普通の暮らしのなかで銃で自分が狙撃される経験のある人は稀有です。戦地では当然
のことこの恐怖が毎日続きます。何時度から撃たれるかも分からない恐怖の毎日で
す、人間は危機に直面しても自分だけは安全と言う心理が働くと言う話を聞いたこと
が有りますが、まさにそれが無くては発狂してしまいます。ストレスなんて簡単なも
のでは有りません。20歳になれば軍隊に行かねばならないことは誰でも知っていま
す。しかしこの時が迫ってきても誰も怖がりません、学校教練の長いの位しか思って
いません。勿論私もそうでした。これは何故か、ひとえに軍隊生活を全く知らないか
らです。先ず驚きの始めは兵舎内に入ると中にだるまストーブが赤々と燃えて居まし
た、ここで軍隊に対する色々な説明を聞きやがて夕食時間、結構ご馳走がならんで居
ます、赤飯も付いていました。軍隊もそんなに悪くないと思ったのもつかの間、「こ
の飯を食ったらお前らはお客さんではないぞ」怒鳴られました、まだ何のことか分か
りません、午後9時性格には8時30分頃「ストーブ消せ」と号令がかかります。寝
る時は火を消すのは常識だと思い石炭を崩して火を消しまいsた。やれやれ此で寝ら
れるのかと思ったら、「ストーブの手入れ」と号令がかかりました。何のことかとポ
カンとしているとそのストーブを水で洗い雑巾で拭きあげて灰一つ残らぬように磨き
上げるのでした、そして就寝ラッパと共にベットへ10分ぐらいして眠り掛けたとき
「総員起きろ」大声、なんの事かと飛び起きると先ほどのストーブに灰が残って居る
ということです。よく見ろと言われてストーブを見ると1㎝ぐらいわずかに灰が付い
ていました。それを怠慢だとして全員殴られました。これは内地での事で戦場に出て
も同じ様なことが行われて行きますこれを内務班教育と言います、この内務班教育と
敵からの攻撃、まるで生き地獄です。憲法改正も必要ならそれもいいですが、兵隊と
言うものは、耐え難い恐怖の連続である事を考えて下さい。戦争は愛国心とか正義と
かのきれい事だけではありません。

-- 
       小森 時男