安倍首相は4月末前後に訪米することになっている。首相就任後、まず訪中した点は、その後温家宝首相の「溶氷訪日」という形で進展も見たから問題ないが、日米間には三つの懸念がある。
 その第一は、米議会が「安倍非難の決議案」まで出そうとしいる「慰安婦問題」である。
 これは安倍が「強制はなかった」などと、全く言わずもがなの、無思慮極まる発言が発端になったのものだ。米側の政治家は、これに触れるのを避けてくれるだろうが、マスコミは容赦なく突っ込んでくるだろう。せめて、そこでまた失言をしないように注意すべきだ。
 第二は、北朝鮮問題に対する日米の温度差だ。安倍人気の源である「拉致問題などを巡る安倍の強硬姿勢」は
変えられないが、北朝鮮に対する最近のアメリカの相次ぐ譲歩によって、米国との間に完全な溝が出来てしまっている点である。米国は、いずれ「また北朝鮮に騙された」と気付くことになるのだが、それまでは日本は孤立化に耐えねばならない。日本も譲歩したら、それで安倍は終わりだ。
 第三は「戦後レジ−ムからの脱却」という安倍のスロ−ガンだ。
 「レジ−ム」の本来の意味は政治体制ということ。日本の戦後レジ−ムである「民社体制」を転覆させることはできないのだから、この言葉を使ったのは、安倍の英語力の貧困さによる誤りだ。
 安倍は「憲法改正」や「教育基本法改正」のことを指して「戦後レジ−ムのからの離脱」などと格好よく言うむつまりだったのだろうが、大間違いだ。日本人はよく分からないからよいが、訪米中は、この言葉は絶対に使わないようにすべきだ。
 村上新八