新任の枡添厚労相は、「年金横領犯は許せない。一人残らず探しだして、牢にぶち込むべきだ。社保庁は腐り切っている」といきまいている。その憤りは国民の憤りでもある。
 しかし、保険料をねこばばしたのは社保庁職員ばかりではない。保険料収受を委託された市町村の担当者もやっているのである。
 ということは、法律そのものが、ねこばばしても大丈夫な法律になっていたのである。官僚どもはそれを見抜いて、悪事を働いた、というわけなのだ。
 支払う期間は何十年と長く、保険金の支払いは何十年先、その間、定期的に支払額を被保険者に通知したり、確認したりする仕組みにもなっていない。領収書が唯一の証拠だが、何十年もそれを保管している人はまれであろうから、証拠はないし、、万一ばれたとしても自分は既に退職して役所にはいないのだ。
 これでは、「ねこばはしても大丈夫ですよ」と言わんばかりの仕組みなのである。これに気付いて味をしめた奴のなかには同僚に犯行を勧めた奴も出たであろう。こうして「ねこばば」が拡散していったものであろう。
 こういう仕組みになっていれば、ねこばはしない奴こそ変わり者だとも言えるのだ。 

 ねこばば額3億7千万円は氷山の一角に過ぎない。実際はその何十倍にのぼるのだろうが、その責任の半分は、こういう「ねこばは推奨法」を造った官僚にあるのだ。
 政府はどう責任をとるつもりなのか。
 村上新八