プ−チンロシアにとって頭が痛いことは、旧ソ連領内であった独立国の欧米傾斜の傾向である。特にウクライナ、グルジアがNATOに加盟する事態だ。
 ロシアが関心をもつのは、これを阻止して、CIS(独立国共同体)を旧ソ連諸国としての結束を固め直すことである。
 そのためのプ−チンの作戦は、豊富なガス資源を武器にして、離反国を兵糧(エネルギ−)攻めにすることであった。メドベ−ジェフはこれを踏襲して、早速ウクライナに対するガス供給削減措置をとった。
 馬鹿げた作戦である。その前に、なんで反ロシアになるのかを考えてみることだ。それは強権的なプ−チン戦略に民衆が反発しているからだ。
 それを反省し、正すことをせずに兵糧攻めにすることは、却って民衆の反ロシア感情に油を注ぐことになるのである。
 力による弾圧のスタ−リン時代にもどるつもりならいざ知らず、それが出来ない今日では愚策の極みといわねばなるまい。
 同じようなことはロシア国内でも行なわれているが、それでも、ソ連民衆がプ−チンについてゆくのは、多少なりとも石油利益のおこぼれに預かっているからである。しかし、反ロシア国にはそれもないのだから、強権的な反プ−チンへの抵抗の動きは当然であることを知るべきである。
 村上新八