中東では、パレスチナのハスマとファハタの対立が武力紛争にまでエスカレ−トし、ガザがハマスに、ヨルダン川西岸がファハタに分断されてしまった。
 イラクでは、宗派対立が激化し、爆弾テロや仕掛け爆弾による殺し合いや外国人の拉致、殺害が頻発するだけでなく、これまで治安が良かった北部のクルド地区まで内戦の影響が及んできている。
 更にアフガンでは、タリバン勢力が盛り返してきて、イラク並みの混乱状態に近づきつつあるという。
 その一方で、イラク、アフガンに派兵してる国々では、犠牲の増加に耐え切れずに、撤退の要求が強まっているのだ。
 しかし、こうなってしまっては、兵を引くに引けず、 増派もままならず、打つ手をなくし、それに付け込んで、武装勢力は攻撃を激化させる、という蟻地獄に嵌り込んでしまっているのだ。
    これにお手あげのブッシュの焦りに付け込もうとしているのが金正日だ。BDAの凍結預金が返ってきたの契機に、寧辺の原子炉の封印を餌にして有利な取引をせしめようと蠢動し始めているのだ。大統領として何か成果が欲しくて、脇が甘くなっているブッシュはまんまとやられるのであろう。
 これこそ、「不安定な弧」の不安定連鎖シンドロ−ムなのだ。
 村上新八