小児科医がその過酷な勤務が原因で、身心ともの疲労困憊のあげく、うつ病になり、自殺した、という事案で、高裁は、超過勤務と自殺との因果関係は認めたが、医師が勤務していた病院の責任については問わなかった。
 医師の遺族は、この判決を不服としているから、上告審までもちあげられるのであろうが、この高裁判決には疑問が残る。
 病院は、医師の健康管理をしなくてもよい、というように聞こえるからである。
 医師といえども人間だから、病気にはなる。また、「医者の不養生」という言葉があるが、、医師不足の現状では、無理に無理を重ねて頑張り過ぎてしまうこともあろう。
  この件はそんな事例であると思う。しかし、病院は、そのような状態に対して知らぬ顔でよいはずはない。
 過酷な勤務であるかどうかは、当の医師が申し出なくても、勤務記録を見ればすぐ分かるはずではないか。
 その場合には、病院側は、その責任で、何らかの手を打たねばならないと思う。
 村上新八