パキスタンのムシャラク大統領が最後の頼みである、軍と米国から見放され、弾劾決議を避けるために、遂に辞任に追い込まれた。
 アルカイダの兵力補給機能だとして、先のイスラマバ−ド神学校への武力排除以来、反米感情が強く、イスラム原理主義派の無償教育や福祉を好感する大衆の反感が強くなり、総選挙でも敗北したムシャラフは、孤立し、苦境に立たされていたのだ。
 アフガンとの国境地帯を拠点とするアルカイダ、タリバンのテロ勢力制圧に力を貸すムシャラフを盟友としてきたアメリカも、国民の反ムシャラフ感情に押されて、新たな道を探らざるを得ないと判断したのであろう。
 一方、軍は、国民の支持が離れてしまったムシャラフに対しては、中立という立場を表明せざるを得なかったのであろう。
 こうして、ムシャラフは辞任に追いやられたが、今後の最大の問題は、テロと核の問題である。
 テロに対する、アフガン駐留軍とパキスタン軍との共同作戦は、ムシャラク時代ほどは緊密にはゆかないであろうから、彼等の勢力は加速する可能性があるのだ。
 その意味で、ポストムシャラフ政権に過激派の影響力が強まり、アルカイダやタリバンが核兵器に手を伸ばすことがないようにすることが最大の課題だ。
 村上新八