米中間選挙で、下院は民主党の大勝、上院は互角、と民主党が勝利した。
 これは、事前の予想通り、ブッシュのフセイン打倒後のイラク情勢の混迷や共和党のスキャンダルに米国民がブッシュ政権への不信を表明したものであり、米国民の政治感覚の確かさを示した結果である。
 しかし、ブッシュのイラクの安定化と民主化推進、そして占領下で米兵の犠牲の増大の誤算を責めるだけでは、問題は解決しない。
 民主党がイラク駐留米兵の撤退を考えても、それによって、イラクを、かつてのアフガン的な内戦状態にしてしまうわけにはゆくまい。
 また、民主党がイラク関係の戦費を減らすことは、イラクの混乱をねらうアルカイダを喜ばすだけになるであろう。
 従って、米国議会の勢力が与野党逆転しても、米軍の駐留はここ当分は、継続せねばなるまい。イラクの軍、警察だけの力では、スンニ派、シ-ア派、クルドの三つ巴の内戦を押さえきれないことは明らかだからだ。
 蜂の巣を叩き壊して、凶暴な蜂を野に放ってしまった失敗の責任だけ問うても解決にはならないのだ。
 これをどうするか、民主党は、米国民から、ブッシュの尻拭いという困難な課題を突きつけられた、というのがこの選挙結果だ。
 村上新八