盧大統領が南北の境界線を徒歩で通過するというパフォ−マンスで訪朝した。それを迎える金正日の表情は笑みを浮かべようとはしているようだが、硬い。前回の金大中前大統領訪朝のときとは大違いである。
 これは、核保有国としての威厳を示すだけでなく、韓国大統領選を迎えて劣勢挽回を図ろうとの意図が見え見えの訪朝だと見ての金正日風の対応であろう。
 このところ、6者協議も北朝鮮ペ−スで、米国は譲歩を重ねてくるし、日本の高村外相まで、日朝国交正常化について、具体的内容にまで及ぶ交渉を考えるなどの譲歩の気配を示してきていることを金正日は感じとっているのだ。
 内心は「しめしめ」とほくそ笑んでいるのだが、それを顔には出さず、硬い表情を崩さないで威圧感を与えておこう、というのが金正日の本音なのだろう。
 日本までもが、最低指導者、金正日ペ−スに乗ることはないのだ。気に入らねば6者協議から脱退するくらいの姿勢を示すべきである。それが外交勝負の呼吸というものではないか。
 村上新八