ご回答大変ありがとうございます。

>> 定義は 『線形空間V(≠{0})をS(+)S^⊥(但し,S≠{0}且つS^⊥≠{0})と直和分解した時に
> ま, S = {0} や S^⊥ = {0} の場合も含めて良いと思います.

そうですか。了解いたしました。

>> 任意のv∈Vは, v=s(+)s' (但し,s∈S,s'∈S^⊥)と一意的に表される。
>> この時,Ev:=sと定義し,このEをS^⊥に沿ったSへの正射影という』 になるかと思います。
> その定義では orthogonal projection E の
> 線形変換としての特徴付けは直ぐには分かりませんが,

つまり,Eが線形写像かどうかは直ぐには分からないという事でしょうか?
v=s+s', w=t+t' (但し,s,t∈S,s',t'∈S^⊥)と表せたとすると
v+w=(s+t)+(s'+t')とこれも一意的に表されるので(∵直和の定義)
Ev+Ew=s+s'、E(v+w)=s+s'となり,
同様にE(av)=a(Ev) (但し,aはスカラー)も成り立ちますよね。

> まあ良いでしょう.

了解いたしました。

>>>  V は実ベクトル空間で, α_i は全て実数です.
>> Vは複素ベクトル空間,α_jは複素数 や VはFベクトル空間,
>> α_jはFの元(但し,Fは体)では考えられないのでしょうか?
> 体 F 上のベクトル空間 V と,
> その上の非退化対称双線形形式 ( , ): V×V → F が
> 与えられたとしても,

ええと,非退化対称双線型形式(,)とは
(i) (非退化性) ∀v∈Vに対して,(w,v)=0ならば(V∋)w=0
(ii) (対象性) (v,w)=(w,v)
(iii) 双線形性
が成り立つ写像の事ですね。

> V の部分ベクトル空間 S の
> 直交 S^⊥ は

S^⊥:={v∈V;v⊥S}ですよね。

> S の補空間になるとは限りませんから,

無限次元の線形空間の場合ですかね。
有限次元線形空間では直交補空間は常に存在しますよね。

> 直交射影はうまく定義できません. 色々条件をつけて
> 考えることになります.

Vが有限次元の条件以外にどんな条件が必要でしょうか?

> V を複素ベクトル空間にして, エルミート内積を考えれば,

エルミート内積とは複素数での内積の事ですね。

> self-adjoint operator とか orthogonal projection とか
> が考えられて, 同様の話が出来ますが,
> self-adjoint operator については α_i はやはり実数です.

self-adjointは<f(v),w>=<v,f(w)> (for∀v,w∈V)なる線形写像f:V→Vの事ですね。
この時,f:=Σ_{j=1}^r α_i E_jと表された時,必ずα_iは実数になるのですね。

> self-adjoint operator の代わりに normal operator を
> 考えれば, α_i が複素数の場合も含むことになります.

normal operatorとは可換なadjoint operatorの事ですね。
つまり,ψがfgのadjoint<fg(v),w>=<v,ψ(w)> (for∀v,w∈V)なる線形写像ψ:V→Vならψ=gfの時,
このψをnormal operatorというのですね。
この場合, ψ=Σ_{j=1}^r α_i E_i (但し,α_i∈C)と表されるのですね。

> ま, 実ベクトル空間 V に内積(正定値対称双線形形式)が
> 与えられていて, α_i は実数であるとしましょう.

はい,了解いたしました。非退化性も必要ですよね。

でもどうして正定値の条件が必要なのでしょうか?

>> E_j^2=E_jかと思いますがこれをどのように
>> 使えばいいのか分かりませんでした。
> E^2 = E とは E が射影(projection)であることです.
> 「直交」射影であるにはそれでは足りません.

そうですね。「線形写像Eにおいて
Eが射影 ⇔ E^2=E」
が言えるのですね。

> V の元 v, w に対し,
> Ev は Im E の元, (I-E)w は Ker E の元, ですから,

確かにそうですね。

> E が orthogonal projection (直交射影)であれば,
> (Ev, (I-E)w) = (v, E^*(I-E)w)

有限次元内積空間には任意の線形写像に対して必ずadjoint operatorが一意的に存在するからこう言えますね。

> = ((I-E^*)Ev, w) = 0 です.

