In article <newscache$7ku9cj$kqj$1@news01e.so-net.ne.jp> shimada181@spam184.1818.yahoo.co.jp writes:
>> 大館駅(奥羽本線)と東大館駅(花輪線)って,
>> 東西というよりほとんど南北の関係ですね。
>     大津(東海道本線)と西大津(湖西線)もそうです。湖西線
>    開業までの仮称は「北大津」でした。なぜ西大津になった
>    のか、その経緯は存じません。なまじっか近くに住んでいる
>    ばかりに「(東海道本線の)逢坂山トンネル山科側出口付近に
>    駅ができたんかい!」とツッコミを入れたくなったものです。
西大津は、地域名と駅名とどっちが先なんでしょうね?
元々「西」の地域と認識されていた可能性が高そうに思うのですが……

街の中の方角というのは、地球全体の方角とズレることがあります。
東京(江戸城下)のように同心円構造になっている場合は別として、
碁盤目構造が存在する場合には、その碁盤目の方向に合わせて
ズラされた方角で認識されることが多いのではないでしょうか。

典型的なのは条里制遺構が明瞭に残っている場合です。
それが地球全体の方角と大きくズレている典型例としては
琵琶湖東岸地域があります。
例えば、栗太郡野洲郡(現野洲市栗東市草津市+大津市の一部)には
8km×16kmほどの領域にわたる正確な碁盤目構造があって、
その全体が地球全体の方角に対して時計回りに30度以上ズレています。
彦根付近でも同様ですが、ズレの角度が微妙に違います。
そして、街の中で方角を言う場合は、このズレた方角を言うのが普通です。

#先日、栗東のスーパーマーケットで節分の恵方巻を広告する
#巨大巻寿司の模型が天井に吊るしてあったのですが、
#「今年は北北西」と書いてあるのを
#30度以上回った「北北西」に合わせてありましたX-<

条里制遺構以外の例としては、筑波の研究学園都市を挙げることができます。
ここの「街の方角」は地球全体の方角に対して
反時計回りに30度近くズレています。

大津市内に関しては、浜大津港付近で湖岸線が急折していて、
両側の湖岸線が一方は約14km、他方は約4kmにわたって概ね直線、
しかもそれがほぼ直交しているという構造が利いているでしょう。
つまり、この「概略湖岸線」の方向が街の方角を決めているのです。
その結果、時計回りに30度以上ズレた方角になります。
この座標で見ると、西大津駅は大津駅に対してほぼ正確に「北西」になります。

#対岸とほぼ平行ですが、
#基本的に琵琶湖の地質構造で決まっているわけなので、半ば必然ですね。

さらに、近世において西大津駅付近よりも反対側の膳所石山方面の方が
街として圧倒的に繁栄していたことを考えると、
大津というのは「東西に細長い」街であるという認識が強いと思います。
その西側をさらに延長した部分なのですから、
少々北へズレていたとしても「西」と呼ばれるようになる可能性は高いでしょう。

                                戸田 孝@滋賀県立琵琶湖博物館
                                 toda@lbm.go.jp