強姦事件で逮捕起訴され、2年数ヶ月の有罪判決を受け、刑期を勤め上げて出所した後、真犯人が現れて、判決取り消しの裁判を受けているという世にも恐ろしい冤罪事件が報道された。
 この冤罪事件そのものが、物証もなしに、自白の強要、供述調書の捏造によってでっち上げられたものであることは明らかである。
 それにしても、その被害者の諦めの早さというか、おとなし過ぎるというか、よく耐え、我慢したものだと思う。
 この判決取り消し裁判は進行中だが、そのなかで、「取り調べた刑事」の承認尋問を要求したのに対し、判事は「判決取り消しに関係ない」としてこれを退けたという。弁護士も被害者もかんかんになって怒っている。
 判事が、真犯人が名乗り出たのだから、有罪判決の取り消しは決まっており、刑事の尋問は必要ない、と判断した点は間違いはないと思う。
 しかし、このような自白強要、調書捏造の経緯とそれに基づく裁判での冤罪成立の全経緯を明らかにすることは、2年後には始まる民間人の裁判員制度このための大切な参考事例としても、欠くべからざることであると思う。
 その意味で、この件は、弁護士会が費用を負担してでも民事裁判に持ち込み解明すべきであると思う。
 村上新八