Kanon 第23話
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Kanon 第23話「茜色の終曲(フィナーレ)〜finale〜」
……について雑感など。
# 最終話は既にチェック済みなのでこれから書きます。
^L
●全体を通して
ゲームではあゆルートの1月31日頃の話で、前作では第12話で描かれた、祐一があ
ゆに人形を渡した後で消えてしまう話です。
前回、真琴が出て来たのにも驚きましたが、今度は初恋のお姉さんの方の真琴が出
て来るとは予想していなかったので驚きです。
そして名雪が秋子さんを交通事故で入院中で辛いはずなのに、「私、強くなるよ」
と祐一を逆に励ましに来るとは。何だか、前作以上に名雪が報われていないような気
がしないでも。
●アバンタイトル
あゆを探し求め吹雪の中、道路で行き倒れた祐一の前に現れた一台の車。
そこから降り立った女性は、祐一の目からは真琴に見えた。
●初恋の人
祐一「あ、あの…助けて下さって、ありがとうございます。でも、何で俺のことを
…」
真琴「判ったのか? 顔が似てるし、私の名前呼んだから、絶対祐一君だと思って」
(中略)
祐一「ああ…。沢渡さんとこのお姉さん。真琴さん」
真琴「そうよ。沢渡真琴。久しぶりね。祐一君」
ベッドの上で目を覚ました祐一。
そこは知らない部屋で、白いカーテンの向こうでは知らない女性がミルクを温めて
いた。その女性が自分のの名前を知っていることに疑問を抱く祐一。
だが、女性が自分の名を祐一と呼んだこと、そして昔水瀬家の近所に住んでいたと
いう話を聞き、自分の初恋のお姉さんで、真琴を名付ける元となった、沢渡真琴なの
だと気づくのだった。
# まさか、初恋のお姉さんの方に出番があるとは。顔つきも狐の真琴が成長したらこ
# んな風だろうなという感じです。
# 真琴お姉さんの一人暮らしの部屋、何もかもが白で統一されているのが印象的です。
●同じ過ちを繰り返さないで
香里「名雪? 香里よ。お母さん、大変だったわね。開けてくれない? 名雪」
名雪「ごめん。今誰とも会いたくない」
香里「相沢君をそうやって追い出しちゃったのね。あなたの気持ち、判るわ。私もこ
の間までそうだったから」
(中略)
香里「私の妹、栞ね。病気で入院しているのは言ったわよね。あの子、もうすぐ死ぬ
の」
名雪「あ…」
香里「私はそれが辛くて、ずっとあの子から目を背けてた。相沢君やあなた達がいて
くれなかったら、今でもそのままだったと思う。貴方には、私と同じ間違いを
して欲しくないの。心を閉ざして、悲しみに浸って、周りの人をもっと苦しめ
るようなことはして欲しくない。相沢君も栞のことで随分悩んで苦しんでくれ
た。彼に、心配かけちゃ駄目よ。しっかりしなきゃね。お互い」
(中略)
香里「時間がかかると思う。でも私、ずっとついてるから」
北川「でもお前、栞ちゃんの側にいなくて良いのか?」
香里「あの子が言ったのよ。自分は大丈夫だから、水瀬さんの所に行ってあげてっ
て」
祐一に名雪のことを任されたものの名雪が部屋に引き籠もっているためにどうして
良いか判らず、香里を呼び出した北川。
香里は名雪の部屋に行き、栞がもうすぐ死ぬと告げ、その事実から目を背け、心を
閉ざしていた自分と同じ間違いをして欲しくないと言う。
しばらく名雪の側についていることにした香里。
香里がここに来たのは、栞に言われたからでもあった。
