を表明。しかし、その後、党内の辞任圧力はむしろ強まった。さらに新体制で立て直す準備期間を確保する必要から、小沢氏と距離を置く前原誠司副代表や仙谷由人元政調会長らが早期の決断を要求。結局、収まらない辞任論に抗しきれなかった。
 小沢氏は06年4月、偽メール問題をきっかけとした前原誠司氏辞任に伴う代表選で菅直人氏を破り、代表に就任。直後の衆院千葉7区補選で劣勢を覆して勝利し、党勢を回復させた。07年参院選で与野党逆転を実現させ、昨秋の代表選で無投票3選。選挙区調整などを一手に担い、「次の首相」候補として総選挙を戦う予定だった。
 党執行部は、週内とみられる補正予算案の衆院通過後、代表選を速やかに行う方針。鳩山氏は11日夜、記者団に「できるだけスムーズな形で選挙を堂々と行い、国民に民主党の新しい姿をみていただきたい」と語った。
 代表選には、政治改革推進本部長として世襲制限や企業・団体献金の全面禁止をとりまとめた岡田克也副代表をはじめ、鳩山由紀夫幹事長、菅直人代表代行ら代表経験者の再登板を求める声もある。新体制発足後、ただちにマニフェスト(政権公約)をはじめ、政権戦略の立て直しを迫られることになる。
 一方、麻生首相は11日、「解散総選挙は補正予算が通ることが大前提。小沢氏の辞任と直接関係しない」と記者団に語り、補正予算成立を最優先する考えを強調した。与党も首相の意向を受け、補正や重要法案を早期に成立させて衆院解散の環境を整える戦略に変わりはない。13日に補正予算案と関連法案を衆院通過させ、6月3日までの今国会を7月中・下旬まで延長してでも成立させる方針だ。
 ただ、与党内には民主党の新代表に対する世論の反応を見極めようという声も広がっている。解散・総選挙は9月10日の任期満了に近づくとの見方も出始めた。