プ−チンは運の強い男だ。世界第二位の石油資源を背景に、その国有化と、開発途上国の経済成長による石油需要増のお陰でのだぶだぶの石油利益で、それまで滞っていた貧困層への少ない年金支給も再開させることができたし、中間所得層の増加で、圧倒的な支持を手にすることが出来たのだ。
 その人気に乗じて、州知事を任命制にして選挙の集票マシンに組み込むという非民主的な選挙圧勝体制を敷くという暴挙もやってのけた。
 根がKGBのスパイだけに猜疑心はスタ−リン並みで、KGBの後身である連邦保安局(FSB)を牛耳って、内閣の中枢部にFSB関係者を配置して、これに権力を持たせたり、徹底的に野党を弾圧し、その上で、マスコミの政府御用化、反プ−チンジャ−ナリストの殺害など、反民主的行為は枚挙に暇がないくらいである。
 民主主義の根幹は言論の自由にあるのだが、これをまず封殺し、自分を代表権のある首相に据えさせることを条件に、FSBを抑える能力のない自分の子分を後継大統領に指名するというやり口で院政体制を万全化しようとしているのだ。
 いずれは、憲法を改正して終身大統領にでもなって、石油を背景にアメリカに並び得る大国化を目指すのだろう。
 村上新八