# 〜編が終わる毎にその登場人物が消えていった本作ですが、香里は流石に登場しま
# したか。前作だと香里は名雪が祐一のことをずっと見ていたと教え、祐一に名雪の
# ことを託していたのですが、本作では名雪の方を説得していて逆ですね。もっとも、
# 祐一とあゆの関係を知らないで発言している辺りは同じですが…。
●無駄に年輪を重ねてる人もいますが
祐一「あの頃と何にも変わっていない。誰かが苦しんでても、何もしてやれない。何
の力もなくて、ただ、黙ってみているだけで。名雪にも、何にもしてやれなかっ
た。栞も、舞も、真琴もみんな俺を待ってたのに。俺一人、何もかも忘れて。
それにあゆも! あゆにも何もしてやれなかった。何も気づいてやれなかった。
約束してたのに。そのことさえ忘れて。同じことを繰り返してるだけだ。俺は
…」
真琴「昔もこんな風に自分のことを色々と聞かせてくれたわよね。知ってる? 北国
の木はね、年輪がはっきりしてるんですって。冬の寒さをじっと耐えて、そう
して年輪が増えていくの。そうやって育った木は、強く丈夫に成長するわ。人
間も同じ。悩んだり苦しんだりして、強く優しくなれるんじゃない?」
水瀬家に連絡を入れた祐一。
真琴に、誰かが苦しんでいても、何もしてやれなかった自分。かつても、今も。そ
んな自分を責める祐一に、悩んだり苦しんだりすればこそ、成長するのだと真琴は諭
すのだった。
翌日、お昼過ぎに目覚めた祐一。
書き置きを残し真琴は既に出かけていた。
香里に連絡を入れ、書き置きに従い冷蔵庫を開けた祐一。
その中には、狐の真琴の好物の肉まんが入っていて…。
# オリジナルキャラの真琴が、苦悩する祐一を立ち直らせる一助を担うとは。初恋の
# お姉さん、ということで役割的には良いと思いますが。
# 鈴を鍵につけているし、肉まんが好きなようだし、ここまで似ているというのは、
# 祐一の真琴の記憶から、狐の生まれ変わりの真琴が生まれた…ということなのかな。
# オリジナルキャラらしいので、色々と妄想の余地がありそう。
# 便せんが葡萄と狐で「酸っぱい葡萄」の話となってますな。
# 同じことを繰り返しているだけだという祐一。同じように見えても少しずつ変えて
# いけば良いんじゃない? …と佐祐理さんの百花屋での話を思い出しました。
# マンションの外の階段もガラス室みたいな構造になってるんだ。
●長い長い回想シーン
祐一「指切り、したよな」
真琴のマンションを出た祐一は、水瀬家には戻らず森の広場へ。
祐一は、切り株の横で座り込む。
# 長い長いあゆとの思い出の回想シーン(OPアレンジ版がBGM)がここで出てい
# ます。本作はあゆが他のヒロインと絡む描写が、殆ど無理矢理としか思えないのも
# 含めて多いのですが、その意味は最終話で明らかに。
●祐一の夢
祐一「何だ。あゆか。何でお前がこの家にいるんだよ」
あゆ「祐一君。おかしなこと言ってるよ。僕だって、この家の家族何だから、いるの
は当たり前だよ」
祐一「あ、そっか。そうだったな」
(中略)
あゆ「今日はね、秋子さんにクッキーの作り方を教わるんだよっ」
祐一「秋子さんも無駄なことを」
あゆ「うぐぅ。そんなこと無いもん!」
祐一「お前の作るクッキーは、どうせまた碁石だろ」
(中略)
秋子「今日のは、ひと味違うものね」
あゆ「そうそう」
祐一「ま、取りあえず見た目が上手そうに出来てたら、食べてみても良い」
あゆ「本当!?」
祐一「美味そうに出来てたら、だぞ」
あゆ「うん! 僕、頑張るよ。だから、僕のクッキー、楽しみにしててね」
森の広場で眠り込んでいた祐一は、水瀬家の家族としてあゆがいる日曜日の朝の様
子を夢で見る。
