インドを訪問中の安倍は東京裁判で唯一、A級戦犯の無罪を主張したインドのパル判事の長男に面会した。
 パル判事のA級戦犯無罪の理由は、戦争が終わってから造った法で裁くのは「罪刑法定主義」に抵触するから、というものであって、戦争責任について無罪としたものではなかった。
 しかし、A級戦犯岸信介を祖父に持つ安倍は、謝意を表しに、わざわざパル氏を尋ねて、「パル判事のあの勇気ある行動は今でも多くの日本人から尊敬されている」などとおべんちゃらを述べている。パン判事のことなど記憶している日本人は殆どいない、というのが実態なのにだ。
 しかし、靖国神社だけには、パル判事の「顕彰碑」があるのだ、これは「A級戦犯合祀」の正当性を支えるために建立されたものであろう。
 この安倍の行為をマスコミは、「安倍カラ−」の復活だというが、靖国参拝の代わりに岸信介に味方してくれたパル判事の息子を訪ねるという、持って回った行動は、なんと古色蒼然、戦前回帰、アナクロニズムの、かび臭い悪臭ぷんぷんではある。これが真の安倍カラ−なのだろう。
 村上新八