防衛庁の防衛省昇格で、防衛政策や防衛予算などは、内閣府を通さずに、独自で内閣に提案できることになった。27万の自衛隊員を擁する世界屈指の軍隊である自衛隊だから、省に昇格するのもご時勢であろう。
 この昇格を一番喜んでいるのは米国だ。元国務副長官時代に、「ショウ・ザ・フラッグ」とか「ブ−ツ・ザ・グランド」などと叫んで、日本政府と自衛隊に発破を掛けたア−ミテ−ジは、「長年望んできたことが実現した」と手放しで喜んでいた。
 これは、自衛隊が、英国並みとはゆかないまでも、これまでとは段違いの米軍協力をしてくれることになるであろう、という期待なのだ。が、そのための省昇格ではないはずだ。
 海外活動も本務として取り込まれた自衛隊だが、国連決議の協力は結構だけれども、単独行動主義の米国に振り回されないことと、昨今頭を持ち上げはじめている制服組を制御するシビリアン・コントロ−ルはきちんと維持してもいたい。「外科医は切りたがる、軍人は戦いたがる」のが常だからである。
 村上新八