台湾の陳水扁総統が次期総統選の際に「台湾の国連参加の可否を問う住民投票の実施を計画しているが、これに対してライス米国務長官が米中台の関係を危うくするものだ」として牽制を掛けている。
 台湾生まれ、台湾育ちの生粋の台湾人、即ち「本省人」と、彼らが「大陸」と呼ぶ、中共軍に追われて台湾入りした蒋介石とともに台湾に移り住んだ中国人との間には、1947年、国民党の失政を機に蜂起し、弾圧された2.28事件の怨みもあって、越え難い溝がある。
 本省人を代表する党が、連続して李登輝、陳水扁を総統として当選させた民進党である。
 現在の台湾は民主主義体制で中国とは異なるし、民進党としては台湾はあくまで本省人の統治する台湾にしておきたい気持は分かる。
 一方、米国は、台湾も台湾海峡も平穏にしておきたいし、世界の大国中国とは事を構えたくないのだ。だから米国は結果が分かっている「国連加盟可否」の住民投票などはやられたら迷惑なのだ。
 陳水扁としては、住民投票で「可」と出ても国連は参加はできないことも分かりながら、台湾人意識を盛り上げて、大陸系の国民党が総統選挙に勝たないようにするための作戦なのだ。
 つまり、米台とも、腹の中は承知の上の芝居をしているに過ぎないのである。
 村上新八