これはV=ImE(+)KerE となり,Eが直交なのでKerE=(ImE)^⊥の関係になっているのですね。
したがって, (Ev, (I-E)w)=0だから ((I-E^*)Ev, w)=0 なのですね。

> E^* - E^*E = 0,

任意のv,wに対して, (v, E^*(I-E)w) =0 なので非退化性からE^*(I-E)=0でこのように言えるのですね。

> E - E^*E = 0 より,

これも((I-E^*)Ev, w) = 0 について非退化性から言えますね。

> E^* = E が分かります.
> 結局, E^* = E, E^2 = E となることが,
> E が orhtogonal projection である為の必要十分条件です.

ありがとうございます。大変参考になります。十分性
「E^*=E,E^2=E ⇒ Eは直交射影」は
「E^2=E⇔Eは射影」が分かっているので,「E^*=E,E^2=E⇒Eは直交」を示せばよいですね。
∀v∈Vに対し,Evの補射影はv-Evなので<Ev,v-Ev>=<v,E^*(v-Ev)>(∵adjointの定義)
=<v,E(v-Ev)> (∵仮定"E=E^*") =<v,Ev-E^2v>=<v,Ev-Ev> (∵仮定"E^2=E")
=<v,0>=0
(∵∀v∈Vに対し,<v,0>=<v,0-0>=<v,0>-<v,0>(∵内積の定義) =0)
よって,Eは直交という事も分かりました。

>> とりあえず
>> E_1,E_2,…,E_rの像となる線形部分空間をS_1,S_2,…,S_rとすると,
>> E_1,E_2,…,E_rは互いに直交する射影なので(∵仮定), これは∀i≠jなら
>> <E_ix,E_jx>=0を意味する。つまり,S_i∩S_j={0}で
> 「つまり」で結ぶなら, 「 ∀x, y ∈ V について,
> i ≠ j なら (E_i x, E_j y) = 0 」としておかないと.

そうでした。S_i∩S_j={0}である為には∀i≠jに対して,<E_ix,E_jy>=0でなければなりませんでした。

>> これはV=S_1(+)S_2(+)…(+)S_rと直和分解される事を意味する
>>  よって,∀v∈Vに対してv=c_1s_1+c_2s_2+…+c_rs_rと一意的に書ける。
> c_1s_1 といった書き方が間違っています.
> 各 i について, s_i = E_i v とすれば, s_i ∈ S_i であり,
> v = s_1 + s_2 + … + s_r.

そうですね。c_1,c_2,…,c_rは不要でしたね。

>> 今,Av=Σ_{j=1}^r α_jE_jv=Σ_{j=1}^r α_jc_js_j…①で
> Av = (Σ_{j=1}^r α_j E_j) v = Σ_{j=1}^r α_j s_j.

はい。

>> 一方,Av=Ac_1s_1+Ac_2s_2+…+Ac_rs_r…②と書ける(∵Aは線形写像)。
> Av = Σ_{j=1}^r A s_j.

はい。

>> よって①,②から (A-α_1I)(c_1s_1)+(A-α_2I)(c_2s_2)+…+(A-α_rI)(c_rs_r)=O
>> (但し,Iは単位行列)と書け,
> Σ_{j=1}^r (A - α_j I) s_j = 0.

ここもそうですね。

>> vは任意だったからこの式は恒等式になっていて
>> A-α_1I=A-α_2I=…=A-α_rI=Oでなければならない。
> どうしてですか.
> もし A - α_1 I = 0 なら, A = α_1 I で,
> A は単にスカラー α_1 倍するという線形写像になって
> しまいます.  又, α_1 ≠ α_2 でしたから,
> A = α_1 I = α_2 I は成立しないので, 常に r = 1 になる.

仰るとおりです。

> どうも世の中にはそうならない self-adjoint operator が
> 沢山あるようです.

そうでしたか。

>> 従って,A=α_1I,A=α_2I,…,A=α_rIと言えるので,
> 言えないでしょう. 言えたとしたら,

そうですね。

>> 或るx_1,x_2,…,x_rに対して,Ax_1=α_1x_1,
>> Ax_2=α_2x_2,…,Ax_r=α_rx_rと書ける。
> どんな x についても A x = α_1 x とかが成立しますが.

そうですね。A=α_1I なら ∀x∈Vに対して,Ax=α_1Ixが言えますね。

>> これはα_1,α_2,…,α_rがAの固有値である事を意味する。
> A = α I なら, α は A の(唯一つの)固有値になりますが,

はい。

>> しかも仮定より,α_1,α_2,…,α_rは相異なる。
> 相異なる固有値は持たないことになりますね.

はい。そうなってしまいますね。

>> としてみたのですが,,
> ですから, 間違った議論です.

