6日の衆院予算委で共産党の志位委員長が持ち出した資料は、歴史認識での安部の仮面を剥がすに足る完璧な資料であった。
 その一つは、「支那事変に関する御前会議」の資料であった。このなかでの大本営、政府連絡会議の「日本の東亜における生存権の定義」には、その範囲として「日本、満州、フランス領インド、イギリス領インド、シンガポ-ル、蘭領マレ−シア、インドネシア、ビルマなどが含まれるとし、マライ、タイ、ビルマは重要資源の供給源として帝国の領土とする」と御前会議で決定しているのだ。
 よく、こんな古証文を探し出したと感心するが、これで太平洋戦争の侵略性を否定したい、安部歴史観は完全に覆ったのだ。
 安部はこれに対して「太平洋戦争の目的は歴史化の検証に委ねる」「政府としていちいちコメントする立場にない」と逃げの答弁をするだけであった。
 今ひとつは、94年に結成され、安部が事務局次長を務めた「終戦50年議員連盟」の設立趣意書である。このなかでは「大東亜戦争はアジアの平和と自衛のための戦争」とし、「植民地支配や侵略を認めたり、戦争への反省、謝罪をすることは、正しい歴史観をゆがめることになる」「このような自虐的歴史観を正すのが政治家の使命だ」と明記されているのだ。
 「歴史認識については、歴史家に任せ、政治家は謙虚であるべきだ」と何回も主張しているが、これは心にもないウソであることを完全に立証する資料である。
 今は中韓首脳との会談を控えているから、外交上の配慮から、カモフラ−ジュするのだ、というのが安部の言い分であろうが、それがカモフラ−ジュであることを知り尽くしている中韓首脳は、この「ウソツキ首相」とどう付き合うべきかを判断するためのテスト会談として位置づけているのであろう。
 小泉のように、真っ向から「靖国参拝何が悪いか」と楯突かないから、会ってみようということなのであろうが。
 村上新八