# ゲームでは1月31日、前作では描き方はやや違うながら最終話で出て来たシーンで
# す。碁石クッキー…真っ黒ってことか。今日は日曜日だろという祐一の台詞は、1
# 月31日が日曜日だから。本作では日曜日では無い風なので、「ああ、これは夢なん
# だな」と思ったのですが。
●再び現れたあゆ
祐一「この街に引っ越して来た時も同じような目にあったっけ。もっとも、あの時は
ベンチだったけどな」
(中略)
祐一「俺は今でも、お前のことが好きだぞ」
あゆ「僕もだよ。祐一君」
祐一「だったら、どうしてもう会えないなんて言ったんだ」
あゆ「もう、時間が無いから。今日は、お別れを言いに来たんだよ」
祐一「俺は、忘れ物を届けに来たんだ」
あゆ「見つけて、くれたんだね」
祐一「苦労したぞ。本当に」
(中略)
祐一「遅刻だぞ。あゆ」
あゆ「僕たちの学校は、来たい時に来て良いんだよ」
夕方に森の広場で目を覚ました祐一。もちろんあゆは来ておらず、この街に引っ越
して来た日に名雪に雪の中待たされたことを思い出す。
今のあゆに好きだと言われた時のことを思い出しながら、俺は今でもあゆのことが
好きだという祐一。すると、応えるかのようにあゆが再び姿を見せる。
お別れを言いに来たというあゆに、祐一はあゆの忘れ物──二人で埋めた人形──
を差し出す。
# こんな寒そうな場所で眠ってしまうなんて、一歩間違えたら凍死寸前。
# 前作と同様、お別れかと思ったら再びひょっこりと現れたあゆ。台詞とかは、ゲー
# ム版の1月31日の出来事とと殆ど同じですね。水瀬家に居候するまでの間、夜はあ
# ゆは実体は無かったのかな。
# 「遅刻だぞ」と言われゲームでは日曜日なので「今日は日曜」とあゆが答えていま
# すが、そうでは無い回答なので、本作ではこの日は日曜日では無いのでしょうか。
●最後のお願い
あゆ「そう…だね。…お待たせしました。それでは僕の最後のお願いです。祐一君。
僕のこと、僕のこと忘れて下さい。僕なんて、最初からいなかったんだって、
そう、思って下さい。僕のこと、忘れて…う…」
祐一「本当にそれで良いのか? 本当にあゆの願いは俺に忘れて貰うことなのか?」
あゆ「だって、僕、もうお願いなんて無いもん。う…。本当は、もう二度と食べられ
ない筈だったたい焼き、一杯食べられたもん。だから、だから、僕のことを忘
れて下さい」
あゆ「祐一君。僕、もう子どもじゃないよ」
祐一「お前は子どもだ」
あゆ「そんなこと、無いもん」
祐一「一人で先走って、周りに迷惑ばっかりかけてるだろう」
あゆ「うぐぅ」
祐一「その癖、全部自分で抱え込もうとする。その小さな身体に。全部。お前は、一
人ぼっちなんかじゃないんだ」
祐一「その願いは、駄目だ。聞けない」
あゆ「祐一君」
祐一「俺がお前を忘れられる訳ないだろう」
あゆ「あ…。お願い、決めたよ」
祐一「ん」
あゆ「僕の最後のお願いは」
(中略)
あゆ「祐一君。僕の身体、まだ暖かいかな」
祐一「当たり前だろ」
あゆ「良かった」
あゆとの別れがもう避けられないものなのだと知った祐一は、最後の願いを叶えさ
せてくれと言う。
最後の願いとして僕のことを忘れて下さいというあゆだが、話している最中に泣き
始めてしまう。そんなあゆを抱きしめた祐一は、その願いは駄目だという。
お願いを決めたというあゆ。
しかし、その願いを祐一は聞くことが出来なかった。
自分の身体がまだ暖かいかと訊ねるあゆ。しかし、その直後にはあゆの姿は光とな
って消えてしまい……。