すいません。

>> E_j^2=E_jという条件は使いませんでしたが,, どのように証明すればいいのでしょうか?
> 先ず, E_j らが互いに直交する orthogonal projections で
> あることから, E_i E_j = 0  (i≠j) を導きましょう.

∀x,y∈Vに対して,0=<E_ix,E_jy>(∵E_jは互いに直交)
=<x,E_i^*E_jy>(∵adjointの定義)
=<x,E_iE_jy>(∵命題「Eが直交射影⇔E^*=E,E^2=E」)
今,xは任意だから,E_iE_jy=0でなければならない(∵非退化性)
また,yも任意だったのでE_iE_jは零写像と分かる。∴E_iE_j=0.
でいいのですね。

> A = Σ_{j=1}^r α_j E_j,
> I = Σ_{j=1}^r E_j,
> (E_j)^2 = E_j, E_i E_j = 0  (i≠j), (E_j)^* = E_j,
> から, s_j ∈ S_j = Im E_j について,
> A s_j = α_j s_j となることを示し,

As_j = (Σ_{k=1}^r α_k E_k )s_j
= α_1E_1s_j+α_2E_2s_j+…+α_{j-1}E_{j-1}s_j+α_jE_js_j+α_{j+1}E_{j+1}s_j+…
+α_rE_rs_j
= 0+0+…+0+α_jE_js_j+0+…+0(∵s_j∈ImE_jとE_jは互いに直交)
=α_jE_js_j=α_js_j …①(∵E_jとs_jの定義)

>  更に,
> A v = α v, となる v ≠ 0 があれば,
> どれかの i について α = α_i となり,
> v ∈ S_i となることを示せばお仕舞です.

A v = α v, となる v ≠ 0 があれば,v=s_1+s_2+…+s_rと書ける事から
A(s_1+s_2+…+s_r)=α(s_1+s_2+…+s_r)
As_1+As_2+…+As_r=αs_1+αs_2+…+αs_r
α_1s_1+α_2s_2+…+α_rs_r=αs_1+αs_2+…+αs_r(∵上記①より)
(α-α_1)s_1+(α-α_2)s_2+…+(α-α_r)s_r=0
v≠0より∃i_1,i_2,…,i_m∈{1,2,…,r}; s_{i_1}≠0, s_{i_2}≠0, … ,s_{i_m}≠0.
ここでs_{i_1},s_{i_2},…,s_{i_m}は一次独立だからα-α_{i_1}=α-α_{i_2}=…=α-α_{i_m}=0でな
ければならない。
ここでもしm≧2ならα_{i_1}=α_{i_2}=αとなり,仮定"α_1,α_2,…,α_rは相異なる"に反する。
よって,m=1でなければならない。つまり,∃!j∈{1,2,…,r};α=α_j.
よってm=1より,v=s_jでもなければならない。

よって,Av=αvなる0≠v∈Vとα∈Rがあったとすると,∃j∈{1,2,…,r}:α=α_jでv∈S_jなので
α_1,α_2,…,α_rは全て,固有値になっている事が分かりますね。

すいません。E_iE_j=0はどこで使えばいいのでしょうか?
E_jがpairwise orthogonalとは∀x,y∈Vに対し,0=<E_ix,E_jy>=0という事ですよね。
後,I=Σ_{j=1}^r E_jもどこで使えばいいのでしょうか?

> なお, (E_j)^* = E_j は, A = Σ_{j=1}^r α_j E_j が
> self-adjoint になることを保証しています.

<Ax,y>=<(Σ_{j=1}^r α_j E_j)x,y>=Σ_{j=1}α_j<E_jx,y>(∵内積の定義(双線形性))
=Σ_{j=1}α_j<x,E_j^*y>=Σ_{j=1}α_j<x,E_jy> (∵E_j^*=E_jより)
=<x,Σ_{j=1}α_jy>=<x,Ay>
なのでAはself-adjointですね。

> 因みに, 内積がないベクトル空間 V が
> 線形変換 A の
> 互いに異なる固有値, α_1, α_2, ... , α_r に属する
> 固有空間, S_1, S_2, ... , S_r の直和になっているとき,
> V から S_i への, S_i 以外の S_j の直和に沿っての,
> 射影を E_i とすれば,
> A = Σ_{j=1}^r α_j E_j,
> I = Σ_{j=1}^r E_j,
> (E_j)^2 = E_j, E_i E_j = 0  (i≠j),
> ですが, 逆に(E_j ≠ 0 について)これが成り立てば,
> A の固有空間分解が与えられることが言えます.

これはありがとうございます。大変参考になります。