貧困国や先進国の貧困層を直撃している、このところの食糧の高騰は、世界の穀倉であるオ−ストラリアの異常な旱魃やバイオ燃料への穀物の転用、ガソリンの高騰、高騰ねらいのファンドの投機などが原因と言われているが、異常旱魃問題を含めてすべて人災だ。
 それに加えて、価格高騰を煽る人為操作までが行なわれているという。
 世界の穀倉であるウクライナの小麦輸出規制、ブラジルでの小麦輸出手続きの中止、穀物輸出国、ロシアでの穀物輸出への課税などである。
 国内の需要がまかない切れないから、という理由ならもっともだが、そうではないのだ。
 ウクライナでは、収穫した小麦が低温倉庫に入りきれず、大量に野積みにされているので虫が湧いて、腐敗し始め、何十万トンもの小麦が黒海に投棄されたり、畑に稔ったままの小麦が収穫されずに放置されているため、芽が出てきて、食糧にはならないなどの問題が起きているという。
 つずれも、品薄にして価格高騰を煽るのが狙いなのであろう。
 貧困国の子どもが何百万人も飢え死にしようとしているときに、これを千載一遇のチャンスとばかりに、儲けようとする国ぐるみの悪どさは、厳しく非難されねばなるまい。
 これに対して「世界食糧サミット」は明確な方針を出せなかった。
 いまこそ、国連がこの不条理の是正に乗りすべきときではないか。ことは世界的な規模での人道問題なのだから。
 村上新八