# あゆの最後の願いのシーン。あゆが自分のことを忘れてというのは、ゲームでも前
# 作でも同じですが、前作では本当の最後のお願いにあたる部分が無かったんですね。
# ゲームでは「祐一(プレーヤー)と一緒にいたい」というのが最後の願いに見えま
# したが。
# 前作だと羽根が散って昇天するようなイメージでしたが、本作では割とあっさりと
# あゆが消えちゃいましたね。
# あゆの聞こえなかった願いの中身については、最終話で明らかとなるのですが……
# 成る程、その手があったかという感じです。
●あゆが消えた後で
祐一「名雪。俺、いつもお前に頼ってた。甘えてたんだ。ごめん」
名雪「私こそ、酷いこと言った。祐一に」
祐一「名雪。俺、お前に」
名雪「これでおあいこ」
祐一「おあいこ…」
名雪「うん! おあいこ、だよ」
(中略)
名雪「祐一。私、強くなるよ」
祐一「ああ」
名雪「祐一、悲しそうな顔してるよ」
祐一「光の加減だろう」
(中略)
名雪「頑張ろう祐一。約束、だよ」
祐一「ああ」
名雪「もし約束破ったら」
祐一「苺サンデー奢る」
名雪「駄目だよ。苺サンデーでも許してあげない。ファイト、だよ。祐一」
祐一「ああ。ファイト、だ」
あゆが消えた後で、駅前でベンチに座っていた祐一の前に名雪が現れる。
名雪に甘えていたことを謝る祐一に、名雪も祐一に酷いことを言ったと謝る。
祐一に強くなると言った名雪は、祐一にも頑張ろうと言うのだった。
# 祐一の前に現れた名雪が可愛すぎる。
# 前作であゆが消えた後ですれ違う二人→最後に祐一を呼びに来てキスする名雪の話
# が印象的だったので、名雪が真っ先に祐一を励ましに来たのでちょっとびっくり。
# このシーン、ゲーム版の名雪ルートの1シーンから持って来ていますね。「わたし、
# やっぱり強くはなれないよ…」→「俺が、名雪の支えになってやる」という台詞だっ
# たので(苺サンデーは同じ)、ゲーム版名雪と正反対なんですな。
●奇跡の前触れ
あゆ「夢、夢を見ている。また同じ毎日の繰り返し。終わりのない朝を望んで、そし
て、同じ夢の中に帰って来る。赤くて、白くて、冷たくて、暖かくて、悲しく
て、そして、また同じ毎日の繰り返し。ずっと前から、何年も前から気づいて
た、終わらない夢を漂いながら、来るはずのない、夜明けを望みながら、僕は、
ずっと同じ場所にいる。声の消えた雑踏。顔の無い人が目の前を行き交う。誰
も、たった一人でベンチに座っている子どもの姿なんか、気にも留めない。人
を待っている。来ないと判っている人、もう会えないと判っている人を何年も、
何年も、僕はずっと待っていた。繰り返される夢の中で、来るはずのない夜明
け。だけど…」
(中略)
あゆ「夢、夢が終わる日。雪が、春の日だまりの中で溶けて無くなるように。面影が、
人の成長と共に、影を潜めるように、思い出が永遠の時の中で、霞んで消える
ように。今、永かった夢が、終わりを告げる。最後に一つだけの願いを叶えて。
たった一つの、願い」
あゆ「僕の、願いは」
# 次回は最終話ということで、あゆのモノローグもそれを予感させるものですね。
# 久しぶりに入院中の佐祐理と舞が登場してますね。
●次回予告
栞「例えば今、自分が誰かの夢の中にいるって、考えたこと無いですか?」
祐一「何だ、それ」
栞「ですから例え話ですよ。夢を見ている誰かは夢の中で、一つだけ願いを叶えるこ
とが出来るんです」
祐一「夢の中…」
最終話「夢の果ての追復曲(カノン)〜kanon〜」
では、最終話の記事にて。
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