シーファー米駐日大使が、北朝鮮はリビアのようにおとなしく核放棄をすれば……
とスピーチしたと伝えられる。丸で米国の政策の成果であるかのように聞こえるが、
とんでもない。リビアは、西欧が説得に説得を重ねて漸く合意するに至り、米国は
しぶしぶそれを受け入れたもの。
俺が北云々すればすぐ“チョン”などと差別用語(差別用語がお好きな馬鹿がいる)
で詰られるが、同大使が北の軟着陸を言ったのだから俺も黙っていなくて済む。

北朝鮮問題でもチャンスは無いわけではなかった。日本が、中露韓とがっちりと手を
組み、金正日を説得し、その上で米国を説得すれば或いはリビアのように軟着陸でき
たかも知れない。ところが日本ときたら拉致問題をよいことに極右共が北バッシング
を滅茶苦茶に掻き立てるものだから北の説得どころではない。おまけに日本はお馴染
みの“日米機軸”だ。ブッシュ政権との固い共同歩調だ。これじゃあねえ。
拉致問題を解決するには交渉を持たなければならないのに、それを積極的に持とうと
しないのも奇妙な話だ。家族会や救う会の真意は北の軍事的撲滅にあると言うべきだ
ろう。こいつらには、日本の国土がどうなろうと知ったことではないらしい。
かくて“米の核ミサイルを即時日本に配備せよ!”(「週刊文春」中西輝政)などと
戦争鼓舞に走らざるを得ない羽目に陥る。東京都民の不安は日に日に増大する。
安倍よ、極右よ、どうやってこの不安を取り除くのかね?

北の核実験という事態になっても尚且つ人道支援を続けよとするもの(国連担当者)、
米ブッシュ政権の失敗を指摘するもの(英軍縮外交研究家、米元国務相朝鮮部長)
米朝二国間会談に応ずべきだとするもの(べーかー元国務長官)がいる。こういう
人物が政権の座にいたならば、現在の事態には至らなかったであろう。
米国ではブッシュの失敗を指摘する声があちこちに聞こえるのに、日本では、自民党
公明党政権の従米路線がもたらした不始末だと指摘する声は聞かれない。