自民党政調会長の中川昭一は、15日のテレビ番組で、「憲法は日本の核武装を禁止はしていない」「米ソ対立が戦争にまで発展しなかったのは、核の戦争抑止力が働いたからだ」「核武装はそれがないよりも抑止力が高まる」「核武装を論議することは認めてもよい」などと述べた。
 それを記者団から、糾弾されて、「非核三原則は堅持する」と繕ったが、政調会長として、箴言汗の如しで、その発言の責任は重大である。
 この中川発言に対して、「日本が核武装して、NTP(核不拡散条約)から脱退すれば国連から経済制裁を受けることになる」とか「核兵器の全面的廃棄を訴え続けてきた日本の行動に反するものだ」「米国の核の傘の下にいる日本が核武装するなら、日米安保は何だったかということになる」などの批判があるが、そんなことではない。
 核拡散の防止は、自爆テロに核が渡ることを防ぐ上での基本条件であり、核拡散防止の隠然たる力として、唯一の核被害国として非核日本の存在意義は量り知れないものがあるのだ。日本までが核武装したら、核拡散の歯止めがなくなり、核は一挙に世界に広がり、核兵器がテロに渡る可能性もますます高まるのである。
 このことこそ、日本が核武装してはならない、今現在の最高の理由なのだ。
 「バカの一つ覚え」のように、為政者どもの頭のなかに巣くっている、「核の戦争抑止力」という虚像をこそ徹底的に論議し、核保有の無意味さ、バカらしさを世界に納得させるのが日本の使命なのでである。
 村上新八