パキスタン西北の部族エリアに巣くっているタリバンが次第に東進して首都イスラマバ−ドに迫って来たため、危機感を強めたアメリカが、パキスタン政府を叱咤激励して、パキスタン軍が重い腰を上げてタリバン征伐を始めた、という感じである。
 が、作戦上は、タリバンが上のように思う。彼等は北西部の在る州では、政府との間に和平協定を結んでおいて、イスラム教の布教を口実に東側の州に浸透して、首都に近づこうとしてみたり、その一方で西南部の州では政府軍を攻撃するなど、ゲリラ的撹乱戦法でパキスタン軍を振り回している感がある。
 タリバンは、長い部族間戦闘やソ連軍との戦闘で、実戦経験が豊かだから、パキスタン軍よりも一枚も二枚も上なのであろう。
 こういう状況では、米軍とパキスタン軍がいかに協力するかが、タリバン征伐の正否のカギになる。
 とにかく、パキスタンの核をタリバンに奪われたら世界は本当の危機に陥ることになるのだから。
 村上新八