古寺です。

ぢぃ さんwrote:
> 元記事、産経新聞じゃなくてどこかで見たなあ、と思っていたんですよ。
> #新聞は最近読んでないから
> 
> と、日経ビジネス2006/7/10号、P104〜106の「技術フロンティア
> 燃料電池ハイブリッド
> 鉄道車両 自動車に先行して普及へ」が元ネタじゃないのかと。これも実は子ネタ孫ネ

ほうほう。

#「普及へ」と言い切ってしまう辺りも...ですね。

> Masahiko KODERA wrote:
>> Yuuichi Naruoka さんwrote:
>>> "Masahiko KODERA" <kodera_m@cool.odn.ne.jp> wrote in message news:ebppc3$rch$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp...

> これについてはJR総研は実用化時には東京ガスと共同で水素ステーションを設
> ける方向のようで。

「JR総研は」ですか。なんとなく雰囲気的なものには確信が持てて
来ました(^^;
新聞経由の方の、山手線導入が(ほぼ)決まりで、10〜20年のロード
マップが出来ているような報じられ方をしたらしき(結局、Webなど
で確認取れずじまいでした)ことと、研究・開発サイドが山手線規模
を想定ターゲットにしてる(時として究極的にセレクトされる)のと
では、全然ニュアンスが異なって来ますからね。
そこがどうなんだと、疑問を呈す形になっていたのは、全てこの点で。

> 記事では天然ガス改質方式にも触れられています。エネルギー変換効率が25%

目先燃料電池の実用化を「急ぐ」方法としては一番現実的なんです
よね。書きましたが、現在の実験的な水素ステーションプロジェク
トでは、水素が取れる方式を片っ端から試す主旨なのか、コークス
燃料やらなんでもアリで。天然ガス仕様が多いわけでは有りません。

> 程度であるのであまり効率がよくない、と言いたげですが。確かに25%程度だと
> 現行の火力発電方式における電車が30%程度の変換効率ですし。CO2排出量
> もありますから、あまり効率的ではない、と言いたいのでしょうけど。将来的には

言いたいも何も、車ならともかく、架線電化方式を置き換える方式
で考えてるなら、かなりショボいです。NEトレインを関東エリアの
非電化線で走らせる前提なら有力ですね。
繰り返しなんですが、JR東は首都圏の9割を自営で賄っており、特に
主力の川崎火力は早く(当時の報道の記憶では日本初レベル)から複合
火力に更新されています。国鉄はほぼパイオニアだっただけに最新の
ほどでは無いでしょうけど、最近のでは熱効率が50%を越えています。
国鉄時代に、最後の追加で新しい4号機を蒸気タービンのまま残しま
した(3基複合化完成後は、予備機で常用しないようにした)が、これ
の天然ガス複合火力化
http://www.jreast.co.jp/construction/proj03_main.html

ならびに国鉄時代に更新済みの3号機燃料を灯油から同様に天然ガス
へ
http://www.jreast.co.jp/eco/pdf/pdf_2005/JR2005J_30-33.pdf

というのが、これは現実にプロジェクトとして走っています。
4基中2基が50%超に加えて、炭素比率の小さな天然ガス化されるわけ
です。
下のpdfには昨年4月現在まだ小千谷火力が55%普及だった事を書かれ
ていますが、総発電能力からすると4割くらいが水力で行けてますね。
発電量あたりの炭素量が約500g-CO2/Kwhまで落ち(1990年で726)てい
てなお減少中なわけで。

単純に効率比較なら、自然エネルギーのみで水素が大量に得られ、
早い段階のフォローに書いたように、都市ガスではなく水素の直接
供給インフラが出来るくらいでないと、話が成り立たないと思いま
す。特に山手線の立地だと、規模もともかく、川崎火力が近くて
送電ロスの問題が小さいというのも有ります。
この辺が決して有利にならないのに山手線で実行計画になる目が
有るとすれば、架線の撤去を立法行政から求められるとか、自営電
力設備の保守・更新経費が、水素インフラを新規に起こして発電所
は放棄した方が安いほどにならないと成り立たないわけですね。
当初は太陽電池など同様、新エネルギーの採算度外視が生じるわけ
で、それでなお、太陽電池などと違って炭素の放出は増えるという
ことで、大規模に(おおっぴらに)やるには敷居がより高いかと。

> 太陽光発電や風力発電で水を電気分解して水素を製造すれば効率は現行の電
> 車並に高まる、と記述されています。

これも燃料電池普及へ向けた共通の夢で有って、燃料電池そのもの
の開発をしているサイドではみんな、「待ってる」状況ですよね。

> 2008年に家庭用発電用燃料電池が普及し始めるからそれからだ、と記事はまと
> められてますが、はたしてどうなることやら

これも書いたと思いますけど、発電しつつ家庭用熱源としても利用
することで、石油蒸気タービンと石油/天然ガス燃料のガスタービン/
蒸気タービン複合の間くらいを狙い、石炭の単純な蒸気タービン(石
炭ガス化→複合も開発中だが)よりマシって事で実用に移りそうな
気配です。家庭でこの利用形態が取れると、電力系統側の送電ロス
分も考えれば、まあ悪くもないんじゃないのって感じです。

#これをきっかけに燃料電池の生産量が増えれば、炭素を出さない
#水素供給法の確立を待つ間に、電池側の技術が上がってるという
#意義が有ります。ただしこれそのものは、使ってる家庭で天然ガ
#スから水素直接に切り替わるものではなく、設置している間は天
#然ガスを使う事になります(といっても寿命が10〜20年規模か)。

これまた繰り返しですが、同じ理屈を高密度鉄道路線に適用しよう
とすると、水素ステーションが作られる車両基地なり近辺で、相当
量の熱源顧客を確保する必要が出て来ます。